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・「愛の若草物語」のオープニング
「若草の招待状」 作詞・秋元康 作曲・高見沢俊彦 編曲・佐藤準 歌・新田恵利

 「世界名作劇場」について興味のある方なら誰でも知っている、シリーズの「黒歴史」に入ってしまった方の代表的なオープニングテーマと言って差し支えはないだろう。話によると視聴者の評判が悪く、苦情が殺到して後述の「いつかきっと!」にオープニングが差し替えられたと言うことらしい。どうもこの曲はテレビオープニング用に改めてレコーディングしていないようで、テレビオープニング版の最後はフルサイズの間奏部分がフェードアウトして終わるのだ(だがテレビオープニング用は「僕を迎えに来てたー」の「たー」部分にコーラスが無いというフルサイズ音源との差異はある)。
 だが、私は歌っている人はともかくこの曲は大好きだった。「若草物語」の世界観を上手にその時代(1987年)に合わせた歌詞で表現していると私は思う。歌い出しの部分の歌詞なんか本当に良い。作詞は当時、おニャン子クラブなどのアイドルソングを多く手がけた秋元康だが、私は彼の書く詩は結構好きである。イルカが歌う「もう海には帰れない」なんて、歌詞だけで泣かせてくれるもんな〜。
 メロディも特徴的だがアイドルソングに見られる一本調子ではなく、明るいアレンジと相まって素晴らしい歌に仕上がっていると私は思う(だから歌うのが難しい歌なのだが)。この曲好きだ。
「若草の招待状」を聴く度に感じる私の疑問点(長くなるので別窓にしました)
 余計な事を書いてしまったが、私はこの新田恵利が歌う「若草の招待状」は大好きである。欠点は多いが、「愛の若草物語」を語る上で外せない存在なのは確かだろう。

「いつかきっと!」 作詞・おおくぼ由美 作曲・森田公一 編曲・大谷和夫 歌・藩恵子・山田栄子・荘真由美・佐久間レイ

 この曲は元々挿入歌として作られたものらしく、オープニングが「若草の招待状」だった頃にも劇中で流れていた記憶がある。劇中のBGMもこの曲をアレンジした物がかなり初期の段階から流れていて、この曲の軽快なメロディラインは「愛の若草物語」を象徴するもののうちのひとつだろう。
 曲の内容は良くも悪くもありがちなアニメソングである。主人公姉妹の声を担当している4人の声優が、それぞれの役になりきって個性的な4姉妹の夢を歌い上げるという内容の歌である。1番はメグとジョオ、2番はベスとエイミー、サビは4人揃って歌うという構成になっており、さらにオープニングテーマとしては奇数回が1番、偶数回が2番というように交互に使用されていた。
 恐らく「世界名作劇場」シリーズのオープニングの中で主人公の声優が主人公の役として歌っていたのはこれが最初じゃなかったかと思う。「アルプス物語 わたしのアンネット」ではオープニングとエンディングを主人公アンネット役の藩恵子が歌っていたが、これは彼女が声優としてアンネットの役になって歌ったのではなく歌手として歌ったものである。ちなみに藩恵子が「世界名作劇場」のオープニングを歌ったのはこれが3作目となる。
 また1番と2番が交互にオープニングとして使用されたのもこれが最初じゃないかと思う。つまり挿入歌用のフルサイズレコーディングの他に、テレビオープニング用のレコーディングを最低2回行ったはずなのである。前述の通り「若草の招待状」ではテレビオープニング用をオリジナル音源をフェードアウトさせただけという手抜きをしたのとは対照的で、手の込んだ使い方をしている訳だ。
 なお「愛の若草物語」全編を90分にまとめた「完結版」では前半・後半ともにオープニングは「いつかきっと!」の1番で、この2番も「若草の招待状」も収録されていない。ただし「愛の若草物語」を再度小説化した小説版のおまけCDに収録されているのは「若草の招待状」の方で、「いつかきっと!」は収録されていない。
 曲の内容は明るくて希望に溢れていて私は好きで、この曲は「若草物語」の世界観を忠実に再現していると思う。というか忠実すぎて遊びがないと思うのだが、そこはそれ、元々はオープニング曲でなく挿入歌に過ぎなかったのだから批判すべき点ではないだろう。
 しかし、サビの全員での合唱部分ではジョオの声がすごく目立つな〜。

 ちなみに背景画像はどちらの歌の場合も同じである。雲が浮かぶ草原に「愛の若草物語」の題字で始まり、花瓶を割った罰におしりを叩かれるエイミー、安楽椅子に座って編み物をするベス、毛糸にじゃれるミルキー・アン、木の上で本を読むジョオが食べていたリンゴを落とす、メグの花嫁衣装、お母様にプレゼントを渡そうとしたベスにエイミーが追突、エイミーとベスを抱き上げるフレデリックの顔をエイミーが無理矢理自分の方へ向ける、帽子とじゃれるミルキー・アン、原作にあるクリスマスの劇シーンでセットが倒れるところ、家の外で一家で記念写真、記念写真がセピア色になってフェードアウト…そのままエイミーのスポンサー企業読み上げ(ジョオの絵を描きながら「この番組は楽しい家庭料理の世界を広げるハウス食品の提供でお送りいたします」)と流れる。
 この一連の背景も「若草物語」を上手に表現していると思う。特にアニメでは省略され原作のみのシーンである、クリスマスの劇が描かれている点は注目度が高い。本放送時はこの意味を知らなかった(見逃した回のエピソードだと思っていた)が、アニメ化でカットされた「原作で一番面白いと思われるシーン」をオープニングに入れたのは原作を知る視聴者へのサービスと見るべきだろう。クリスマスの劇のカットについては本文で詳細に考察したい(私はこのカットは「やむを得ない」と考えている)。
  
・アニメでは幻となったクリスマスの劇。原作ではこのようにセットが倒れるだけでなく、数人の観客が突然消えるなど大爆笑シーンが続く。

・「愛の若草物語」の主要な登場人物

マーチ家および親類
フレデリック・マーチ 主人公姉妹の父、自らの信念に従い南軍と戦う職業軍人。
 …現役の軍人、しかも司令官じゃなさそうだから若いんだろうな。登場回数が少ないせいかあまり印象に残らない父だ。
メアリー・マーチ 主人公姉妹の母、個性の強い娘達を上手に制御して家を守る。だが昔はジョオのような性格だったとか。
 …父とは対照的に、その優しさと頭の良さと頑固さが印象に残っている母。あのミンチンと同じ人が声をやっているとは当時信じられなかった。
マーガレット・マーチ
(メグ)
マーチ家の長女で、舞踏会など華やかな場に憧れている。
 …当時はあのメロン頭の意味が分からなかった。ヘアネットなんて知らない男の子だったんだよ〜。
ジョセフィン・マーチ
(ジョオ)
マーチ家の次女でこの物語の主人公、男勝りの性格で小説家を目指す。
 …お転婆と言うよりお調子者という言葉の方が彼女には合いそうだが、それでいて憎めない風に描かれている。
エリザベス・マーチ
(ベス)
マーチ家の三女、内気で大人しい性格だがピアノが絡むと性格が変わる。
 …よく言えば内気で恥ずかしがり屋、悪く言えば引きこもり。原作では結構目立つしユーモアセンスもあるのに驚いた。
エイミー・マーチ マーチ家の末っ子、淑女に憧れる生意気な少女。姉妹で唯一学校へ通っている。
 …物語のナレーター・メインマスコット担当。10歳以下の子供は少しくらい生意気でよく叱られる位がいいと思わせてくれる少女。
ハンナ マーチ家の家政婦、ベスとは違う意味での音楽好き。
 …アニメではこの人の設定が上手く決められてなかったように見える。回によって言うことが180度変わっていたり…。
ミルキーアン マーチ家の飼い猫、ベスに拾われた。
 …一匹で「サザエさんワールド」している永遠の子猫。これまで「世界名作劇場」に出てきた猫とは違う人面猫。
マーサ・フォーレット フレデリック・マーチの叔父で大金持ち。戦災で焼け出されたマーチ家を援助することになる。
 …ありがちな第一印象最悪、でも本当はとってもいい人ってタイプ。自分の頑固さの性格の悪さを認められるところがいい人なんだ。
デーヴィット・フォーレット マーサの腰巾着。徴兵を免れ遊びほうけるだけの嫌な奴と思ったら、最後はちょっとだけ成長する。
 …ありがちな第一印象最悪、第二印象最悪、第三印象…でも最後まで最悪じゃないのは「世界名作劇場」のおやくそく。
ポリー マーサが飼っている九官鳥。マーサの口癖を忠実に真似る。
 …この九官鳥による「誰も私の邪魔をしないでおくれ!」はある意味「愛の若草物語」を象徴している台詞と思う。
ハリー (執筆中)
 
周囲の人々
ジェームズ・ローレンス マーチ家の隣に住む主人、マーチ家が余程気に入ったようで色々な形で援助する。
 …ベスに対する態度があからさますぎ(笑)。
ローリー・ローレンス ジェームズの孫、彼がニューコードにやって来たマーチ家を覗き始めたことから物語が始まる。
 …積極的にジョオにアタックしていたが、最後には砕ける運命なのが可哀想だった。でも続編をみるとその苦労は無駄になっていないのね。
カール・ブルック ローリーの家庭教師でメグに惚れ、最終的にはメグと結ばれることに。
 …メグに対する態度があからさまだと笑ったが、相思相愛でよかったね!
ヘンリー 「ニューコードタイムス」の編集長、ジョオが書いた小説を気に入る。
 …そうさのぉ、1ダースの小説家よりジョオ一人に(以下略)と言い出しそうで怖かった。
アンソニー・ブーン 「ニューコードタイムス」の記者、ジョオが書いた小説や街に来た芝居をメタクソに批判する。
 …私はこいつに女心を教わったが、現在の自分はこいつと同じ事をしている…。
ジョン・マーティー マーチ家がゲティスバーグにいた頃に匿われた南軍の逃亡兵。最終的にニューコードタイムスで働くことに。
 …序盤でベスを人質に取ったがために一部で評判が落ちた可哀想なキャラ。私は誠実な男で好きだけどな。

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