第27話「おじいさんの冷い顔」 |
名台詞 |
「お父さん、お母さん、私はとうとうマロクールにやってきました。でも、おじい様は今でも、お父さんのことを怒っているそうです。もちろん、お母さんのことも。そしてきっと私のことなど、何も考えてはいないでしょう。だから、私が孫のペリーヌだと名乗って出ても、きっと冷たい顔で「ああ、そうか」と言うだけでしょう。いいえ、孫だと認めてくれないかも知れません。お父さん、お母さん、私はおじい様に愛してもらいたいんです。そして、私もたった一人の肉親であるおじい様を愛したいんです。」
(ペリーヌ) |
名台詞度
★★★ |
マロクールに到着したペリーヌは、村はずれで偶然出逢った少女ロザリーからビルフランに関する情報を入手し、母から聞いた話が間違いでないことを知る。そして馬車で出かける祖父の厳しそうな表情を見て、名乗り出るのを躊躇う。その上でどうして良いのか解らず、マロクールの街を見下ろす丘の上で心の中の呟きとして語られる台詞がこれだ。
長い旅は終わった、だがその先に待っていたのは安堵ではなくさらなる不安だ。いや、「マロクール」という土地を目指す旅は終わったけど、祖父に受け入れてもらうという次なる旅路が始まったことをペリーヌはキチンと認識している。でもそれだけなら、孫だと名乗り出るのを躊躇う理由にはならない。
ペリーヌの目的は孫として財産や養育費を受け取る権利を得る事ではなく、今や最後の肉親であるこの祖父との「生活」である。生活のためには家族として受け入れてもらい、愛し愛されという行為が前提である。これこそが今ペリーヌが「最も欲しいもの」であり、遙々マロクールまでやってきた理由なのだ。
だが今持っている情報の全てを統合しても、今名乗り出てもそれが得られないのは確かだという判断だ。きっと祖父は父や母に対する怒りを自分にぶちまけた上で、「血が繋がっている人間」としての最小限の事として金を渡されるだけに違いない。それはペリーヌが持つべき希望ではない。
だからペリーヌは悩む。どうすればいいのかと。天国の両親にも問うてみる、どうすればいいのかと。このペリーヌの「悩み」が上手く出ている台詞だ。
結局、ペリーヌは成り行きもあって偽名を名乗って、祖父の工場に工員として乗り込む事から始める。いずれにしろペリーヌに必要なことは「マロクールでの生活基盤を確立する」ことのはずだ。 |
名場面 |
フランソワーズとの出会い |
名場面度
★★★ |
ペリーヌはバロンが腹を空かせていることで自分も空腹に気付いたのだろう、そこで先ほど出会ったロザリーという少女の家が食堂だと聞いたので、そこを訪ねることにしたのだ。そのロザリーの家である「シャモニー」という食堂がなかなか見つからない。ペリーヌはたまたまそこを通りかかった老婆に道を聞いてみる、ところが老婆はペリーヌの顔を見ると、驚いた表情のままフリーズしてしまう。ペリーヌもその老婆の反応に驚くが、「あの…私の顔に何か?」と声を掛けると老婆は再起動して「これはどうもごめんなさい」と謝り、「それは私の家だよ」と言って案内を始める。歩きながらペリーヌの顔をちらりと見る老婆に、「さっき、どうして私の顔をあんなに見つめてたんですか?」とペリーヌは問う。すると老婆は「あんたにはどっかで逢ったような気がしたけど、歳のせいかどうしても思い出せないもんだから…」と返す。それにペリーヌがマロクールに来たのは今日が始めてと返答すると、「どうも変だね、前に確か何処かで…」と老婆は続ける。
もう一目見ただけで、後にフランソワーズと名乗るこの老婆がペリーヌの父エドモンと何らかの関わりがある人物だと理解出来るだろう。この老婆がペリーヌの顔を知ってはずはないのだが、エドモンの顔をよく知っていてペリーヌが父親似(これは後に解る)だとすれば、ペリーヌの父の故郷に着いたという事を最も印象付けるのがこのシーンであると言える。
そして視聴者は色々考えるだろう、この老婆がペリーヌとビルフランを結ぶ「何か」を持っているに違いないと。この老婆がペリーヌに対し「何処かで逢ったはず」とすること自体が、何らかの伏線であることを期待して覚え、記憶に残るようにしてあるのだ。
そして、今話のうちにこの老婆の正体は解る。ペリーヌは父の育ての親、つまり乳母が「フランソワーズ」だと言うことを父から聞いて知っていたのだろう。この老婆こそがその「フランソワーズ」だと知った時は驚き、それを隠すために「同じ名の知り合いがいる」と誤魔化す。ペリーヌも視聴者もそこで気付いたはずだ、フランソワーズがペリーヌを始めて見た時の反応の理由を。
だがフランソワーズはペリーヌの正体に気付かない。そう、歳のせいでペリーヌが誰に似ているのか、きっかけがないと思い出せないのだ。それを上手く示唆しているのが、このシーンだと感じた。
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今回の
迷犬バロン |

バロンはマロクールという新しい街で、早速ロザリーの弟ポールと仲良くなる。左はポールに「変な顔しているな」と言われた時、ロザリーに「あんたの顔とどっこいどっこい」と言われた時の二人。初対面でそりゃないだろー。 |
気まぐれ度
★★★ |
感想 |
全53話中27話という折り返し点、つまり今話はちょうどど真ん中となる。そのちょうどど真ん中でペリーヌのマロクール到着が描かれた。そして次から次へと出てくる新キャラクター達、ロザリー、ファブリ、ビルフラン、フランソワーズ、セザール、ポール…みんなこれまでのように1話限りのゲストでなく、物語に定着することになるレギュラーとして物語に君臨することになる。
小学生の時に今話を見た時、最も悩んだのが「ロザリーはいつ自分の名を名乗ったのか?」という問題であった。確かに序盤のペリーヌとロザリーの会話シーンでは、ロザリーは自分の名を名乗っていない。ロザリーが名乗っていないからペリーヌも名乗っていないのならとても自然なのだが、物語に描かれていないところでロザリーが名乗っていたならちょっと不自然だ。あれだけ聞きたがり屋のロザリーが、話し相手の名前を聞かないなんてちょっと不自然だと思うのだ。
またビルフランの行動も不自然だ、仕事上の書類をファブリに渡すなら会社で渡せばいいだろうに、なんでわざわざ街中のレストランにいる娘に託すんだろう。あ、この日は日曜日だったに違いない、そうすれば街中のシーンで誰も働かずに街をウロウロしているのは合点が逢う。だからロザリーも工場に出勤せず家の手伝いをしているんだな…だったら何でビルフランからファブリに渡す書類なんか…社長一人で休日出勤していたのか?
でもダメだなぁ、今になってビルフランの声を聞くとどうしてもペギン爺さんに聞こえてしまう。アンネットの方がずっと後なんだけどな…やっぱ物語が理解出来る中学生になって見た方が印象に残るのか? それとファブリさんの声はどっかで聞いたと思ったら、「魔法の天使 クリィミーマミ」で優ちゃんのお父さんやってた人だ。この人の声で一番印象に残っているのは、「キャプテン翼」の実況の声だけど。 |
研究 |
・「シャペル駅」〜マロクール いよいよ今話でもってペリーヌの長い旅が終わる。この最後の旅路を今回は研究してみたい。確か24話で150キロの道のりと言っていたが、これが妥当かどうかも含めての見当になる。
まず「1」地点は「シャペル駅」想定位置である。ここはパリから約38キロ、列車で1時間ほどという解釈は24話の研究欄で語った通りだ。パン屋にお金をだまし取られたり、西瓜農家兄弟の活躍はここだ。
ここから「カレー街道」という街道を北上する。次の「2」地点がペリーヌが青年に花を売った街で、そのちょっと手前でバロンが農家を荒らしたのだと考えられる。ここまで「1」から丸一日以上掛かったと思われるので、距離的に30キロ地点として割り出した。
「3」地点は最後のお金でパンを買った地点の想定位置。花が売れた次の日のことだと思われ、20キロ程度歩いたと思われる。そしてここから「4」地点へ行く途中の「3」に近い方で嵐に遭い、「4」地点の街の入り口でルクリに助けられたと見て良いだろう。ペリーヌはそのまま「4」地点の病院に入院し、ルクリの商売を手伝いながら旅を続ける。
ルクリが廃品を売りさばく街として名を挙げた「アミアン」という街は実在し、「4」地点の北40キロほどのところにある大きな街である。恐らくペリーヌとルクリが立派なレストランで食事をしたのもここだろう。その翌日のシーンではルクリの馬車に廃品が満載されているが、これは廃品を売りさばくよりペリーヌを送る方を優先させたためと解釈する。
アミアンの北西、10キロと行かないところに「ピキニー」という街があるが、これが劇中で「ピキニ」と呼ばれる街のことであろう。ここから鉄道線路と離れて5キロほどのところが架空の街マロクールであると想定出来る。この場所なら川や小さい湖もあり、劇中の描写に合わせられるだろう。
「シャペル駅」想定位置から「マロクール村」想定位置まで、116キロの旅路となる。これにパリからの鉄道旅行を足せば、150キロ。24話でマロクールまで150キロと語られたが、これは「パリからマロクールが150キロ」と解釈すればほぼぴったんこである。日本で言えば東京から軽井沢へ行く位の距離だ。
こうして全容が明らかになったペリーヌの旅、ダッカからの全行程は13061キロとなった。そのうち劇中で描かれたのは1900キロほどである。劇中で描かれた旅だけで判断すれば、マルコやポルフィに及ばないことは明白だが、その内容はそれ等に匹敵するほど濃いものであっただろう。
・今回までの旅程
「シャペル駅」〜マロクール村 |
移動距離 |
116km |
合計(ダッカから) |
13061km |
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