2014年春 三陸鉄道訪問記
2011年3月11日、日本列島の東半分を巨大な地震が襲い、太平洋岸では大津波に襲われて多大な被害を受けたことはこのサイトの皆さんもご存じの通りだろう。 その被災地域に我らが愛する鉄道もあり現在も運行再開ができないままの鉄道もある。当サイトではその中でも私の若き日の旅行の思い出の舞台であり、かつ仕事でも訪れたことのあってまさに「公私にわたり記憶に残っている」三陸鉄道にスポットを当て、毎年春の大型連休に三陸鉄道を訪れ、その被災状況と復旧状況をレポしてきた。 そして今年、2014年4月に残った未開通区間が相次いで運転再開となり、被災から3年と1ヶ月の時を経てようやく全線で営業運転を再開した。 私は全線開通した三陸鉄道に乗るべく、今年の大型連休も東北旅行の計画を立てた。そしてこの旅行で三陸鉄道を訪れた際の記録を、アルバム形式でお送りしよう。 ・お品書き 今回の旅行記は下記の4部構成となっています。順番にご覧ください(「1.南リアス線」から「4.「夜鉄」のススメ」まで連続で読むこともできます)。 1.南リアス線 2.北リアス線 3.去年(2013年)の宿題 4.「夜鉄」のススメ ※本訪問記をご覧になる方で本サイトに始めてお起こしの方には、昨年以前の訪問記をご覧になることをお勧めします(下記リンクは別ウインドウまたは別タブで開きます)。 2011年春三陸鉄道訪問記 「鉄路の悲鳴がきこえる」 2012年春三陸鉄道訪問記 「復活までの道のり」 2013年春三陸鉄道訪問記 「槌音がひびく」 ・おわりに 2011年の震災被災から、私にとって「趣味でも仕事でも世話になった鉄道」としてスポットを当て続けた三陸鉄道。2011年から毎年春の大型連休の旅で行程に組み入れ、その様子を記録して「特別企画」として当サイトで公開してきた。特に2012年までは訪問地を三陸に絞り、三陸鉄道以外の状況も当サイトや私のブログで公表してきた。 この4回に渡って続けた「特別企画」であるが、三陸鉄道全線運行再開をきっかけに一区切りとして今年の訪問記を持って恒例記事として企画は終わりにしたいと思っている。だが、今年ひとつ「宿題」が提示されたこともあるので、今後は「撮り鉄日記」などの通常記事の形で三陸鉄道を取り上げることを考えている。 だが、震災により分断された三陸鉄道が全線復旧したことは、「ゴール」ではない。あくまでもこれは「震災復興」という長い道のりの中で一つの出来事でしかなく、むしろ「スタート」と言えるものとも言えよう。 だが鉄道が復活したことで活気が戻った駅を、町を見ていると、この全線復旧という出来事は「震災復興」において大きな前進であると信じたい。被災地と他地域が鉄路で結ばれることで、被災地の「孤立感」が拭われてくれればと願わずにはいられない。 震災発生により、三陸鉄道は存亡の危機に立たされたと言って良いだろう。ただでさえ過疎化が進んでいた沿線を抱え、乗客数が多かったとは決して言えない鉄道であったことは否定しない。様々なアイデアで少しでも客を取り込もうとしたがそれでも苦しく、2009年には「地域公共交通活性化再生法」による「鉄道事業再構築事業」の認定を受け、「上下分離」を実施するなどの苦しいやりくりをしていた。そこへ大震災が襲ったのである。 それでも挫けずに、被災から僅か5日で一部運行再開、同時に被災者のために無料運行を行うなど、震災という非常時に「地域の足」として役立とうとした姿に、多くの人が心打たれたことだろう。だが破壊された線路や土木構造物の復旧に多大な費用が掛かることはこれとは別問題だ。その中で国が「地域の鉄道」の重要性を認識し、三陸鉄道がその「地域の足」として復興に欠かせないと判断し、三陸鉄道の復旧も被災地の復興として費用を出したことで「助かった」という形なのは確かだろう。だがそこにこぎ着けるまでの三陸鉄道の道のりは、とても険しいものだったはずだ。 そしてこの全線復旧は「険しさの終わり」ではない。全線が元に戻ったこれからこそが正念場であるのだ。震災による沿線人口の流出もあり、震災前よりさらに険しい経営状況が待っている。昨年度は三陸鉄道を取り上げた朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の影響による観光客の増加があったが、それでも三陸鉄道は黒字を出せていない。時間と共にブームは下火になるので、テレビドラマという一過性のブームにいつまでも頼るわけには行かないだろう。 そのこれから三陸鉄道が歩むはずの道のりを案じて、今回の訪問記のタイトルを「嶮しき道程」というものとした。このいつ終わるとも知れない険しい道に負けず、三陸鉄道には頑張ってもらいたいという願いだ。 今回の訪問記で恒例記事としての三陸鉄道訪問記を終えるが、今後も機会があるごとに三陸に立ち寄り、三陸鉄道の客になろうかと思っている。その際には何らかの形で当サイトに載せるので、是非ともご期待願いたい。 |