第29話「死なないで!エイミーが川に落ちた!」 |
名台詞 |
「怒りを持ったまま明日を迎えるのは良くないわ、ジョオ。家族はお互い許し合い、助け合って、明日はまた新しくやり直しましょうよ。」
(メアリー) |
名台詞度
★★★★ |
ジョオとエイミーの大喧嘩の夜、床に入ったジョオにメアリーはそっとこの台詞を吐く。夕食時にエイミーが謝罪しても許さなかったジョオに、気持ちを切り替えてエイミーと接するように促すのだが。ジョオの返答は「許す価値はない」という激しいものだった。この言葉に落胆した母はすぐに部屋を出て行く。
この母の思いは家庭の平和を守る上で重要だ。家族の母がこう思えるかどうか、そしてこれを実践できるかどうかでその家庭の平和度が決まると私は思う。母は家庭が平穏であって欲しいからこそ、この言葉の通りに常に行動し、子供達にもそうなるように願う。
私にとってもこの台詞は深く胸に刺さった。本放送時にこの台詞を聞いていれば自分の教訓として大きく胸に残り、その後の人生上の失敗をいくつかしなくて済んだかも知れない。今この台詞を初めて聞いて心からそう思った。
この台詞を吐くメアリーが観音様のように神々しく見えた。 |
(次点)「あんなつまらないお話なんか、もう絶対に帰ってこない。燃やしちゃったのよ〜!
そうよ、燃やしちゃったのよ。だから返せないって言ったでしょ。」(エイミー)
…私がジョオだったら、こんな風に言われたらやっは許さないな。エイミーの中の小悪魔がこの台詞を言わせたに違いない。原稿を燃やしたという事実を知ったときのジョオの衝撃はもちろん、メアリーやベスの驚きの表情も秀逸だ。ジョオの怒りに震える演技も凄いが、この状況の小悪魔を上手に演出したエイミーの演技も凄いと思う。声優さんの力量もぶつかり合っているのだ。 |
名場面 |
エイミーが池に落ちる。 |
名場面度
★★★★ |
ジョオとローリーのスケートにメグやベスに仲直りの絶好のチャンスだと言われて渋々付いていったエイミーだが、ジョオと視線が合ったときに横を向かれたこともあって結局は一人で滑り出す。ジョオは相変わらずエイミーを相手にしようとしない態度を取るが、ローリーはもうこれ以上姉妹喧嘩を見ていられずにエイミーをジョオのところへ連れて行こうとする。それに気付いたエイミーはローリーからも逃げ、氷の薄い危険地帯へと突入してしまった。
ローリーが「エイミー、ダメだ! そっちへ行っちゃ。氷が薄いんだ!」と叫ぶやいなや、エイミーの足下の氷に亀裂が走り、氷は割れてエイミーは川に落ちてしまう。まだ凍っている川だ、水温は0度以下だろうからすぐに助けないと取り返しが付かないことになる。
助けを呼ぶエイミーに、エイミーを救助すべく走るローリー。そしてエイミーの叫びを聞いたジョオも振り返り、エイミーの元へ駆け寄ろうとする。ローリーがエイミーを助けようとするが、すぐにローリーの足下にも亀裂が入りこのままでは二重遭難は避けられない状態となる。ローリーが何とかエイミーの手を掴むとローリーの足下の氷も割れるが、何とかローリーは落ちずに済む。そこへジョオが接近するが、ローリーの「近付くな!
君も落ちるぞ!」との叫び声に慌てて止まるジョオ、そのジョオの足下にも亀裂が走る。万事休すの状態だ。「エイミー、大丈夫?
しっかりして!」と、先ほどまであれほどエイミーを毛嫌いしていたジョオが思わず叫ぶ。ここが仲直りのポイントだろう。
この万事休すの状態にローリーはジョオに木の棒を持ってくるように頼む。「分かったわ」と叫ぶジョオ、その間にもエイミーの身体は震え始め、寒いと訴え始める。懸命に励ますローリー。
悪戦苦闘の末、木の枝を折ろうとするジョオだが、その間にもエイミーの身体は冷え続けてついには気を失いかける、必死にエイミーを呼び戻すローリー。ようやく枝を折ったジョオがエイミーの元に駆け付ける、その横顔の凛々しいこと…。ローリーはエイミーに枝に捕まるように促すが、エイミーは気を失ってしまい必死になって呼び戻す。気がついたエイミーが木の枝を持つとそれを引っ張るローリーとジョオ、引き上げ成功の直前にまた氷が割れてエイミーは水中に、「離すなエイミー!」と怒鳴るジョオ。やっとの事で引き上げると先ほどまで大喧嘩で口も聞かなかった姉妹は抱き合う。
「若草物語」上で最も緊迫したエイミー転落シーンだが、その緊迫感と臨場感が上手に再現されていたと思う。このエイミーの遭難はジョオとの仲直りのきっかけを作るだけでなく、ジョオに自分の性格上の欠点を思い知らせて苦悩させることになる重要なシーンだ。喧嘩していても潜在的に気になる二人、それに気付かないふりをする二人が悲劇を起こし、自らその悲劇を乗り越えて互いの姉妹としての愛情を再確認する事件なのだ。
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今回の主役 |
・サブタイトル表示→エイミー
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・物語展開上→エイミー
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ジョオを中心に話が回っているようにも見えるが、一番目立つのはなんと言っても殴られたり川に落ちたりと踏んだり蹴ったりのエイミーだろう。特に後半は生命が掛かったし…。
・次回予告→メグ…次回の後半はメグの話だが、それに一切触れず前半の予告だけ。「お楽しみに!」じゃなくて「必ず見てね!」なのも驚いた。 |
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感想 |
とにかく前半はジョオの怒りに圧倒され、エイミーの心に住む小悪魔に魅了され、母の優しい言葉に感動するなど忙しい展開だった。この物語を本放送時に見ていたらまた感想はかなり違ったかも知れない。後半のスケートではもう仲直り寸前の気まずさが見事に表現されていて、兄妹のいる者にとっては何度か体験したことのある状況だったに違いない。普通なら何がきっかけで二人が仲直りするのか非常に気になるはずだが、この100%ネタバレのサブタイトルが良くない。初視聴が今回で原作で内容を知っていたから良かったものの、原作を知らない本放送時にこのサブタイトルを見ていたらまた見る気が萎えたことだろう。
しかし、このサブタイトルは何とかならないものか? 私ならば「スケート」とかもっと無難なタイトルを付けてネタバレがないよう細心の注意を払うところだけどなぁ。 |
研究 |
・エイミーの事故
今回も完全に原作を踏襲している。特に前半の大喧嘩は原作にある迫力が前面に出ていて素晴らしい仕上がりとなっている。私はこのエピソードはアニメの「完結版」視聴で初めて知り、詳細はアニメより先に原作で知った。その中でも驚いたのはエイミーのスケート中の事故である。
このシーンは原作を踏襲してはいるものの、設定上で大きな違いがある。ひとつはエイミーがジョオ達よりかなり遅れて川に着いた点。アニメではエイミーはジョオ達のすぐ後ろを付けていたが、原作ではジョオ達がスケート靴を履き終えて滑り始めたところでエイミーが川に到着する。
もう一点はエイミーが転落するときの状況だ。アニメではローリーがエイミーを追っているときにエイミーが転落するので、現場のすぐそばにエイミーがいたという設定になっているが、原作ではエイミーが一人で滑っているときに転落する。エイミーが転落してからローリーが駆け付けるまでの間、ジョオは割れた氷の間に浮かぶフードを見て驚愕するシーンが挟まれている。ローリーを呼ぼうとしても立ちすくんで声が出ないジョオのすぐ脇を、ローリーは風のように過ぎ去って現場へ行くのだ。その後の展開は原作もアニメも同じだ。しかし立ちすくんでいるジョオの脇を風のように駆け抜けるローリーって、想像するとすごくカッコイイなぁ…。 |