心象鉄道8.JR東日本E233系0番台 |
3.では比較してみよう 今回(次回があるかどうかは置いておいて)の比較対象
まず全体の印象であるが、フロントの白部分の色合いが違うことに気がつく。どちらかというとTomixの方が実物の印象に近く、KATOはちょっと黄色みがかかっているように感じた。
先頭部を斜めから見ると、一番目立つ違いは側面の一番前にある運転席窓の位置が違う。KATOの方が若干後ろに位置しているのだ。実物ではフロントの白が側面に回ってステンレス地の銀に変わったところからこの窓が始まっているので、これはTomix製の方が正しいことになる。KATOがこうなってしまったのは理由があり、側面のステンレス地の部分とフロントの白部分を別パーツ再現しているためで、白パーツを固定するための爪などを取り付けるためにこうなったのだろう。Tomixではこの部分を塗装のみで再現している。 ま、この窓の位置は写真で拡大したから目立つのであって、Nゲージのサイズなら気にならないかも知れない。私も今回Tomixのものを購入するまで、この違いに気付かなかったし…。
さてこの正面比較写真であるが、E233系を両社揃えたという奇特な方以外からは「比較写真なら揃えて並べろ」とお叱りを受けるに違いない。だがハッキリ言おう、両者ともカメラのレンズの位置から同じ位置に揃えている。だがKATOの方が手前にあるように見えてしまうだろう。詳細なサイズは後述するが、実はKATO製の方が背が高いのだ。しかも高さの差が出ているのはレールと車体の間なので、こういう風に並べるとどうしても並んでいるように見えない。 スカートの色も両者で違う。KATOはグレー、Tomixはシルバーであるが、実物はグレーでKATOの方が合っているように感じる。私もこちらの表現の方が好きだ。 窓下のJRの社章と社名の英文字であるが、社章の方はTomixの方がきれいに印刷されており、文字の方はKATOの方がきれいに印刷が決まってる。前面の白部分とシルバー部分の違いであるが、前述の通りKATOは別パーツになっていて境界が目立ちすぎている感がある。Tomixの方が境界が自然に決まっていると私は感じる。
屋根上で気になるのは、屋根上に載っている信号炎管や無線アンテナのサイズの違いもあるだろう。KATOの方が大きいが、これは実物比で見ると明らかにKATOのこれらのパーツが大きすぎだ。だがTomixのち小さすぎである。私はTomixの控えめな再現の方が好きだが、これは好みの問題になってくるだろう(形状の違いはモデルとなった編成の違いによる)。
では正面周りについてはこの辺りにして、側面へ行ってみよう。 ぱっと見あまり気にならなかったが写真にしてみると気になるのが、ステンレス地の光沢再現だろう。KATOはあっさりと、Tomixは梨地仕上げのざらついた感じを再現したのだろう。写真で見ると全然違うように感じるが、実際にはTomixの方が僅かに光沢がある程度にしか感じない。 窓枠の再現はあっさりしたKATOの方が好きだ。実物のE233系は窓枠があることを殆ど感じさせないほどものでしかないのだ。窓の色は写真には上手く出なかったが、Tomixもちゃんと緑色になっている。これもKATOは濃すぎ、Tomixは薄すぎといった感じでこの中間があればいいと私は思う。 帯の色は甲乙付けがたい。Tomixの方が若干茶色に近いようにも見えるが、どちらもE233系のオレンジを上手に表現したと思う。ステンレス車の帯色なんて光の加減などで違ってくるので、絶対に正しい色をプラ製品で再現するのは難しいだろう。 車両番号はTomixの大きさの方が合っているように感じる。実物の表記はかなりあさっさりしており、KATOの表記が目立ちすぎるように感じる。 行き先表示については、4項で。
連結部周りを側面から見てみた。目立つのはKATO製には所属表示「八トタ」があることだろう。だがこれは字も大きく目立ちすぎでかえって邪魔に見える、KATO製は車両番号もそうなのだが印刷されている字が全体的に大きすぎ、色も濃すぎるように感じる。E233系の表記文字の色は黒でなく灰色なのだが、これはどう見ても黒にしか見えない。これ向き表示(○に囲った数字)にも言えることで、実物はもっと小さくて色が薄いように感じる。文字が小さすぎて印刷に限界があるのならば最初から書かない方が潔くていいと思うのだが。 号車表示もKATOの方が色が濃いが、車椅子表示や半自動ドア押しボタンはTomixの方が薄い。号車表示はTomix、車椅子表示と半自動ドア押しボタンはKATOの方が実物に近いように感じた。 この写真だとKATO製とTomix製での車高の差が何処で出ているかがよく分かるだろう。台車と車体のすき間をみれば一目瞭然だろう。私はTomixの表現が好きだ、車体と空気バネが直結しているというボルスタレス台車の構造を考えればこちらの方が正しく、KATOの方は宙に浮いてしまっているように見えてしまう。KATOはサスペンション機能が入っており、これで車体を持ち上げた結果、車体と台車の間にすき間が出来てしまったのだろう。上から車体を押してサスペンションを潰してしまうとちょうど良い感じになるのだ。このところのKATOは既存の台車や台枠の構造のままサスペンションを入れて車高が上がってしまっている製品が多く「?」と思うことも多い。サスペンションという機能を入れるならそのバネ高さ分車高を低くした設計をしなければならないという基本をこのメーカーは考えてないのか…だいたいNゲージ程度の大きさや重さのものでは、サスペンションの有無による走行安定性に差は出ないと思うんだけどな〜。 連結間隔であるが、これは両方とも直線区間でカプラーを引いた状態である。拡大した写真で見るとTomixの方が広いように見えるが、実測すると若干KATOの方が広めである。カプラーを押した状態にするとどちらも貫通幌パーツが密着する直前まで接近するので、「連結している」感が強くなる。甲乙付けがたいがTomixの方はあくまでも別売りオプションのTNカプラーに交換した状態なので、標準状態ではKATOに軍配が上がる。 屋根上のパンタ周りについては、もっと詳しいサイトにお任せしてここでは省略させていただく。
先頭車同志の連結である。Tomixは先頭車に当然のようにTNカプラーを標準装備して、非連結状態でも連結状態でも見栄えを良くした。実物も先頭車同志の連結はこんなものだろう。対してKATOは先頭車用の密連型カプラーを装備している。これは前照灯のスイッチを兼ねた機構でカプラーを前に引き出してから連結するというものである。当然引き出した分連結間隔が広がるわけで、これが先頭同志を連結した状態での雰囲気を大きく損なっている。確かにアーノルトカプラーで連結するしかなかった頃に比べたらこれでも格段に良くなっているのだが…そろそろKATOには先頭車用のカプラーについて構造的な見直しをお願いしたい、前照灯スイッチを別にしてカプラーを引き出す機能は廃止し、その上で中間車用の密連型カプラーを入れれば解決じゃないかと思う。このカプラー引き出し機能という今となっては前照灯スイッチとしてしか意味がないし、代替案もあるんだからとっとと廃止して連結状態での見た目をよくすることを優先させるのが模型としてあるべき姿だと思う。マイクロエースなんか先頭車同志の連結について、標準状態ではダメダメだがちゃんとTNカプラーを付けられる構造にしている、それほどまでに先頭車同志の連結という点についてはどこも気を使っているのだ。 ついでに下にカプラーを引き出さないまま先頭車同志を連結した場合の写真を示しておく。まだTNカプラーには勝てないがかなり感じは良くなっているだろう、KATOは既存の構造だけでここまでに出来るのだから早急に構造を変えるべきである。
中間先頭車は昔に比較したら大分良くなった。これがTNカプラーや密連型カプラーの威力だろう。特にTNカプラーはダミーカプラーと変わらぬ外見を持っているのが強い。正直言ってマイクロエースのダミーカプラーに比較したらずっとよく、TNカプラーを連結目的でなくマイクロエース製品のディティールアップ目的で採用したこともあるし…。 だがカプラーの色はKATOの方が良い、E233系の床下機器類の色を上手に再現しているのだ 最後にサイズである。下記の表に詳細を示すが、どちらが正しい寸法かということはあまり意味を成さないと思う。特に長さ方向は連結機構の制約などあって昔から縮尺通りに再現するのは難しいと思うからである。
全体的に見ると横幅以外はKATOの方が一回り大きいことが分かるだろう。実際に並べると高さは写真以上に大きいようにも感じる、実物に換算すれば7.5センチも車高が違うのである。恐るべしサスペンション機能だ。 長さは全て連結面距離、先頭車はダミーカプラー先端からの距離だ。()で囲んだ数値はKATOの中間先頭車のカプラーを引き出さない場合の数値である。1両あたり1.5〜2ミリほどKATOの方が長く、走行状態で10両編成にすると20ミリ以上も長さが変わってしまうのである。中間先頭車のカプラーを引っ込めても18ミリも変わってしまう。18ミリというと実物換算で2.7メートル、実物が2.7メートルもオーバーランして駅に止まったら大騒ぎとはならなくてもドアの位置がズレたりして困るだろう。 編成で並べて最後尾車を同位置に並べた場合、先頭車のズレは次の写真のような感じである。この写真撮影の際はKATOの中間先頭車のカプラーは引き出してない。つまり走行状態では差はもっと大きいと言うことである。
しかし、こうして並べるとKATOのE233系ってデカく見えるな〜。
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