心象鉄道8.JR東日本E233系0番台
(KATO・トミックス Nゲージスケール)
模型で再現! 地元の電車を徹底解剖!

模型写真、左からKATO製のE233系とトミックス製のE233系

2015年2月15日追加記事

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1.地元の電車

 地元の車両というのは鉄道模型で揃える絶対条件としている。5年前まではずっと西武線沿線だったこともありKATOの西武新101系等をこのルールによって購入したし、その後日野に越してからは流石に多摩モノレールは断念したが中央線の車両を地元の車両として揃えた。それがJR201系電車や、E257系等である。
 この秋、私は武蔵村山に越したのだが今度は最寄り路線が青梅線ということになった。そこで青梅線の車両を揃えようと思ったのだが、これがなかなか無いのである。何よりも青梅線の歴史を紐解けば開業以来ずっと乗り入れやお下がりの車両だけで運行されてきた事実が一番の要因となるだろう。
 仕方がないので今まで所有していた201系やE233系を青梅線乗り入れ運用なのだと言い張ったり、E257系を「青梅ライナー」だと言い張ったりしようかと考えたが、そういう人間につけ込むような製品をTomixが出してきた。TomixがE233系を製品化し、しかも青梅・五日市線専用車である通称「青編成」にも仕上げられる仕様として出してきたのである。
 そこで私としては「青梅線」再現用にこのTomixのE233系を買うことになったので、今回は既に持っていたKATO製品との比較を中心に紹介することとしよう。

2.E233系

 E233系は首都圏通勤電車の現時点における完成版としてJR東日本が満を持して世に送り出した車両である。2006年秋に落成し、その年末より中央線で営業運転を開始したのがその最初であり、現在も増備が続いている「標準型」と言える電車であろう。
 中央線では国鉄が「省エネ電車」として世に送り出した201系が使用され続けていたが、量産車の登場が1981年と既に車齢20年を大きく越えた車両であり老朽化が深刻な問題となっていた。同じ201系をJR西日本はリニューアルして継続使用することとなったが、JR東日本では201系をリニューアルして寿命を延ばしてまで使用するのは得策ではないと早い段階で判断していたのだろう。中央線の201系は特に手も掛けられず老朽化する車体にむち打って酷使されているような状況であった。
 この置き換えに登場したのが中央線用のE233系0番台である。これまで山手線や総武線各駅停車、それに新宿湘南ライン等の近郊区間に投入されたE231系をさらに進化させ、故障対策に機器類の二重化等の対策が行われた。さらに中央線向けはその路線の特徴(青梅線等の支線乗り入れや山梨県方面への運行もある)に合わせ、ボタン式半自動扉の採用や、10両編成(T編成)と4+6両編成(H編成)の二種類用意した編成内容などが特筆である。
 その他E233系は京浜東北線に大量投入中で、東海道本線にもとりあえず1編成が投入されている。今後常磐線各駅停車や東海道線への本格投入が予定されているという。
 さて中央線向けのE233系であるが、201系置き換え用に投入された数は中央線に運用されている201系の数を大幅に超えるものであった。JR東日本の発表によると中央線だけでなく青梅線や五日市線の201系をも一気に置き換えるとのことで、当時私は大変驚いた記憶がある。まさか、青梅線に「お下がり」でなく新車を直接投入するとは…こうして中央線へのE233系投入が一息つくと、青梅線・五日市線専用のE233系が投入され始めた。最初は五日市線運用を中心に投入され、のちに青梅線運用を一気に置き換えた。
 青梅線・五日市線用のE233系は通称「青編成」と呼ばれ、基本的には中央線用の「H編成」と同一仕様である。違いはその「運用方法」(「編成管理」)だけである。
 中央線用の「H編成」は4両編成と6両編成が必ずセットで運用され、五日市線や八高線や富士急行線に乗り入れて分離しても、戻ってくるときは必ず同じ組み合わせで連結することが基本となっている。だから4両編成も6両編成も同じ編成番号が振られており、あくまでも4両編成と6両編成の2編成で1本という使い方がされているのだ。
 ところが「青編成」は4両編成と6両編成が個別に運用されるのである。4両編成+6両編成で車両基地を出て行くと違う組み合わせで帰って来る運用があったり、6両編成単独や4両編成単独で使用されることもあるのだ。4両編成と6両編成の組み合わせを固定すると使いづらいのでこの組み合わせを変えられるようにしたのが「青編成」なのだ。「青編成」では4両編成は「青4**」、6両編成は「青6**」とそれぞれ独自に編成番号が振られている。青梅線立川〜青梅間の10両編成中心の運行、五日市線の6両編成中心の運行、青梅線青梅〜奥多摩間の4両編成中心の運行というように運用エリア内で様々な編成に対応せねばならないのでこのようになったのであろう。
 運用方法以外には変わりはないようで、2008年春には「青編成」のうち一編成が編成番号を書き換えただけで中央線用の「H編成」に転用されたケースも存在する(「青458」+「青658」=「H58」)。夏の臨時列車として中央線用の「H編成」と一緒に「青編成」の4両編成と6両編成が、長野県の富士見(中央本線)〜明科(篠ノ井線)間で運用された事もあり、この時現地では「H編成」と「青編成」は区別されずに混用されていたようだ。


3.模型のE233系

 E233系も実車が登場すると、すぐにNゲージメーカー2社から発売予告が入った。最初のラインナップは老舗KATOから「H編成」が、Tomixからは「T編成」という組み合わせで双方のメーカー商品を同時に買ってもダブらない、微妙に競作となるのを避けたようにもみえる商品展開であった。これによって当初はどちらのメーカーのE233系を買うかは、メーカーごとの仕上がりの好み等で決めるのでなく、4両編成+6両編成で分割可能な「H編成」が欲しいか、10両編成内に中間運転台のない「T編成」が欲しいかという基準となった。現に私の周囲でE233系を購入した人の判断基準もそうであった。
 だがTomixの「T編成」を買った人の報告によると、先頭車はいつでも中間先頭車に作り替えられるような構造になっていたという。これはTomixからも「H編成」が出るのは時間の問題ではないかと思われていた。
 その予想通り2008年の年末に向けてTomixからも「H編成」発売が予告された。しかも実物同様車体の番号や編成番号を書き換えれば青梅線・五日市線用の「青編成」にもなるという内容だ。KATOの「H編成」は編成番号や車体番号だけでなく、行き先表示までもが印刷済みで「青編成」に作り替えることは不可能だったが、Tomixはそのような表記をユーザが自分で貼り付けるようにしたため「青編成」も可能となったのだ。
 私は最初、「H編成」が欲しいと言う理由でKATOの物を購入した。ところがTomixからも「H編成」が出ると聞いてかなり悩みに悩んだのだ。決め手は「青編成」にもできるという商品構成だった。地元路線が青梅線となり、青梅線の模型が欲しいと思っていたところにこの情報によって私はボーナスの模型予算を銀行からおろして模型屋さんに走らせることとなる。無論「H編成」は2編成も要らないので、「青編成」として仕上げた。
 今回はこのサイトで、この両社のE233系を見比べてみることとする。この模型にはメーカーに言いたいことがたくさんあるので、ここにアップしても何の影響力もないのだがハッキリ遺しておこうというのが趣旨である。
基本的には編成番号や車両番号は貼り付け済みだが、行き先表示については一部の写真を除いて出荷時設定のままとした。


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