心象鉄道8.JR東日本E233系0番台
(KATO・トミックス Nゲージスケール)
模型で再現! 地元の電車を徹底解剖!

模型写真、左からKATO製のE233系とトミックス製のE233系
前のページに戻る


4.KATOのE233系に言いたいこと

 KATOのE233系に対して一番言いたいのは側面の行き先表示だ。Tomixは車体に穴を開けて窓と一体のガラスパーツをはめて表現しているだけで行き先等の表示はない。KATOは「特別快速・高尾」を車体に印刷しているのだ。表現力ではKATOの圧勝なのは認めるが、私はどうしても好きになれない、というかこれはメーカーの暴利と手抜きだと感じている点である。
 実物の構造を見れば、車体に穴を開けてその中にLED式の電光掲示板を入れてガラスでフタをしている。つまり構造的にはTomixの方が正しいのだ。だが模型の場合、行き先表示を出したいならその上にシールを貼ることになるので印刷でも同じだとKATOは判断しているのだろう。
 だがKATOの表現方法だとそこに「行き先表示装置」という機械が、車体に穴を開けてまで埋め込んであるという立体感に乏しいのだ。
 またKATOの方は行き先を変えられないのがもどかしい。通勤電車のこのような表示はユーザが「選べて」なんぼの世界だと私は考えるのだ。この行き先表示を変えることで自分の思い入れの1列車、自身の通勤や通学の足になっている姿や、何処かへ出かけたときの思い出などを再現するのだ。それが「特別快速・高尾」だと言う人はそれで良いだろう、だが思い入れのある列車が「快速・東京」だったら? 「快速・立川」だったら? 「各駅停車・三鷹」だったら? KATOは行き先を変えるためのシールを用意したと言うが、それが別売りというのだから頭くる話だ。ハッキリ言えばぼったくりである。そう言われるのを避けるためか、前面だけは「快速・東京」に差し替えられるパーツを入れたが、側面まで「快速・東京」に揃えたかったら別売りの行き先を買えというのである。
 いや、行き先パーツを別売りにすること自体は否定しない。そういう売り方も場合によっては正しいだろう。別に「特別快速・高尾」を車体に印刷するという手抜きをしても構わない、別の行き先を別売りとして販売するのも悪くない。でもそれは代表的な行き先2〜3を選んで交換が出来るようにパーツやシールを標準装備した上での話だと思う。せいぜい前面パーツだけを標準装備にした「快速・東京」くらいは10両分の側面行き先シールを付属させた上で他は別売りというのであれば、「まぁ仕方がないか」と私を含めた多くのユーザが思えるようにはなったんじゃないかと思う。
 さらに別売りで出した行き先のバリエーションがどう考えても少なすぎるのだ。主力の快速については「快速・東京」と「快速・武蔵小金井」しかない。「中央特快」は東京と大月があるのだが、「青梅特快」は青梅だけだし「ホリデー快速」に至っては「おくたま」と「あきがわ」の表示がない。富士急行線や八高線乗り入れの表示はそれが当然のように用意されていない。都合行き先はたった6種類、この少なさで735円は正直言って高すぎる。その半分程度が正当な価格だろう。しかも私が欲しい「快速・立川」とか青梅線乗り入れの「快速」等は全く無し。
 だいたい、E233系は行き先表示の内容が多彩なのである。日本語/英文字表示の切り替えはもちろん、停車中には次の停車駅や終点までの停車順が表示されたりする。さすがに「快速・東京・次の停車駅は神田」という表示じゃなきゃ嫌だというユーザは少ないだろうが…だが色んな表示が出るからこそ安易(に決めたとしか思えない)に印刷表現なんかしないで欲しかったと私は思う。これなら内容が多彩で対応しきれないと非表示としたTomixの方が潔いと思う、KATOにもそれを見習ってどうしても印刷表現にするなら非表示状態を標準として欲しかった。無表示、非表示ならユーザが勝手に脳内補完する手もあるのだから…で表示したいユーザだけがシールを貼ればいい。
 また私は側面の行き先表示については、ここ数年はシールが付属していても表示させないことにしている。行き先を決めてしまうことで走る「向き」まで決まってしまうのでは車両が可哀想だと考えるようになったためである。KATOのE233系はメーカーによって走る向きまで決められてしまったのである、逆送は禁止、可哀想に…Tomixの前面行き先は交換式である、中央線だけでなく青梅線や五日市線はもちろん、八高線や富士急行線に乗り入れた時の行き先まで標準装備で付属している。「青編成」に使える青梅線・五日市線の列車番号が入った行き先もある。だから反対に走らせたかったら反対方向の行き先に差し替えることは容易だからこのような問題は無いのだ。KATOもせっかく前面にああいう差し替え可能な行き先表示を採用したのだから、側面は無表示にすればこのような問題はなかったのだ。
 さらにKATOの行き先印刷表現の理由に「買ったらすぐ走らせることが出来る」という言い訳をしているが、これは手抜きに対する言い訳に過ぎないことは明らかだ。だったら信号炎管や無線アンテナという極小パーツがユーザ取り付けになっているのはどういう意味だろう? これは是非ともメーカーに説明していただきたい部分である。つまりはどっちも手を抜いた結果なのだ。
 だいたい「買ったらすぐに走らせることができる」なんて方針は私は反対である。模型の車両は完成品でも「手を掛ける」から可愛く、いとおしく感じられる筈である。それが行き先のシールであろうが、信号炎管や無線アンテナでもいい、手を掛けさせることでユーザはその車両に愛着を感じて可愛がる物なのである。信号炎管パーツを紛失した数だけその車両への愛も深まるのだ。KATOの担当者はそう言うことを忘れ始めているのか、KATOはマイクロエース化するというのか?(マイクロエースの車両はそういうところと無関係に手が掛かるから可愛くなってくるのだけど)


5.TomixのE233系に言いたいこと

 TomixのE233系に言いたいことは表記類のユーザ貼り付けが多すぎること。4項で手が掛かるほどいいという趣旨のことは書いたが、さすがにTomixのユーザ貼り付けの多さにはまいってしまった。正直言ってわが家に入線したのが正月休みでなかったからとてもじゃないけど仕上げることは出来なかっただろう。同じような理由で以前購入したTomixのN700系もまだ仕上がっていない。物には限度ってものがあると思う。
 車両番号や編成番号をユーザ貼り付けとした点については大いに評価したい。これによって私が今回希望していた「青編成」として仕上げることが可能になったのだから。だが他の表記はどうだろう? 先頭車のATS表記、1号車と10号車の車椅子対応設備マーク、4号車の弱冷房車表示、全車両に付く号車番号表示…これらは印刷してしまってもよかったのではないかと思う。ついでにKATO製品では表記されている所属表示も印刷してくれれば言うことなしだ。
 無論我々のような大人がこの模型を買うのであれば、これはユーザの我が儘としてしか考えられなくなるからそれで良いのだが、車両は中央線の主力である。子供が購入することも十分にあり得るのだ。子供が購入して号車番号表示や車椅子表示なんかを、上手に位置を割り出して貼り付けることが出来るだろうか? また貼り付け前、または貼り付け中に車両がまぜこぜになってしまったら区別が付かなくなってしまう恐れもある。
 これら共通の表記については、実物に例外か無い以上は違う使い方をするわけは無いので印刷してしまっても良かっただろう。だがTomixの車両はKATOやマイクロエースとの比較だけで言えば高価なので、メーカーがこれを自覚した上で価格を下げるためにやむを得ない処置だったと考える事もできるから、一概に否定は出来ないことでもあろう。
 それと、TNカプラーを是非とも標準装備にして欲しいということ。KATOが密連型伸縮カプラーを標準装備にしているのだから、対抗上必要ではないかと考えられる。また別売品のTNカプラーが時期によっては品薄で手に入らなかったりする(それは室内灯にも言えるが)のでこれは是非とも考えて欲しい。ひょっとしたらこれも前述の価格との折り合うという問題もあるかも知れないが、アーノルトカプラーを付属しないことを考慮すればそれほど高くなるとは思えないのだが。
 さらにTNカプラー取り付けに当たって、台車を外して既存のカプラーを切り落とすという工程もなんとかして欲しい、マイクロエースのようにカプラーポケットを着脱式にできないものか? 将来気が変わって別のカプラーに戻したいと思ってもそれは不可能になってしまうのだ。


6.競作になった場合

 今回、競作となった車両だが発売時の経緯(当初はKATOのみH編成を出し後にTomixがH編成をバリエーションにした)によって結局双方とも買うことになった。競作になった際に双方のメーカーの物を揃えたというのは、わが家では「北斗星」編成以来ではないかと思う。
 以下、競作の場合にどのメーカーを選んだかと、その理由を記したい。競作を意識しなかった物については省略する。

車両形式 発売メーカー 購入メーカー 選択理由
JR24系
「北斗星」編成
KATO
Tomix
双方 発売時の経緯による。当初はKATOからJR北海道仕様のみが発売されてそちらを購入、のちにTomixがJR東日本仕様を発売したために双方購入となった。
小田急電鉄
10000系「Hise」
KATO
Tomix
KATO 当時は先頭部の仕上がりや色合い、さらには点灯可能な急行灯を見てKATOを選んだ。だが連結部の構造が弱く数回走らせただけで走行不能に。数年前にTomixのものを買い直した。
近畿日本鉄道
21000系
「アーバンライナー」
KATO
Tomix
KATO 車体先頭部の形状を比較した結果、当時はKATOの方が再現力は上だったと思う。
JR東日本253系
「成田エクスプレス」
KATO
Tomix
Tomix TomixがTNカプラーを初採用、トイレの汚物タンクまでも詳細に再現した中間車妻面の仕上がりに心を惹かれた。また新開発のTNカプラーに対する実験的な意味合いも。
東武鉄道100系
「スペーシア」
Tomix
グリーンマックス
グリーンマックス 先頭部の仕上がりや客室窓の色合いなどはTomixの方が気に入っていたが、実物同様車体妻面に塗装を回し込んでいるグリーンマックスの方が好きだった。後に実物の方がTomixと同じになってしまったが。
JR東日本
E1系新幹線
KATO
Tomix
Tomix フル編成全形式揃えた点で私の心を捉えた。だが先頭車は使い回しだったが…。収納性も選択の理由の一つ。
JR西日本
新幹線500系
KATO
Tomix
KATO 店頭で見比べた結果、色合いや車体表現が気に入った方を買った。ただし車体断面はTomixの方が正しいと思う。
JR東日本E26系
「カシオペア」
KATO
Tomix
KATO 既にある「北斗星」牽引用のDD51と機関車を共通化したかったため、カプラーの関係からKATOとせざるを得なかった。室内灯などの事を考えるとこの選択は失敗だったかも知れない。
JR東日本
E231系近郊型
KATO
Tomix
マイクロエース
KATO 帯色の表現がKATOの方が気に入ったから。他については甲乙付けがたかった。
西武鉄道
E851型電気機関車
KATO
マイクロエース
マイクロエース KATOの12系客車と連結した場合、車高が実物とほぼ同様位置に揃う点、車体の塗装が実物に近いと感じた点、貨車セットの場合車掌車のテールライトが両側点灯となっている点が有利であった。
JR東日本
E4系新幹線
KATO
Tomix
Tomix 既存の400系やE3系と連結可能な方を選んだ。
KATOの印刷済み側面行先表示が気に入らなかった。
JR東日本
E2系「はやて」
KATO
Tomix
KATO 1000番台フル編成であった点から。また新型の収納式カプラーに対する実験的要素もこめて。
JR東日本
E3系「こまち」
KATO
Tomix
KATO 上記E2系と連結可能な方を選ばざるを得なかった。収納式カプラーに対する実験的要素も。
JR東海・西日本
N700系新幹線
KATO
Tomix
Tomix 店頭で比較した結果、仕上がりや車体の色合いが好みに合った方を選んだ。



E233系のトップへ