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101系(分散冷房車)
KATOの101系にバリエーション
 旧101系は1969年に登場した、西武秩父線に対応した高性能電車だ。その実車の詳細は西武池袋線101系まとめてのページで紹介済みなのでここでは割愛するが、主に池袋線で活躍していた。
 101系登場から3年の1972年、他の大手私鉄同様に西武鉄道でも通勤電車冷房化が実施されることになった。この年に製造された4両編成6本はこの冷房試作車の位置づけで、2種類の冷房装置が試用された。これが今回紹介する旧101系分散冷房車だ。
 これらの編成は、4両中3両は小田急電鉄などで見られるタイプの小型冷房装置5台を屋根上に並べるタイプの「分散式冷房」を採用。パンタグラフが載っている奇数側中間車はスペースの問題もあるために大型冷房装置1台だけの「集中式冷房」を採用。これら二種の冷房方式を試用した上で、翌年度からの冷房車量産に備えることとした。先に結論を言うとこの試用の結果、西武鉄道ではこの2種類のうち「集中式冷房」を採用することとなり、今後製造の101系に搭載する冷房だけでなく、既存の非冷房の101系や701系等の冷房化改造も含め、この後登場する電車全てに例外なく集中式冷房が採用されることになる。
 この分散冷房車は登場時は池袋線に投入された。ところが101系の量産冷房車(集中式冷房)が池袋線に投入されてその数が増えると、新宿線には冷房車がなくて池袋線とのサービス格差が大きくなったことが問題になる。そこで1975年にこの分散冷房車全車を含む101系冷房車の一部が新宿線に転属することとなった。ここから約4年、1979年ダイヤ改正で101系が全車池袋線所属となるまで分散冷房車は新宿線専用として活躍した。この頃、昼間は4連単独で上石神井や田無折り返しの普通電車に、ラッシュ時は6連を繋いで10両編成になって本川越や拝島・多摩湖への優等列車に使用というパターンだったようだ。
 1979年春ダイヤ改正で101系分散冷房車は他の101系と共に全車池袋線に移籍…というのが定説だが、不思議なことに101系分散冷房車を画像検索するとどう見ても「1979年春改正以降の新宿線」で活躍している写真が出てくる。この辺りのことは詳しい方のご指摘を待ちたい。いずれにしても1980年代は101系分散冷房車は池袋線で他の101系と混用されることになる。
 そして101系分散冷房車の転機は1988年にやってくる。まず6編成のうち2編成は他の101系と同じ集中式冷房に改造される。そして他の分散冷房車も同様の改造をされるのかと思って見ていたら、残った4編成は足回りをボックスシートの4000系に譲る形で廃車になってしまった。
 集中式冷房に改造された2編成はそのまま池袋線で活躍を続けて1編成は1994年に10000系に機器類を譲って廃車となるが、分散冷房車の最後の生き残りとなった175編成は701系全廃後は黄色一色の塗装に塗り替えられて活躍を続ける。最末期には再度新宿線に移籍し、2004年末の旧101系全廃直前まで活躍を続けた。

 Nゲージ模型の方では、かなり以前からグリーンマックスのキットから作る方法が主流だったが、今世紀に入って2012年に老舗KATOから旧101系が発売されると、この分散冷房車を待望する声が西武電車ファンから上がったのは言うまでも無いだろう。そして2015年にこの分散冷房車が製品化、その内容は基本4両セットと増結4両セットとなった。以後再生産などないまま現在に至る。

 私も101系分散冷房車が欲しかったが、発売時期は他の模型を買ったばかりの頃で予算がなくて泣く泣く見送った。最近になって101系分散冷房車の売れ残りや中古品が安くなっていると耳にして、ここ数ヶ月まめにネットオークションなどをチェックしていたら、ほぼ未使用の中古品が低下の半額程度でネットオークションに出ているのを発見、慌てて落札というかたちで手に入れた。
 我が家で購入したのは基本セットだけで、分散冷房車は4両編成単独で使うつもりだ。というのも101系分散冷房車は小学生低学年の頃、上石神井や田無で折り返す4両編成の普通電車でよく見た印象が強いからだ。この1970年代後半に分散冷房車が新宿線専用だった時代を再現するつもりでの購入なので増結セットは不要と判断、しかも先頭車の連結器はダミーカプラーのままで他編成との連結は一切考えないことにした。さらに行き先表示ステッカーはKATOの701系赤電用ステッカーの余りから「西武新宿」を使う事で、1979年春改正以前の101系分散冷房車を再現することにした。

 こうして子供の頃の記憶にある101系分散冷房車を再現した、以下アルバム形式でこの101系分散冷房車を紹介しよう。
101系分散冷房車を編成で見る。子供の頃、この車両はこのように4連単独で新宿線普通電車に使われているのをよく見たものだ。行き先は前述のように701系赤電用を使用、本当は「上石神井」を入れたがったがこれはもう使ってしまってないので、「西武新宿」を入れることにした。
偶数先頭車(本川越方)をアップで見る、西武鉄道の車両で分散式冷房を採用した唯一の車両。屋根上を見ると全然西武電車らしくないのが特徴だ。
奇数側(西武新宿方)先頭車、5台ある冷房機の向きが先頭だけ違うのがよく解るだろう。
先頭部のカプラーはダミーカプラーのまま、連結器横の保護板再現もそのまま使える、他編成との併結を考えない利点だ。
橋梁を行く101系分散冷房車、本当に屋根上だけは西武線らしくないなー。分散冷房車を選んだ鉄道会社は、関東では小田急や東武や京成だ。西武の分散冷房は、形状的に小田急のそれに近い。
同じく橋梁を行く。西武電車らしくない屋根上と、西武電車の車体の組合せのアンバランス、これがこの車両の特徴だ。
KATOの701系と並べてみた。ステッカーはこの701系用のものから「西武新宿」を張り付け、「西」の字に特徴がある。701系では特徴ある「石」の字が入った「上石神井」を入れているので、並べて見比べるのも楽しい。

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