第2話「我が赴くは星の海原」 |
名台詞 |
「みーろんげすばでぃっくあるがでぃざっく。ばっしゅくぐらいくべいはいれがゆーなぶれぶりすくべりふぉーらかんろらんとちぃ? みーろんみにすたっくかるま、ばんめしやれすじれーめぎす。ぐらっくどれいにーだぼるめんろんでぃーや。」
※以下和訳「空母一隻を失ったのだぞ。あの日和見主義者に帝星司令部へ報告されたらどうなると思う? ここは我々だけで処理するのだ。ロングレンジで叩く、惑星間弾道弾をすぐに準備させろ。」
(シュルツ) |
名台詞度
★★★ |
つーか、これ何語? 何語か判らないので耳コピーをそのまま載せることにした。和訳文は放映時に画面に出てきた字幕である。
また役名はまだ確認出来ていないが、シーンからしてガミラス冥王星基地の司令官と副官の会話であろう事は間違いないと思われるので、今のところは旧作設定に従い司令官はシュルツ、副官はガンツとしておく。
冥王星基地は地球人、しかも日本人による恒星間航行戦艦建造の動きを察知したのだろう。かつて日本列島近海だった場所にあった大昔の戦艦の残骸に空襲を仕掛ける。だが地球の国連軍防空隊の迎撃に遭い、戦闘機だけでなく差し向けた空母まで撃沈させられてしまう。これを見た副官ガンツはこの戦いの結果をバラン星のゲールに報告すべきと進言するが、司令官シュルツはこの台詞でそれほ拒み、内々に処理することを選択する。
前話の名台詞は地球側から見たこの戦いの現状についてだが、この台詞からはガミラス側の実情というものが見え隠れしている。つまりこれは旧作と同じく「ガミラスは決して一枚岩ではない」という実情であり、軍の規律がそれぞれの私利私欲や「立場」が生む感情によって崩壊していることだ。この台詞だけでまだ画面に出てきていないゲールが旧作同様のどうしようもない司令官であることは見えてくる。だが旧作と違い、シュルツはデスラーの直下ではなくゲールの元で冥王星基地を守っている立場であることが明確になり、その上官に失敗を知られたくないという私利私欲と事情を優先させてしまう。これを通じて見えてくるのは、「ガミラスの隙」というやつであり、旧作ではヤマトがガミラスに勝った原因のひとつであろう。この要素をもう第2話で見せつけてきたのだから驚きだ。
だがそれより驚いたのは、冒頭に書いたようにこの言語である。何語かは分からないが、恐らく地球上でとてつもなくマイナーな言語か、あるいは制作者が勝手に言語を作ったかのどちらかだろう。「南の虹のルーシー」のように「日本語を逆読みするだけ」なんていうものでは無いことは確かだ。この後の惑星間弾道弾の発射シーンでは、この言語による数字の読み上げも出てくるから驚き。この言語も本話でこの台詞が印象に残った理由の1つである。 |
名場面 |
ヤマト発進 |
名場面度
★★★★ |
いよいよヤマトに乗組員が乗り込んで、発進の時を迎える。ガミラスが冥王星から放った弾道弾がヤマト目掛けて突進するが、この期に及んで波動エンジンを最初に起動させるだけの電力がない。日本の全ての電力をヤマトに叩き込むが足りないのだ。ところが国連の極東司令部では、世界中の電力が日本に回していることを確認し安堵する。徳川がエンジン始動可を沖田に報告すると、エンジン始動の命令が下る。回り出すエンジン、その間にもガミラスの弾道弾は地球に迫り、大気圏に突入。「船体起こせ、偽装解除」沖田が叫ぶと、「大和」残骸の周囲の地面に亀裂が走り、ついにヤマトが姿を現す。古代と沖田の会話で偽装について語られたあと、沖田が弾道弾の迎撃を命令する。古代がこれに応じて主砲発射命令を出す、照準を合わせと同時に、ヤマトは「抜錨、ヤマト発進」の沖田の号令でついに空へと舞い上がる。そしてヤマトの主砲が弾道弾に向けられ「照準よし!」と報告が来ると、沖田が「撃ち方始め!」、古代が「てーっ」と叫び主砲が放たれる。主砲を浴びて大爆発する弾道弾、国連司令部ではヤマトを見失うが、爆弾の煙の中から姿を現したヤマトを発見。ヤマトは安定翼を出して宇宙へと向かう。
長い説明だったが、一言で言えば基本的に旧作を踏襲した発進シーンだ。だがヤマトのエンジン始動のために世界中からエネルギーが送られるシーンをここに挟むことで、緊張感と迫力に満ちた印象的なシーンに仕上がったのは間違いない。特に弾道弾破壊の煙から出てきたヤマトがこれまたカッコイイんだ。長々書いたけど、結局それに尽きると言うこと。 |
感想 |
前話だけでは判らない設定が色々判ってきた。まず地球艦隊だけど、「地球防衛軍」ではなく「国連軍」という形を取っていること。つまり劇中世界は現代の国際社会の延長という設定を取ったようだ。ちゃんと大陸ごとに代表者と、そこからさらに小さな国に別れていることが今話で示唆されている。宇宙防衛は国連に任されているという形で、各国から代表者が集っている形なのだろう。日本は地球脱出ミッション(劇中では「イズモ計画」と設定)を担当していたというより、そのような脱出ミッションは世界各国にあると考えるべきだ。だがヤマトでイスカンダルへ往復するミッション(「ヤマト計画」)が日本に任されたのは、恐らくイスカンダルと最初に接触したのが日本艦だったとかそういう理由で「イスカンダル担当」とされたのだろう。多分日本艦がユリーシャと接触、または救出したというのが発端だと思われる。
次にヤマトの名機関長、徳川についてだ。徳川の家族には初代と「さらば」や「2」で出てくる家族と、「新たなる」以降の家族で全く設定が違うという謎がある。前者は孫を溺愛する老機関長の姿が描かれるし、後者では新機関部員であるアムロ太助が出てくる。だが本作では前者とされた、つまり妻子持ちの息子がいて孫を溺愛する老機関長を取ったのだ。
あとはヤマトの乗組員がかなり増えているらしいこともわかった。今回ではまだ名前がハッキリしない、今後物語に絡みそうな「伏線」としてのキャラクターも何人か増えている。また技師長の真田には「副長」も兼任となり、艦長不在の時は第一艦橋で命令を出したりしている。随分印象が違うなぁ。
アナライザーは落ち着いた雰囲気で全く別物になってしまっているように見えた。名前も「AU09」に変わっているし、どうもヤマトの一部という設定のようだ。これじゃ雪のスカートをめくるなどのセクハラ行為はしないだろう。
ガミラスが違う言語を喋っているのも凄い。何語だあれ?というのは名台詞欄でやったからいいか。
各欄を見ればわかると思うが、そのような設定の部分をじっくり見ていてなかなか他へ目が向いてない。それだけ設定変更点や引き継いだ点が興味深いと言うことだ。う〜ん、ユリーシャがどうなったのか、気になるなぁ。 |
研究 |
・イスカンダルからの支援
今話では火星へ来たサーシャによるメッセージの内容が明らかになる。
これによると、スターシアはガミラスの侵略により地球人類が滅亡の危機に瀕していることを知り、1年前から支援の手をさしのべていたことが明らかになる。スターシアのもう一人の妹、ユリーシャを地球へ派遣し、次元波動エンジンの設計図を地球人類に提供していたというのだ。この設定は旧作をよりリアルにするという意味ではとても重要だ。旧作ではサーシャの派遣が地球とイスカンダルの最初の接触であり、サーシャが生命を賭して波動エンジンの設計図を届けて僅かでヤマトが完成してしまい、この辺りの解釈に多くの人が苦しんだところだ。だが本作では、物語の始まりから1年前に地球人類は波動エンジンの技術を手に入れていたことになる。それを完成させるのに1年とは短いと思う向きもあるかも知れないが、基本技術は出来上がっていて図面通りに作るだけなら何とかなるであろう。
そして、サーシャによって地球に運ばれたものは、波動エンジンのパーツの1つである「コアユニット」である。これは波動エンジンの中心部であり、地球では製造不可能なものであるのだろう。だからイスカンダル人の誰かが持ってくるしかない、ということでサーシャが派遣されたのだろう。地球の国連側はこの件について事前に知っていて、サーシャの派遣に合わせて冥王星での艦隊行動という一大陽動作戦を展開し、ガミラスの冥王星艦隊をサーシャ進入ルートと反対側に引きつけたと言うことだろう。多大な犠牲を払ってまで…。
では地球はサーシャの派遣をどうやって知ったか、それこそスターシアが次元波動エンジンの設計図を持たせて地球へ派遣したもう一人の妹、ユリーシャだろう。ユリーシャが波動エンジンの設計図を持ってきたからこそヤマトが完成しているのであり、この派遣は成功したと考えて良いだろう。
では、そのユリーシャはどうなったのだろう? ガミラスの妨害は前述のようにヤマトが完成しているから無いだろう、サーシャのように不時着時の事故で死亡していればその旨が語られていても良いはずだ。用事が済んだらイスカンダルへ帰る、というのは危険だからあり得ないだろう。つまり、ユリーシャは地球かその近傍にいて、ヤマトに乗ってイスカンダルに帰郷すると考えるのが自然だ。
ここで語られたユリーシャの存在が、今後の物語展開に対する伏線であることは確かだ。ユリーシャがどのような形で物語に出てくるのか、楽しみのようでちょっと怖い。あ、DVDなどで物語を先回りして知っている方は、ネタバレをなさらないように。 |