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2013年の旅行からの「宿題」
島越駅「階段」の説明書きについて



「島越駅で津波に耐えた9段の階段」…これは島越駅のモニュメントとして、島越駅復旧の暁には保存されることが決まっている。現在は置き場がないためね旧島越駅前に鎮座している。
 そしてその「階段」が鎮座している場所には、この階段についての説明書きがあるのだが、去年の訪問記にも書いた通り、その説明書きには当サイトで公表した写真が無断で使用されている。
 だがこの説明書きを発見した去年は、行程の都合もあって説明書きについて調べることができず、翌年の旅行への「宿題」となっていた。
 このため、今年の旅行ではこの説明書きが作られた経緯と、私の写真が無断使用されるに至った経緯を明らかにするという点も含められた。ここではその結果について記録しておきたい。

「階段」の説明書きを写真に撮った。左側は旧島越駅舎の説明とこの「階段」自体の説明で、右側はこの「階段」を保存のために移設した作業について説明したものである。
問題は左側の説明書きだ。
 左側の説明の拡大写真、3枚の写真のうち下の2枚は私が撮影し、当サイトで公表した物の無断使用である。
その該当写真。一枚目は久慈側のトンネル付近から島越駅跡地全景を撮ったもの説明書きの写真と映り込んでいる人の位置や姿勢も完全一致。
 もう一枚は「階段」のアップ、レンズへの光の映り込みが一致しているので「偶然同じ写真」はあり得ない。確かにこの光景はインパクトあったなぁ。

 まず「この説明書きを誰が作ったのか?」が問題であったが、説明書きには著者や文責者についての表記がない。だからこれから調べることになった。
 まず田野畑駅で三陸鉄道の委託を受けて乗車券を売っている人に聞いてみた、その返事は「そのような震災復興における観光客向けの説明書きならば、田野畑村の方ではないか」という物だった。また「乗り鉄」中に宮古駅へ行ったときに三陸鉄道の駅員に聞いたところ、「駅の復興については地元自治体が受け持っているから、三陸鉄道側ではわからない」ということだった。

 続いて田野畑村役場へ足を運んでみた。受付に出てきた女性職員に事情を説明すると地域整備課の担当者が出てきた。そこで話をされたのは、この説明書きの存在は知っているが作成したのは田野畑村ではなく、島越駅の復旧工事を請け負っている建設会社だという話であった。担当者から建設事務所の場所を聞き、続いて建設事務所に足を運んでみた。

 こうして到着した建設事務所。訪ねてみると中には誰もいなくて、事務担当の女性がひとりだけ留守を守っている状況であった。この女性に事情を説明すると、すぐに建設事務所の所長と連絡を取ってくれて、ほどなく所長が現場から戻ってきた。ここで私の以下の通り話をした。

 ・島越駅の「津波に耐えた階段」についての説明書きに、自分が撮影してサイトに公表した写真が無断使用されている。
 ・その説明書きについて村役場で話を聞いたら、作成者はこの建設事務所だと聞いた。
 ・写真を使用するにあたっての経緯などがわかれば、お話をお聞きしたい。
 ・写真の無断使用について、悲惨な被災状況を観光客等に知らせるために役立っているので特に苦情は言わない。むしろこのような場に写真をご採用いただき感謝している。
 ・だが引用元が明記されていないために、今後私がサイトに載せている写真の方が他からの無断転用と疑われるなどのトラブルが発生する危惧があり、私としてはそれだけが怖い。

 これについて所長は理解の上で話を聞いていただき、以下のような回答を頂いた。

 ・該当の説明書きの文章は、間違いなくここの建設事務所の者が作成したものである。
 ・この説明書きは、「階段」の移設作業を終えた2012年秋に作成し、展示したものである。
 ・当時、この説明書きを作成した者は後に退職してしまい、説明書きの作成手法や写真の入手については今となってはわからない。
 ・推測であるが、写真については検索サイトの画像検索で見つけたものをそのまま使ったものと思われる。
 ・無断使用により要らぬトラブルが発生し、撮影者に迷惑をかける恐れがあることは承知した。早急に写真についてネット上から引用した旨を付け加えることにする。

…というわけで説明書き作成において、私の写真が使用された経緯は分からないままではあったが、私が心配していた「無断使用によるトラブル」については回避策を取ってもらえることとなった。
 また所長には私の「写真を使ってもらえたのはうれしいが、要らぬトラブルが発生するのが怖い」という気持ちも理解してもらえたのはとても嬉しいことだ。

 最後にこの私の行動において、業務中で忙しいところ時間を割いて対応していただいた田野畑村役場と、東急・小山 三陸鉄道北リアス線小本・田野畑間災害復旧JV建設事務所の方々に、厚く御礼申し上げます。



次回旅行の宿題

北リアス線、小本~島越間に深く切り込んだ沢に掛かるのは、このような美しいコンクリートトラス橋である。
この橋梁での「撮り鉄」が今後の課題となる。
橋梁が渡る沢の名は「真木沢」という。写真にはこの橋をくぐる道路が写っている以上、自動車で来る手段があると考えられる。
だが長大トンネルで挟まれた深い谷、到達は容易ではないだろう。まず地図での図上演習から…。

…意外にあっけなく着ける場所だったら悲しいなぁ。


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