・Tadami Line:Aizu-Wakamatsu - Tadami Route
 東日本旅客鉄道(JR東日本)只見線:会津若松~只見

只見川を渡る

・収録車両
 キハ40系気動車

・購入済みアドオン車両
 今のところなし

・経由地(主要駅のみ掲載)
 会津若松~西若松~会津坂下~会津宮下~会津川口~只見



 「Train Simulator」シリーズに日本の路線が加わった。JR西日本の和歌山線・桜井線とJR北海道の日高本線に引き続き、このたび日本の実在路線の3路線目が発売されたのでここでファーストインプレッションとして紹介しよう。

 今回新たに日本路線として加わったのは東北地方は福島県、その会津地方を走る只見線だ。只見線全線135.2kmのうち、福島県側の会津若松~只見間の88.4kmが再現された。

 起点は福島県会津地方の中央都市である会津若松。古くから交通の要衝として栄え、江戸時代以前は東北地方有数の大都市でもあり、幕末には会津戦争の舞台になるなど日本史の表舞台にも登場する街であることは説明するまでもない。明治時代後期以降は会津地方の川で電源開発が始まり、この歴史と只見線や会津若松の街の歴史は切っても切り離せない。
 会津若松駅を出発した列車はしばらくは市街地を走るが、西若松駅で会津鉄道と分岐すると会津盆地の農業地帯へと入ってゆく。遠くに青い山々を眺めながら盆地の農村地帯を行くこの区間の光景は、日本の田舎の鉄道らしい風景のひとつだと思う。
 盆地の中をトコトコと走ってゆくと、やがて列車は会津坂下駅に到着する。ここで列車は会津盆地に別れを告げて山の中へ分け入ってゆく、20パーミル勾配で峠をひとつ越えると、いよいよ日本の鉄道でも有数の絶景区間でもある只見川の渓谷に沿った区間に入る。
 トラス構造のアーチ橋で知られる「第一只見川橋梁」をきっかけに、様々な形の橋梁で只見川を何度も渡りながら上流を目指してゆくこの区間は、四季折々の光景を見せるまさに絶景路線だ。橋梁だけでなく、会津川口駅は只見川の流れのほとりにある美しい光景の駅としても知られる。

 だが絶景の中を行く路線だけあって、自然との闘いも厳しい路線であることは忘れてはいけない。
 2011年7月26日~30日にかけて福島県を襲った豪雨により只見川が大洪水となり、只見線の橋梁も流出するなど甚大な被害を受けた。被害が比較的軽かった区間はすぐに復旧したが、会津宮下~会津川口間の復旧はその年の年末まで掛かり、会津川口~只見間については災害から9年経った現在も復旧していない。一時はこのまま廃止になるのではないかと危惧されたこともあったが、福島県が支援によって現在のこの区間の復旧工事が進んでいる。2021年度には線路や土木構造物を福島県の所有とする「上下分離」方式での復旧が見込まれるところまでたどりついた。

 本マップの終点は只見駅。只見線はこの先もレールは続いていて、深い山岳地帯を長大トンネルでくぐり抜けて新潟県へと達している。この区間もゲームで再現されたら嬉しいけど…さすがに長いトンネルだけじゃゲームとしては面白くないと判断されたのだろう。


 本マップに付属の車両は、国鉄時代から日本各地のローカル線で活躍するキハ40系で、これも待望のゲーム化と言えるだろう。今回再現されたのは日本各地の投入路線の実情に合わせて様々なバリエーションがあるキハ40系のうち、500番台に区分される寒冷地仕様の車両だ。その中でも民営化後にデッキの仕切り扉が撤去されるなどの改造が施された、現在のキハ40系として再現されている。
 車体色は3種類用意され、国鉄時代の朱色一色塗りのいわゆる「首都圏色」、白を基準に緑の濃淡のラインを入れたJR東日本のいわゆる「東北色」と、白を基準に窓周りに青いラインを入れたJR東日本のいわゆる「新潟色」が用意された。これによって只見線を走る色とりどりの列車も再現できる。
 ただその運転操作に関しては「?」を付けざるを得ない。ブレーキは自動ブレーキではなく直通ブレーキのような操作をさせられるし、ノッチの「変速段」と「直結段」の動きが逆だったりする。また「首都圏色」を選択すると何故か警笛が鳴らないという現象まで付いてくる。この辺りはアップデートによる改善を期待するが、出来がとても良いだけに残念でもある。

 ちなみに只見線では2020年3月を持ってキハ40系は引退し、現在は新形式の気動車で運行されていることを付け加えておきたい。

 しかし、このゲームの只見線を走っていると、駅の停止位置目標に車両の両数だけでなく「SL」なんていうのがあるんだよなー。今後に期待しちゃうじゃないかー。

 以下、本ゲームのスクリーンショットをアルバム形式で見ていこう。


・世界の車窓から
 

今回も車両の紹介から始める。
今回収録の車両は、日本の国鉄のローカル線を彩るキハ40系だ。
これがほんゲームのキハ40系だ。やっぱりキハ40系といえばこの「首都圏色」だと思うので、今回は基本的にこれで紹介したい。
会津若松駅で発車を待つキハ40系を、形式写真風に撮ってみた。
仕様は500番台で初期車以外といったところだ。
車体はとてもきれいだけど、おでこ周りはちょっと微妙。またトイレ上にある水タンクが少し小さいような…。
でも致命的な欠点ではないと思う。
こっちはJR東日本のいわゆる「東北色」だ。この塗装もセンスがあって好きだが、「首都圏色」があるとそっちにいってしまう。

なお、今回は「新潟色」のキャプ画は撮っていない。
ちなみに前面種別幕の「普通」は二種類あり、シナリオ制作時に選択できる。
種別だけでなく一部行き先も出せるし、「回送」「試運転」も用意されている。
ただ幕の変更はプレイ中には不可、シナリオ制作時に設定となる。
次に客室だ。残念ながら窓は暖地仕様で、只見線のキハ40系とはちょっと違ってしまっている…まぁ只見線にも暖地仕様のキハ40系はいたけどさ。
そのツッコミ以外は、上手く非冷房のキハ40系を再現していると思う。
キハ40系といえばこの席だ。どういう訳かボックスではない横向きシート。眠いときは向かいの人に気を遣わなくて済むこのシートを選んだ。
次は運転台、キハ40系の雰囲気が良く出てる。
でも変速段に入れる操作をすると「直」のランプが点きレバーも直結段に入り、直結段に入れる操作をすると「変」のランプが点きレバーが変速段に入るという、逆の動きをする点が欠点。
 アップデートで直して欲しい。
運転台のサイドパネル、出発前にここから客室内の照明と、計器類の照明と、種別まくの照明と、冬なら暖房を探してスイッチを入れましょう。

ATS-Psを再現してくれたのはいいけど…誤作動が多すぎる。
こうしてみると雰囲気は良く出ている。このキハ40系で只見線の旅を愉しみます。
会津若松駅を出ると、列車はしばらくは市街地を走る。
西若松駅で会津鉄道線と分岐する。
分岐した会津鉄道のレールは、野岩鉄道、東武鉄道と会社が変わりながら、東京まで続いている長いレールだ。
会津若松の市街地を出ると、最初の橋梁は大川橋梁。長いガーター橋だ。
遠くに見える青い山はいいけど…青すぎ。
続いて宮川橋梁を渡る。レンガ橋脚の雰囲気の良い橋梁だ。
会津盆地の農耕地帯を行く。遠くの山々を見ながら、盆地の農村を行く「ニッポンの田舎」の風景だ。
小さな川に掛かる橋梁を渡る。こんなキハ40系の光景は、日本の鉄道ファンの皆さんにはおなじみだろう。
だんだんキハ40系も数を減らし、こういう光景も新型気動車に変わりつつある。
引退した只見線のキハ40系の一部は、千葉県の小湊鐵道に譲渡された。
会津坂下駅に到着。その名の通り、「坂道の下」の駅だ。
いよいよここから山岳地帯に入る。穏やかな盆地風景が、突然20パーミルの急勾配に変わるのだ。
私が只見線に初めて乗ったのは1987年2月で、当時の私は16歳高校1年の冬。そのときにこれをこのまま冬景色にした光景を見ている。
あれから30年以上の月日が流れたが、初めて只見線に乗り、雪景色の只見川の風景を見た感動は今も忘れてない。
会津坂下駅からの上り坂を喘ぎ喘ぎ登ると、「ト」の字の形をした勾配標が見えてきた。
ここが峠で、ここから急勾配を下った先に絶景が待っている。
勾配を下ると、このような大きな鉄橋に行き当たる。
只見川の支流のひとつを渡る「滝谷川橋梁」だ。
この橋梁も十分に立派なものだが、まだこれはほんの序章に過ぎない。
この橋を渡るとすぐに、列車は只見川に行き当たる。

こうして列車は日本の鉄道でも有数の絶景区間である。
只見川の渓谷へと進んでゆく。
只見川に行き当たると、最初に渡るのが「第一只見川橋梁」だ。
鉄骨が美しいトラスを組んでアーチを描くこの橋梁は、橋梁が数多い只見線の中でも美しいものだ。
続いて「第二只見川橋梁」へと進む。
先ほどのアーチとは対照的に、典型的なデッキトラス橋。だが上手く景観に溶け込んでいる。
只見線と言えば鉄製の橋梁というイメージが強いが、こういうコンクリートアーチも存在する。
これは只見川の支流を渡る橋梁だ。
「第三只見川橋梁」を渡る列車。今度は只見川の水面が近い。
これも第二と同様の典型的なデッキトラス橋。だが水面が近いことと、川に対し斜めに掛かっていることで独特の光景を醸し出している。
「第四只見川橋梁」を渡る。ここで初めて出てきた下路トラス橋だ。
この橋梁は微妙にカーブしたデッキガーターに、巨大な下路トラス橋が挟まれた形だ。やはり川との角度が良い。
列車は会津川口駅に到着。只見川のほとりにある美しい駅。

現在、実物の只見線は災害の影響でここが終点である。只見までは代行バスによって結ばれている。
会津川口駅を反対側から見る。「秘境感」が強くてとても良い感じだ。
この光景をそのまま冬景色にした光景も、16歳の時の私が見たものだ。
この駅の風景に感動した。
ゲームでもその雰囲気はよく出ている。
このマップの魅力はモデルの路線がとても良いので
1ページでは伝えきれません。
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