・Scottish East Coast Main Line: Edinburgh Waverley-Perth Route
 スコットランド東海岸本線:Edinburgh Waverley(エディンバラ・ウェイバリー)~Perth(パース)

テイ鉄道橋を行き交う列車

・収録車両
 Class 166 DMU -Scottish Railways-(通勤用気動車)※要「European Loco & Asset Pack」
 (車両は全てアドオン「European Loco & Asset Pack」のものを使用)

・購入済みアドオン車両
 ・Voyager Advanced
  Class 220 "Voyager"(特急用気動車)
  Class 221 "Super Voyager"(車体傾斜機能付き特急用気動車)
 ・Class 150 DMU Add-On(通勤用気動車)

・経由地
 Edinburgh Waverley(エディンバラ・ウェイバリー)~Haymarket(ヘイマーケット)~Dalmeny(ダルメニー)~Forth Bridge(フォース鉄道橋)~North Queensferry(ノース クイーンズ フェリー)~Inverkeithing(インヴァー カイシング)~Burntisland(バーン ティスランド)~Kirkcaldy(カーコーディ)~Ladybank(レディーバンク)~Cupar(クーパー)~Leuchars(ルーカーズ)~Tay Bridge(テイ鉄道橋)~Dundee(ダンディー)~Invergowrie(インバー ゴウリー)~Perth(パース)



 今回紹介の路線は、スコットランドの首都エディンバラから、スコットランド東海岸を北上してアバディーンへ至る「東海岸本線」のうち、エディンバラとダンディーを結ぶ区間だ。これに海岸沿いのダンディーと内陸のパースをテイ川沿いに繋ぐ支線が含まれた、約120マイルの路線が再現されている。
 この区間はスコットランドの東海岸の中でも、大きく内陸まで入り組んだ湾が2つある。そしてこの2つの湾をそれぞれ特徴的な長大橋で一気にまたぐのが特徴で、これらの鉄道橋は世界的にも有名な鉄道橋である。

 路線はスコットランドの首都エディンバラの中心駅、ウェイバリー駅からスタートする。ここから次の駅であるヘイマーケット駅までは以前紹介した「Edinburgh-Glasgow Route」とダブっている。ヘイマーケットを出ると右車窓に「マレーフィールド」というラグビースタジアムを眺めながら西進するのは、「Edinburgh-Glasgow Route」と同様だ。しばらくするとグラスゴーへの路線を左に分岐して列車は平原を行く、やがて海沿いの丘陵地への勾配を駆け上がると、貨物用の待避線などがあるダルメニー駅に到着、ここまで来ると地図上では内陸に深く入り組んだフォース湾が行く手を阻んでいる。
 このフォース湾を越える橋がフォース鉄道橋だ。全長2528.7m、最大支間長521.3m、最大高さ104m、軌道高さ46mという巨大な橋梁。1890年に完成したもので、1919年にカナダのケベック橋が完成するまで世界最大のカンチレバー橋だった。この橋の特徴は「カンチレバートラス」というもので、完成当時は珍しい形状の橋だったが、現在は世界各地の港湾を渡る橋としてありふれた形状のものだ(ちなみに日本で最も有名なカンチレバートラス橋は2012年開通の「東京ゲートブリッジ」だろう)。この橋はその歴史だけでなく、橋の美しさが認められて2015年に「世界遺産」に指定された。本ゲームのアドオンでは3件目の「世界遺産」登録物件である。
 このゲームでもこの美しい鉄道橋が細部まで再現されていて、列車は橋を構成する鉄骨の中をソロリソロリと走って行く。
 フォース鉄道橋を渡ると海岸沿いの丘陵地から下り、インヴァー カイシング駅でダンファームリン方面の支線を左に分けて海岸沿いへと進路を取る。フォース湾の海岸線をカーブを繰り返しながら走る光景は、風情があって良い感じだ。カーコーディ駅からはフォース湾と離れて、内陸の大平原を一直線に走る路線に変わる。
 やがてまた地図上では内陸に深く入り組んだテイ湾が行く手を阻む。このテイ湾を一気に渡る橋梁がテイ鉄道橋だ。全長3264mの桁橋で、両端はレンガ積みのアーチ橋、中央部13径間の下路トラス橋、これらを結ぶ上路トラス橋という構成で、ダンディー側では下流側へ向かってカーブを描いている。この橋はまず初代の橋が1871年に着工、1878年夏に完成した。だが開業から1年半後の1879年12月28日、折からの強風で中央部の下路橋部分が崩壊してしまう。この時に橋梁を通過していた列車が崩壊に巻き込まれて橋と共にテイ湾に転落し、乗客乗員全員の75名が死亡するという大惨事になってしまった。現在架かっているテイ鉄道橋はこの事故を受けて再建された二代目で、事故から3年半後の1883年夏に着工、1887年夏に開通したものだ。実物のテイ鉄道橋では橋の下流側に崩壊事故を起こした初代橋の橋脚の一部が残っているが、本ゲームのテイ鉄道橋でもこれは再現されている。もちろんこのテイ鉄道橋は完成から130年が経とうとしている現在も現役である。
 列車はこのテイ鉄道橋を時速30マイルの速度制限でゆっくりと渡る。橋を渡りきったところがダンディーだ。ダンディーはスコットランド東海岸でも歴史の古い町で、人口約15万のスコットランド第四の都市だ。
 実物ではさらに北へと鉄路が延びているが、本ゲームではここで方向転換してパースへの支線へ入る。支線に入ると左車窓にはテイ湾の景色が拡がり、後方にはテイ鉄道橋も見ることが出来る。やがて列車は湾から離れてしばらくは平原の中を突き進むが、終点のパースが近付くと湾ではなく川となったテイ川と寄り添うように進み、やがてテイ鉄道橋が架かっていた区間から信じられない程すっかり細くなったテイ川を渡って終着駅があるパースの市街地へと入って行く。パースは15世紀までスコットランドの首都だった都市で、テイ川に沿って拡がる人口約4万5千。

 このマップは基本的に付属車両はなく、別売の「European Loco & Asset Pack」というアドオンの車両を使う事になっている。ただしその中のClass166については、本マップをインストールすると Scottish Railways 塗装が追加される。
 また別売アドオンとしては「Voyager Advanced」というアドオンパックが利用出来る。これにはClass220とClass221という2形式の特急形気動車がセットされていて、本マップ用のシナリオも数点インストールされる。「Class 150 DMU Add-On」についてはインストールしておくと、クイックドライブモードのAI車両にこのアドオンの車両が追加されるようだ。

 なお、本マップとアドオンの「Voyager Advanced」は、前回紹介した「U-Bahn Frankfurt」同様に鉄道シミュレータゲーム専門サイト「Just Trains」でダウンロード販売の扱いとなるので、ご興味をもたれた方はご注意頂きたい。


・世界の車窓から
 
本マップの起点はスコットランドの首都、エディンバラのウェイバリー駅だ。この駅は「Edinburgh-Glasgow Route」で紹介済みだ。
ウェイバリー駅で発車を待つHST、今回はこの列車に乗って本マップの風景を案内しよう。
前述したようにウエイバリー駅からしばらくは「Edinburgh-Glasgow Route」とダブっている。
もちろん、本マップでもヘイマーケット駅近くのラグビースタジアム「マレーフィールド」の外観が再現されている。
Edinburgh-Glasgow Route」で紹介したグラスゴー方面の路線が左に分かれると、列車は大平原の中を突き進む。この区間が本マップで最も速度を出せるが、散発的に現れる速度制限に注意。
大平原を過ぎると、内陸に深く入り組んだフォース湾に行く手を阻まれる。ここに架かる橋が巨大なカンチレバートラス橋であるフォース鉄道橋だ。
ゼメリング峠、アルブラ線と並ぶ、本ゲーム上で再現される世界遺産だ。この美しく巨大な橋が、19世紀に完成したというのが驚きだ。
フォース鉄道橋上を行き交う列車、橋梁上は速度が時速50マイルに制限されている。
フォース鉄道橋を行くHST、鉄骨とトラスで構成されたジャングルジムが見事に再現されている。実際のゲーム画面で見ると大迫力、実物はもっとすごいんだろうな…。
橋梁上の保線作業員目線で通過する列車を見る。鉄骨の一本一本まで詳細に再現されている。
この巨大な橋はイギリスでは「恐竜」と呼ばれているそうだ。
フォース鉄道橋を渡り終えると、急カーブと急勾配で海辺へと下って行く。
そしてここからしばらくは、フォース湾の海岸線を行く。沖合に浮かぶ雪山の雰囲気がとても好きだ。
そしてこんな感じで海辺の小さい街を結んでいる。この区間が風光明媚で、本マップでは長大橋以外のハイライトだろう。
沖合には貨物船が浮かんでいる。この巨大コンテナ船はフォース鉄道橋やテイ鉄道橋の周辺にも現れる。
海辺を走った列車はカーコーディの街に入る。カーコーディは石炭算出で栄えた人口14万の賑やかな街だ。
カーコーディを出発すると、今度はどこまでも広がる大平原が続く。風景の割には、細かいカーブが散発的に出てくるので思ったより飛ばせないのが難点。
大平原の中の小駅ですれ違うHSTの特急と、Class166のローカル列車。
本マップをインストールすると、Class166に Scottish Railways 塗装が追加される。
大平原の先では、今度はテイ湾が行く手を阻んでいる。そこに架かるのがテイ鉄道橋だ。
テイ鉄道橋中央部の下路トラス橋部分を渡る。ここから見るとどってことない普通の橋梁だ。
この橋は速度制限が時速30~40マイル。ソロリソロリと渡る。
これがテイ鉄道橋の下路トラス部分の全景だ。この部分が橋の半分にも満たないのだから、本当に長い橋だ。
下路トラス部分を渡りきるとやっと対岸が間近に見えてくる。橋の右側に並ぶ切り株のようなものが、崩壊事故を起こして廃棄された旧橋の残骸だ。
そして橋のダンディー側はこのようにカーブしている。このカーブがダンディー駅の入口まで続いている。
ダンディー駅からはテイ湾沿いにパースへ向かう支線へ入る。こちらはローカル列車りClass150で走ってみよう。
ダンディーを発車するとしばらくはテイ湾に沿って走る。この画像には写ってないが、振り返るとテイ鉄道橋が見える。
路線の中間部ではテイ湾から離れて、大平原の中を突き進むコースになる。ローカル列車同士がすれ違う。
大平原にポツンポツンと集落がある。日本の田舎と通じる風景だ。
やがて終着駅が近付くと、湾から川に変わったテイ川が近付いてくる。
そしてパース市街に入ると、やっとテイ川を渡る。この風景は夜景がきれいだったので、上記のキャプ画と違うプレイの際に取ったものだ。
テイ川を渡ると、終着駅パース駅はすぐだ。
本マップと同時に揃えたのが特急用気動車であるClass220/221、通称は"Voyager"だ。
ここではそのClass221のヴァージン塗装を披露しよう。
Class220は老朽化したHSTの置き換え用として2001年に登場した特急型気動車。だが軽量構造の台車などが問題となり、2002年にClas221にモデルチェンジされた。
Class221では振り子機能が追加され、本ゲームでもカーブでの車体傾斜が再現されている。
流線型の先頭部に、振り子に対応した細面の車体。日本の振り子型気動車と雰囲気だけは似ていると思う。
だけどこの細い車体と、5両編成という短い編成によって乗客からの評判はあまり良くないのだとか…。
フォース鉄道橋を行くClass221と、すれ違うClass150。このClass220/221のアドオンは、「Rail Simulator」だった時代にも購入して、「Great Western Main Line Route」で走らせて遊んでいたっけ…。


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