第41話「南フランスの家族」 |
名台詞 |
「ポルフィ、あのね。私、本当は大人になったら、ティファニーみたいな女優になりたい。私は後悔しない、あなたが教えてくれたから。」
(セシル) |
名台詞度
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唐突に家を出て行くポルフィ、そのポルフィの背中を追ってきたセシルが最後にポルフィに言う台詞だ。これまで「私なんか…」と女優になる夢を端から諦めていた彼女、「私なんか」の後にどんな言葉が続くかは視聴者各自の想像に委ねられているが、私の解釈ではその貧しさと母に代わって家を守らねばならないという立場が諦めさせているのだと考える。
そんな彼女にポルフィは「女優だってはじめは普通の女の子だろ?」と返したのだ。これで彼女は目覚めたに違いない、自分だって夢を見ることだけは許されるはずだと。
その気持ちをティファニーの台詞をもじってポルフィに伝えるのだ。ポルフィも同じように「人生はこんなにも美しい」とティファニーの台詞の続きで返すのだ。中盤でセシルがティファニーの台詞を真似していたのが、こんな伏線になっていたとは…。 |
名場面 |
サミュエル家での食事。 |
名場面度
? |
サミュエル家で厄介になっているポルフィは、食事の時間にこの一家の「現実」を目の当たりにする。ほんの僅かな具で作ったスープ、食べ盛りのセシルの弟たちにはとてもじゃないが足りない量だ。しかもおかわりはなく、その僅かな食材をもポルフィに差し出す一家。
このシーンの前、ポルフィは大家からアパートの家賃3ヶ月分を催促されている事実と、子供達が残りの食材を探して町を歩いている事実も見ている。どう見てもサミュエルの行商だけでは一家が食べて行くには少なすぎるのだ。
これまでポルフィは色々な家で厄介にっなてきたが、そのポルフィはこう感じたに違いない。「ここの世話になってはならない…」と。このポルフィの気持ちが映像だけで上手に再現されていると思う。
実はポルフィが貧しい家に厄介になってこう感じるのは原作を踏襲している話だ。原作ポルフィも同じようにフランス密入国のために忍び込んだトラックの運転手に助けられてその家に厄介になるのだが、そこでジャガイモと僅かなパンだけで生活する貧しい一家の実態を見てしまうのだ。それを見たポルフィは「自動車整備や給油は子供の遊びに過ぎない」とアニメのポルフィを見ていると信じられない考えに達するようになり、自分の生活費を稼ぐために働こうと決心するのである。これはポルフィがパリの街角にあるギリシャ料理店で働くきっかけとなる。
全話に続き、原作の展開をまた引っ張ってきたが、アニメでは原作のような意味のあるシーンにはなっていないようだ。 |
感想 |
フランス入国、先週の流れから原作に踏襲した流れになるのかと思っていたら、またオリジナルの家族が出てきて驚いた。だがその一家の貧しさと、その貧しさを見たポルフィの反応だけは原作を踏襲していて、ようやく「シミトラの孤児」が原作だと名乗っていい雰囲気になってきた、うんうん。
物語は前3分の2と後ろ3分の1で違う物語というあまり他では例を見ない展開となっていた。サミュエルに見つかってから、貧しいセシルたちとの物語と、最後の方のマチルドが出てきてからの結婚詐欺退治や湖を渡る船での話とまっぷたつに別れてる。前回も前後半で違う物語を入れており、このところ僅か二十数分のところにいろいろと詰め込みすぎているようにも感じてきた。カウロニア編やシチリアマフィア編のようにひとつの「出会いと別れ」にもうちょっと時間をかけてもいいんじゃないかと感じ始めてきたぞ。 |
研究 |
・またポルフィの現在位置を考える
いよいよフランスに入って最初の物語となった。フランスに入ったらポルフィの居場所が分かるかと思ったら…序盤で字幕にただ「フランス」って、分かってるんだよそれは!とテレビ画面にツッコミを入れたくなった。我々が知りたいのはフランスの何処かという問題なんだよ。
では今回の場所の考察をしていこう。手がかりとなるのはサミュエル家を出た後の展開だが、ポルフィの行く手に大きな湖が現れる。画面を見てみると対岸の町が出てくるシーンがあるのだが、このシーンで出てくる対岸の家のサイズと比較するとこの湖にはかなりの広さがあり、対岸まで数キロ以上はあると考えられる。
フランス・イタリア国境付近で大きな湖というと真っ先に思い付くのはレマン湖である、ありゃ、「わたしのアンネット」の舞台にだいぶ近付いたぞ。だがフランス側からレマン湖のほとりにたどり着いて船に乗って対岸なり湖の端へ行ったとすると、スイスのジュネーブやローザンヌやモントレーに行ってしまいそうだ。本当にアンネットに出くわしてしまいそうだな。だが次回予告では「スイスに行く」という設定は出てきていないし、乗った船もそんなに大きな船でなさそうなので対岸に渡ったのでなく陸岸に沿っていたという解釈も出来る。
結論を言えば、ポルフィが船に乗った街と降りて次回の舞台になる街のどちらかがミネラルウォーターで有名なエヴィアン(Evian-les-Bains)で、もう一方がトノン・レ・バン(Thonon-les-Bains)と考えられる。どちらもレマン湖南岸のフランス領の街であり、冬は雪に埋もれる寒さが厳しい土地である。そして「わたしのアンネット」に続きこの物語でもレマン湖が出てきたと考えられるのだ。
ただし、これはこれまでの物語展開と画面からの推定に過ぎず、まだ間違いないと断言できるものではない。突然次回で詳細な街の名前が出てきて覆される可能性もあるのでその辺りだけは理解していただきたい。ポルフィの足取りについても現在位置が分かるまでお預けと言うことで。 |