第40話「国境を目指して」 |
名台詞 |
「馬鹿野郎! 馬鹿だ、お前なんか! 何でそんなこと言うんだよ!? 自分の家があるじゃないか!
父さんも母さんもいるじゃないか! お前なんか大馬鹿野郎だ!」
(ポルフィ) |
名台詞度
? |
世の中に対して甘い夢しか持っていない上、家族や家のことをバカにする発言を繰り返すミケーネに対し、遂にポルフィがキレる。家も両親も全て失ったポルフィから見れば、その家や両親を小馬鹿にする発言は許せないのも当然だし、また旅を通じて少しは世間の厳しさを知ったポルフィは甘ちゃんのミケーネが許せなかったのもあるだろう。ポルフィはついにキレ、ミケーネにこのような罵声を浴びせて彼の家からつかつかと立ち去る。
ミケーネはなんでポルフィがキレたか理解できないだろう、いやポルフィも結局は母と同じように自分にとって都合の悪い考えしか持てない人間なんだと理解して終わりだろう。この男の末路はなんとなく想像がつく、友人もなく、コンテストに絵を出すこともなく、夢の通りパリへ行って修行することもなく、アトリエと称する離れに引きこもっていつまでも甘い夢を見続けるのだろう。
ミケーネがあんなんになってしまったのは、父がちゃんと息子と向き合わなかっただろうな…。 |
名場面 |
フランス入国 |
名場面度
? |
国境近くの街道で物売りをするフランス人を見つけたポルフィは、フランスへ行くためにある作戦を思いつく。それは物売りの男のトラックを何とか止め、荷台に忍び込んで国境を越えようというのだ。そう、ポルフィには国境まで歩くのが大変という物理的な問題の他に、いかにして国境の検問を越えるかという難題がのし掛かっていたはずだ(どうやってイタリアに入国したかという問題はこの際忘れよう)。そろそろそれに頭の良い視聴者は気付くはずで、このような形で答えが出る。
ポルフィは倒木を見つけてこれで道路を塞ぐ、そうすれば男の車は必ず停止して男は倒木をどかすために外に出るはずなのだ。その予測通りの行動を男が取った隙に、ポルフィは遂にトラックの荷台に潜り込むことに成功するのだ。
そして国境の検問では男の荷物が怪しまれ、ポルフィが隠れている荷物にも刀を突き立てられる。すんでのところでポルフィには当たらなかったが…。
この国境越えはこれまでの旅の中で最大の緊迫シーンであろう。今までの問題は何とか避けることが可能だった問題ばかりだが、国境を越えるという今回の障壁だけはどうしても避けて通ることが出来ない難関だったのだ。これを乗り越えるこのシーンは「ポルフィの長い旅」の中でも最高の緊迫シーンとして記憶に残ることは間違いないだろう。
そして無事に峠を越えたポルフィは、荷台からこっそりと降りたところをこの物売りに見つかる。久しぶりにひとつのエピソードを1話で完結させずに、次回へ繰り越した。いよいよ南フランス編に突入だ。 |
感想 |
実はポルフィがどうやって国境を越えるのかはずっと楽しみであった。この夏に原作本を読み、ポルフィがフランスまで行くと知った時からアニメでフランス国境越えをどう再現するかは楽しみであったのだ(原作を読んだ理由はアニメが原作と全く違う展開となると知ったからである)。どう考えたって少年のひとり旅で国境を越えるというのは無理がある(イタリア国境は忘れよう)、つまりここをどう再現するかはアニメ制作者側の力量が問われる部分でもあるわけだ。
私としては次回を見ないことには結論は出せないが、今回の話を見ている限りはうまくまとめたのではないかと思う。アニメのこれまでの流れを活かしつつ、大地震以降は全く取り入れることの無かった原作からのエピソードを上手に改変しながら折り込み、原作の雰囲気を中心にしつつ新鮮な物語に仕上がったと思う。原作を知っている人でも楽しめる展開だ。
原作を読んだ私としては、忍び込んだトラックの運転手に見つかるのか、それとも忍び込んだトラックが事故を起こすのかという問題があったが、今回は前者の展開を見た。ま、旅行はまだ続くのだから原作での時系列的に先に来る方が採用されるのはおかしくないだろう。
さぁ、フランス編スタート。いよいよ物語は終盤にはいるが、どんな展開になってゆくのか楽しみである。 |
研究 |
・久しぶりの原作踏襲展開
いよいよポルフィはフランスに入国した。どの峠からフランスに入ったのかまだ分からないままだが、とりあえず南フランスから話が始まるようだ。ありゃ、原作ではいきなりパリに行ってたぞ。
原作ポルフィはオランダの里親の元から家出し、行方不明のミーナを追ってフランスを目指すべく街道でヒッチハイクをする。ここでポルフィを見つけたトラックに乗せられて北を目指すが、ポルフィは家出と勘違いされる事を恐れて街道沿いに民家を見つけたところでそこが自分の家だと偽ってトラックを止めさせる。そして運転手に別れの挨拶をしてトラックを降りるのだが、トラックが発車するまでの間にこっそりと荷台に忍び込むのだ。荷台にはたくさんのジャガイモが積まれており、そのジャガイモの中に隠れて国境の検問もやり過ごす。ところがトラックが給油のために街道沿いのガソリンスタンドに停まると、ポルフィのガソリンスタンド店員になるという夢が表に出てきてしまい、ポルフィは給油の様子に見とれてしまう。そこでトラックの運転手に見つかり、「警察署に突き出してやる」という罵声と共にポルフィはトラックの助手席に放り込まれる。そして連れて行かされた先は…警察署でなく、パリの運転手の自宅だったという展開だ。運転手の家は、妻と5人の子供がいる貧しい家庭だった…(ちなみに原作では先にパリへ行き、その後に南フランスへ戻る展開となる)。
どうやらアニメでもここから少なくとも次の話までは原作の展開をなぞりそうだ。実は原作の展開をなぞるのは14話以来の事である。そもそも「ポルフィの長い旅」が原作である「シミトラの孤児」の展開を踏襲したのは、序盤の釘ばらまき事件と大地震の時だけである。大地震の時ですら、ザイミスとの関係など大幅に設定が変えられているのである。
原作を踏襲するのであれば、次話で出てくる物売りの男の奥さんの名はブリューノになるのだろうか? ただ原作では南フランスで出てくるのは別の家族なんだよな〜。 |