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第21話「第十七収容所惑星」
名台詞 「森、あんたイスカンダル人なら、約束してくれないか? ヤマトをイスカンダルに…頼むよ。必ず地球を…」
(伊東)
名台詞度
★★★★
 ガミラスの収容所に捕らえられた古代・ユリーシャ・伊東・藪の4人だったが、所内での反乱に巻き込まれてしまう。収容所内をユリーシャと伊東が雪を助けるべく走るが、その途中でユリーシャが銃弾に倒れたガミラス兵を見つけてこれを弔う。「死者を弔うのは宇宙人も一緒か…」と呟きながら、伊東は死んだガミラス兵の銃を取る。そして死者に手を合わせるユリーシャの方向に銃口を合わせて銃を撃つ。驚くユリーシャだが、その銃弾はユリーシャの眼前をかすめてユリーシャの後にいたガミラス兵に当たる。続いて伊東はユリーシャの手錠を撃って拘束を解き、「こっちも頼む」と言ってユリーシャに自分の手錠を銃で破壊するように請う。伊東は手錠が外れると「なぁ、森船務長。あんた…」とユリーシャに声を掛けるが、ここで銃声。「伊東!」叫ぶユリーシャの背後で、たった今伊東に倒されたガミラス兵が銃を構えていたがすぐ絶命。伊東も腹部を貫通されており瀕死の重傷だ。「らしくないことをするもんじゃないな」と苦しみながら笑う伊東はユリーシャに手を差し出す。ユリーシャがこの手を取ったところで、伊東が最後の力を振り絞って語った台詞がこれだ。この台詞を吐いた伊東は、そのまま絶命する。
 この伊東というキャラクターは、これまで良いところがまるでなかったと言って良いだろう。初登場からずっと素直でなく、何かを企んでいそうな言動を繰り返し視聴者の多くが「ヤマト艦内にいる敵」と感じた事だろう。そしてその通り、薫とともに反乱を計画し、島を買収するなどのヤマトの航行を一度はピンチに陥れて独房入りとなる。その後の登場でもイスカンダルを信用せず、今話冒頭でも藪と共に偵察任務に出たシーガルを乗っ取って、ヤマトの安全な航行の足を引っ張り続けていた。
 その伊東がなかなかどうして、こんなカッコイイ最期を迎えるなんて誰が想像しただろう。射殺されそうになったユリーシャを間一髪で救い、その際には自分のキャラクター性をちゃんと自覚していて「らしくないことをするもんじゃない」と呟いたところからこの人は急にカッコ良くなった。そしてその最期は、彼が最期まで雪当人と疑っていたユリーシャに何かを聞こうとした瞬間に敵兵に不意に撃たれるという強烈なものであった。
 この台詞から見れば、伊東も多くの乗組員と気持ちは同じだったことが伝わってくる。何としても地球人類を救いたい一心でヤマトに乗り組み、その目的に従っての行動だったはずだ。だが彼にはどんな過去があったかは明らかになっていないが、宇宙人アレルギーもみたいなところがあったのだろう。ガミラスの攻撃で宇宙人を信用せず、イスカンダル人も同じ宇宙人として信用出来ない彼が、最期になって「宇宙人も死者を弔う」という我々と同じ行動を見たことで心が動いたのだろう。「地球人類を救いたい」という意思を、ユリーシャに託して死ぬのである。
 この死はヤマト乗組員で士官クラスの登場人物が生命を落とす初のシーンである。名のあるヤマト乗組員なら前話で攻撃機隊の少なくとも2名が犠牲になっていたが…伊東の反乱で保安部の体勢がどのように改められたかは解らないが、権限は停止されていても役職はそのままだろう。
 この伊東役は最後の最後まで恨まれ役を演じなければならない辛い役だったと思う。この伊藤慎也を演じたのは、関俊彦さん。本サイトの考察作品では「愛の若草物語」のジョン役、「風の少女エミリー」のディーン役などで活躍している。そのどちらとも違う皮肉屋的な役柄は、本作を盛り上げた要素のひとつであることは否めない。
名場面 ガミラス星の真実 名場面度
★★
 ガミラス収容所の混乱に乗じて、古代は雪を助けようとついにこの収容所のコントロールセンターと思われる場所にやってくる。アンドロイド兵士を倒してここの窓から外を見ると、ちょうど雪が連れ去られてしまうところであった。「雪!」と叫ぶ古代だが、どうすることも出来ずに雪はまたUX−01に乗せられてしまい、何処かへ出港させられてしまう。ディッツ提督演説シーンを挟んで、古代が「雪…」とがっくり肩を落とすと、背後からユリーシャが現れ「行き先は解っている」と告げる。「教えてくれ、何処なんだ?」と問う古代を横目に、ユリーシャはコントロールパネルを操作してガミラス星の映像を出す。「彼らの星、ガミラス」とユリーシャが説明するうちに、ディスプレイ上のガミラス星の裏側からもうひとつ惑星が出てくる。「星がふたつ?」と古代が問うと、「この星は双子星、あなたたちの向かうべき星」と語ると裏側から出てきた星を指さす、そして「私たちの星、母なるイスカンダル」と続ける。古代は目を見開き、「そんな…バカな…」と呟いたところで「次回へ続く」である。
 自分達を滅ぼそうとしているガミラスと、自分達に救いの手をさしのべてきたイスカンダルが同じ場所にある…これはヤマトのイスカンダルシリーズでは重要な設定のひとつだ。もちろんその設定が本作にも引き継がれていることは何話か前からずっと示唆され続けていた。このシーンではこれが明らかにされると同時に、古代が明確な形でこの事実を知るというシーンが付け加えられた。確か旧作では、スターシアが発する誘導電波に従って航行したら、何故かガミラスに着いてしまったという描かれ方をされ、いつの間にかに皆がこの事実をしるという内容だった記憶がある。
 ガミラスとイスカンダルが隣同士という設定は、地球側にとっては驚くべき事だ。事によっては自分達を滅ぼそうとしている人達と、助けようとしている人達が同じかも知れないという重大な要素だ。さらに言えばこの事実を先に知ったら、航海が困難なだけでなくイスカンダル人も信用出来なくなって、ヤマトのミッションは中止されたであろう。
 意地悪なことに、ユリーシャも百合亜に憑依している間にこの重大な事実を言っていなかったに違いない。これもイスカンダルが地球人類を「試す」ひとつなのかも知れない、だったら丸腰で来いなんていうなとなおさらに思うが…。
 こんな様々な要素が、このシーンから連想されたであろう。旧作では特に印象深く描かれなかったが、本作ではとても印象的に描かれた設定と言うことで本話の名場面と判断した。
感想  本話は静かに始まるのがとても印象的だ。傷だらけのヤマト、そこで執り行われているのは七色星団の戦いで散った戦士達の宇宙葬であった。雪を拉致したザルツ人の特殊部隊も、ヤマト乗組員と同じように丁重に葬ったことも描かれる。もし旧作に同じような形でガミラス兵が乗り込んで戦死したら、旧作の乗組員達も同じように弔ったであろう。恐らくヤマト乗組員はこのガミラス兵がガミラス人ではなく、ガミラスに制圧された惑星の人種であることも理解していたはず。メルダから「植民地惑星の人種の一部に地球人と同じ肌の色の人種がある」という事実を聞いているからだ。忙しい中でも、佐渡先生が彼らの検視も行ったんだろうなぁ。
 そしてそのサブシーンで新たに判明する「戦いの結果」。ザルツ人に撃たれた星名は重傷を負いつつも生きていて意識も回復していたのは意外、星名は生き残るにしても今話辺りは意識不明の重体でこれを百合亜が見守ることで相思相愛成立…っていう設定になると思っていたのだが。また前話で独房が敵の砲撃により被害を受けたことが描かれていたので、ひょっとしたら伊東や藪も死んだと思ったら…この二人は隠れて生きていたんだから不思議。しかも隠れて何かを企んでいる様子だが…恐らく独房に再び入れられるのが嫌で度重なる反乱を起こしたのだろう。入るべき独房ももうないのに。
 独房に入っていた薫は罪を減じられて、沖田から独房から出るよう命じられる。上ずった声で喜ぶ薫は、ちょっとキャラクターが違うゾと思ったけど。
 そして前話で予想した通りに出てきた「収容所惑星」。よせばいいのにヤマトはそこに上陸して補給をしようなんて考えるから起きる事件。予想通りメルダやドメル夫人が絡む物語になってきた。だがここで伊東が死ぬのは予想外、藪はどう見ても敵反乱軍の仲間にされてしまったようだし。以前に続いてまたガトランティスが出てきたのは驚いた。ここで反乱を起こした連中が、白色彗星帝国でも作るのかな?
 今話は物語そのものの前進よりも、次話以降に向けた伏線展開が主だったと思う。この惑星かその前後で、古代とメルダが再会するのは目に見えているし、何らかの形でドメル夫人とヤマト乗組員がさらに絡むことになるだろう。ひょっとするとドメル夫人はフラーケンによって既に助けられているかも知れない。あとはガミラスに捕らえられたユリーシャの正体がいつバレるか、その時にあのザルツ人はどんな行動を取るかが焦点だ。
 そして反乱を起こしたディッツ提督の今後も問題だ。あれではどう考えてもガミラスに対する反乱と取られ、特に親衛隊が黙っていないはずだ。するとガミラスに戻るのは不可能と考えられる。ディッツとヤマトの共同作戦でもあるのか、するとガミラスが滅ぶという旧作設定がどうなるかも気になる。何よりもバラン星に置いてきたガミラス艦隊がそのままほったらかしになるとは思えない。
 さらに言えば、今話のオープニングを見ると今後の展開でシュルツの娘、ヒルデの再登場が示唆されていたのも見逃せない。彼女が再登場して何をするのか、今後の展開に期待だ。
研究 ・第十七収容所惑星とその反乱
 本話の舞台はガミラスの「第十七収容所惑星」、その名を「レプタポーダ」という。星の外見は火星に似た赤茶けたもので、劇中では荒涼とした台地が何処までも拡がる様子が描かれている。
 恐らく、その描写の通りここは太陽系で言う火星のような星なのだろう。知的生命体の生息には適していないためその星固有の生物はいないが、ガミラスの技術でガミラスフォーミングして人が住める環境にしたという所だろう。さもなくば惑星が若く、まだ大形生命が誕生する段階に達していないのかも知れない。地球人である古代や伊東が歩行等に困ら無かった事を見れば、重力はほぼ同じで地球とほぼ同じ大きさの星と推測される。またボンベ等に頼らずとも呼吸していたので、大気成分も地球のそれに近いのだろう。
 ガミラスがここを改造して「収容所惑星」にしたのは、固有の大形生物がいないなどの理由によるものだろう。大気環境をガミラス人等が住めるように改造し、ここにガミラス帝国各地で反乱行為を起こした人達を収容する施設であることは「収容所惑星」という名を見れば一目瞭然だ。劇中に出てきただけで、ガミラス人、ザルツ人、ガトランティス人の反乱者が収容されていることがわかる。15話で悲惨な結末を迎えた惑星オルタリアの反乱者の姿が見あたらず、彼らは星を殲滅されられると共に収容所送りになった反乱者は死刑になったものと推測される。
 ここに収容されているガミラス人は、ドメル夫人やディッツ提督など名のある人ばかりのように見えるが、一般的なガミラス人反乱者と一緒に収容船に乗せられていることから、彼らがここにいるのも当然の流れと見て良いだろう。
 ここでは反乱者が牢に収容されるだけでなく、強制労働などをさせられていると考えるべきだ。食事はちゃんと与えられていることも想像され、待遇は余り良くないだろう。こんな収容所を作って運営してすごくお金がかかっていそうな気がする。
 この収容所で反乱が起きた。反乱首謀者は何者かよくわからないが、ディッツ提督に先頭に立ってもらいガミラスに変わって欲しいと願う勢力であろう。もちろんその反乱主はザルツやガトランティスではない、この事実はこの反乱の危うさを物語っているのは確かで、ガミラスに悪く使われていた人達が「ガミラスに刃向かうため」であってもガミラス人を信用するとは思えないのだ。
 手順はこうだ。反乱決行直前に、配膳係に扮した協力者が牢にいる収容者に武器を渡す。そして本国からの監視員を装って反乱首謀者が到着、同時に協力者が牢の鍵を全て解放して収容者が暴れるという寸法だ。同時に反乱首謀者は収容所の責任者を拘束し、ディッツ提督を救出して反乱軍の指揮者に祭り上げるというわけだ。
 ここで興味深いのは、フラーケン率いるUX−01艦がこの反乱を知っていたかどうかだ。私は「知っていた」と解釈している。知っていたからこそすぐに出港せず、ユリーシャを救出するために待機していたと見るべきなのだ。本来はここで本国の艦に引き渡すと言われていたが、これが反乱首謀者の乗った「本国からの監視員」の艦なのだろう。これがフェイクであり反乱が起きることを知っていなければ、フラーケンは反乱が起きたときには出港していなくなっていたはずなのだ。

第22話「向かうべき星」
名台詞 「それはお前達次第だ。ヤマトの任務はイスカンダルへ向かうこと。ガミラスへ行き、我々と戦うことではないはずだ。それとも、復讐心から私たちの星を叩きたい。それがお前達の本心か?」
(メルダ)
名台詞度
★★★★
 ヤマトとディッツ提督の会談は「袂を分かつ」という結果に終わるが、それでも「ガミラス連絡将校一名をヤマトに乗艦させる」という同意が形成された。この同意に従ってヤマトに乗り込んだのはディッツの娘であるメルダ。メルダは早速戦闘機隊のところへ行きヤマトの戦闘機に乗せて欲しいと懇願するが、古代がこれを却下する。だが篠原の具申でヤマトが捕獲し保管してあるガミラス戦闘機への搭乗が認められた。その操縦席に座って色々と確認するメルダに、玲が「いいの? 同胞に引き金を引くことになるかも知れないのよ」と告げると、メルダがこう返すのだ。
 この台詞にはメルダの様々な思いが隠されていると感じた。恐らくメルダが「連絡将校」というかたちでヤマトに乗艦したのは、この台詞の通り「ヤマトが復讐心からガミラスを叩く」ような事のないよう監視をすることが任務のひとつであろう。だがヤマトにそんな気持ちがなければ、敵戦闘機乗りに友情を示そうとした古代や沖田の事もあってヤマトを「友」と感じているのかも知れない。玲とも一度戦闘機でやり合い、互いに戦闘機乗りとしての実力を認め合ってからは間に友情が芽生えており、今回のメルダのヤマト乗艦によって再会したときには、敬礼で称え合う関係となっていた。
 つまり、ヤマトが自分達に敵意を示さなければ、彼女は倒す相手が自分の同胞であっても手を貸す決意があるとこの台詞から読み取る事が可能だ。ガミラス人には「宣戦布告もなく一方的に攻撃してきたテロン人」が憎悪の対象であり、地球人にしてみれば「自分達の故郷を容赦なく侵略し多くの同胞を殺したガミラス人」は憎悪の対象だ。だがここにいま、その憎悪を乗り越えた「何か」が芽生えていることは確かなのだ。このメルダの台詞からはこんな構図が浮かんでくる。
 この台詞を聞いた玲は、「そんなこと…」と言い掛ける。そう、玲もメルダの存在によってガミラス全部が憎悪の対象ではないと気付いているのだ。そこへユリーシャが現れ「もうないよね?」と告げる。ユリーシャはユリーシャでこの「関係」に気付いている、つまりヤマトは憎悪だけではなく他のものを求めている事に気付いているのだ。これでヤマトが「イスカンダルに試された結果」として、コスモリバースシステムが受け取れるという展開にも説得力が出た事であろう。
名場面 雪とノラン 名場面度
★★★
 前々話で雪を拉致したザルツ人特殊部隊唯一の生き残りで、「ユリーシャの送還と警護」を任務としているのはノランという若者である。ノランは「ユリーシャ」と共にガミラス星に降り立ち、「ユリーシャ」とデスラーの会見後、「ユリーシャ」を拘束場所となる屋敷へと送迎していた。その自動車の中で雪が「ここの月は大きいのね、大きくてきれい」と口にすると、「あれは月ではありません。ご存じないのですか? あれはイスカンダルです」とノランが答える。その内容に驚愕する雪。それだけではない、この会話で自分がユリーシャでないことは明白になったのだ。それでもノランはそれに気付いた素振りを見せず、雪の方を見ずに自動車を運転する。雪はノランに「既に見抜かれていた」と感じたのだろう、「いつから?」と問う。「確信を持ったのは今です」と答えるノラン。「そう…どうするの?」と雪が訊けば、「僕の任務はあなたをお守りすることです」と返して自動車の運転を続ける。
 早速「ユリーシャ」の正体がバレる。だがここまで雪を連れ回していたノランがこれに気付かないはずはなく、彼はずっとその疑念を抱きながら「ユリーシャ」との逃避行をしていた事が明らかになる。そしてその疑念は、連れ回していた「ユリーシャ」が自分の星を知らないことで確定してしまった。自分がユリーシャでない事がバレた雪は、イスカンダルとガミラスが隣同士だったショックも手伝って一瞬動揺するが、ノランはこの事実の確定に全く動じない。
 連れ回しているのがユリーシャでなく単なるテロン人女性だとガミラスに知れたら…もちろん彼らが生命を賭して戦った作戦が「失敗」とされるだけではない、デスラーの作戦が上手く行かないことで自分が処刑されるのはもちろん、これは一緒に戦い死んでいった仲間達の名誉を傷つけることになる。この失敗は大々的に宣伝され、各地でガミラスに忠誠を尽くそうと奮闘しているザルツ人達がやっと勝ち得た信頼をも汚してしまうのだ。だから彼としてはこのテロン人女性に「ユリーシャ」のままでいてもらうしかない。そう考えているのだ。
 そしてもう一つ、ノランはこのテロン人女性に仄かな恋心を抱いているのも確かだ。それを考えれば、自分が本当の事を言えば引き離されると感じているに違いない。彼女がユリーシャのままでいてくれれば、その間は一緒にいられるという仄かな幸せも感じている事だろう。このノランと雪の物語がどのように進行していくのか、展開を見守りたいところだ。
感想  まずメルダに一言。
 お前はシャアか?
 ヤマトから自分に与えられた戦闘機(ヤマトがガミラスから捕獲)まで赤く塗っちゃうなんて、これで「通常の三倍のスピード」で敵に迫ったりしたらメルダのことを「女シャア」って呼んじゃうよ。戦闘機が赤く塗られたシーンを見て、この漫画を思い出して大笑いしちゃったよ。
 続いてユリーシャ、なんか前話や百合亜に憑依していた頃と全然キャラが違うんですけど。まぁ美しい女性だから笑顔で出てきてくれるのは嬉しいんだけど…そうそう、今話でやっと「ユリーシャの姿」で「はてな?」をやってくれた。
 あのヤマト食堂での女3人のシーンは面白かったね。地球人とイスカンダル人とガミラス人の女性が一人ずつ、ヤマトの食堂でパフェを食べながら談笑なんて旧作を思えば全くの予想外の展開でとても面白かったぞ。ガミラスにはパフェって食べ物はないんだな、いや「スイーツ」っていう概念自体がないのかも? 「食のレジャー」は地球人だけの文化だったりして。ユリーシャは地球に1年いたのだから、どこかでパフェの味を覚えていても不思議はないだろう。そりゃともかく、このシーンでは玲やメルダのこれまでにない面を見る事が出来たのは面白い。生まれて初めてパフェを口にしたメルダに「どうよ?」と言う玲、これに対し「こんなものが宇宙にあったとは…私は今、感動している」とパフェを次々に放り込むメルダ。天然ボケのユリーシャも含めて本当に可愛いシーンだ。今話はこのシーンだけでお腹いっぱい。
 ガミラスではドメルの追悼式典、ここではもうデスラーやセレステラは「ユリーシャ」が間違って拉致されたテロン人と気付いているが、「ユリーシャが本物がどうかはどうでも良いこと」として物語を展開させてしまうから面白い。古代が「雪がユリーシャでないとバレたら…」という不安を語っていたが、本物のユリーシャが出てこない限りは雪の安全は保証されているってことだ。この展開でヒルデがメイド姿で再登場し、「ユリーシャ」の側近として画面に何度も出てくることになったがこれは良い展開だと思った。そしてセレステラが「ユリーシャ」の正体を見破りつつも、雪をユリーシャとして扱いながら自分の生い立ちを語り、ヒルデの生い立ちやザルツ人のことを語ったのはテロンに「恭順すれば共生出来た」と訴えているように見えてならなかった。ヒルデがこのために用意されたキャラクターであることが理解出来たよ。
 さて問題は今後だ。ヤマトは「ガミラス絶対防衛圏」に入らざるを得ないので、メルダの名台詞を受けての好む好まざるに関わらずガミラスと戦うことが運命付けられている。この戦いがどんな様相になるのか? そしてヒルデと雪が接近したことで、ノランを含めたこの三者の物語もあることだろう。セレステラの動向やディッツの反乱を知った他のガミラス首脳陣の動きも気になる。何よりも今話冒頭で宇宙の彼方に消えていったディッツ提督やドメル夫人が、このまま消えるキャラとは思えないんだよな…。
研究 ・ヤマトとディッツ提督
「艦長日誌。補修に立ち寄った惑星レプタポーダにおいて、我々は驚くべき事実を知ることになった。ヤマトが向かうべき目的地、希望の星であるはずのイスカンダルと、我々の敵ガミラスは二重惑星だったのだ。両者の間には我々の窺い知れぬ繋がりがあるらしい、彼らガミラスはイスカンダルを崇拝の対象としていたのだ。我々はレプタポーダ収容所に収監されていたガミラスの高官、ディッツ提督との会談に臨んだ。現政権に反旗を翻した彼らであったが、互いの経緯を考えても、恩讐を越え、すぐに手を携えられるはずもなかった。だが、ガミラスに関する有益な情報はいくつか得る事が出来た。指導者の名はアベルト・デスラー。総統として君臨し、その広大な星間国家を恐怖で支配しているのだ。ディッツ提督達は人々を解放するために、他の収容所惑星へと向かった。我々は袂を分かつしかなかった。しかし、共闘出来ないまでも彼らは連絡将校1名を残してくれた。これは未来に希望を繋ぐことなのだと信じたい。なお、敵に拉致された本艦の船務長、森雪の生存が確認された。彼女と接したドメル夫人の話では、森雪はユリーシャとして…(以下略)」

 本話冒頭で沖田が口述で記録していた艦長日誌の内容である。これを見ると前話を受けて、ヤマトがレプタポーダに降り立ち艦の補修をしたことが明確になる。恐らく前話と今話の間で古代とディッツ提督が出会い、古代が艦の補修を理由に収容所にある宇宙港の使用を要請し、ディッツがこれを認めたという所だろう。古代は収容所が反ガミラス帝国派によって占拠され、ヤマトの着陸が安全であることを説明したに違いない。その後ユリーシャは救出され、ユリーシャによって伊東の死が報告され、反乱軍に取り込まれた藪は行方不明扱いという事になったのだろう。
 そして、ヤマトの補修中にヤマトとディッツ提督らの会談が行われたと考えられる。ユリーシャを立会人として、ヤマトからは沖田・真田・古代の3名が、ガミラス側はディッツ提督・ドメル夫人・メルダの3名が出席した。ここではどんな会談がされたのだろう?
 恐らく、沖田はドメルに対して語った事と同じように「我々をイスカンダルへ行かせてくれ」と懇願したに違いない。だがディッツの返事は「自分達は反乱軍でありガミラスを止める立場でない」と言うことであっただろう。これを受けて沖田は共闘することを提案したに違いない。だがこれは地球側の「心の準備」の問題と、ガミラス側の会談参加者にドメル夫人がいたことで頓挫したことだろう。真田は「共闘の条約を結んでも、ガミラスに恨みのある地球人乗組員の反抗があり得る」ことを語ったと思うし、ドメル夫人は「ヤマトは夫を奪った憎しむべき敵」だと語った事だろう。またディッツも地球側のガミラスに対する一方的な攻撃開始を知っており、これに良くない感情を持つガミラス人が少なからずいるとしたことだろう。
 沖田や古代、そしてディッツやメルダはそれでも共闘の道を探ったと思う。沖田は「本来ならガミラスに用はない、攻撃されたら身を守るだけでガミラスが攻撃しなければ我々も手を出さない」と力説しただろう。だが前述した「感情論」となると会談は物別れ、そのような経緯を繰り返したと考えられる。
 結果出てきた妥協案、ディッツはヤマトが「本来ガミラスを攻撃する必要は無い人々」と判断したが、本当にその通りかどうか監視するために「連絡将校」という言い訳でメルダをヤマトに送り込むことにしたのだと思う。ディッツが上手く話を展開させたことで、ヤマト側はこれを「友好的な提案」と受け取ったのであろう。恐らくディッツは、メルダを監視役として乗せるための相手を信用させるための手段として、可能な限りのガミラス帝国の情報を沖田に語ったと考えられる。指導者のことだけでなく、政治体制や軍と親衛隊の関係、それにガミラス主力艦隊がヤマトの攻撃により遙かバラン星に取り残されているという情報も語った事だろう。また波動砲がガミラスでは未だ開発途上という実情も語っただろうし、何よりもイスカンダルとガミラスの関係は雪の安否を語る上でも重要だ。
 だがディッツはこの時はまだ、メルダがかつてヤマトに乗り込み、一部乗組員と信頼関係を結んでいたことなど想像すらしていないと考えられる。彼女がガミラスに帰還した際、乗艦が沈んだのにどうして自分だけ助かったのか語っていないからだ。
 私の解釈ではこのような経緯で、ヤマトとディッツは「袂を分かった」のだと考えている。だがこれは完全な交渉決裂でないことも確かだろう。他の収容所惑星に向かったディッツが、何らかの形でまた物語に出てくると考えるのは、こんな解釈があるからだ。

第23話「たった一人の戦争」
名台詞 「そうだ、あの人の本当の名前、まだ聞いてなかったな…」
(ノラン)
名台詞度
★★★★★
 第二バレラスではデスラーがデスラー砲をぶっ放そうとしていたその時、その波動エンジン室ではノランが静かに銃を置いていた。彼は深呼吸をしたかと思うと、波動コア暴走のためのレバーを引く。艦橋ではデスラーがガミラスの今後を語りながらデスラー砲の引き金に手が掛かった瞬間であった。「警告 警告 波動コア制御不能」というアナウンスが流れると、ノランはその場に腰を下ろす。そして彼が一人こう呟くと、ノランの身体は光に包まれその姿が画面から消える。
 七色星団の戦いでヤマトに乗り込み、その際には脱出のためのハッチを確保という後方に回ったがために生還出来たノラン。彼は仲間達が生命を賭して拉致してきた雪を預かり、本国に送り届けるという重要な任務に就いたことで雪と親密になる。だが彼のそのヤマト艦内の行動から見れば、その最期がこんなに印象的に描かれるとは思わなかった。
 彼が最後に認めたのは雪への恋心だろう。もちろんそれは劇中でも散々描かれてきた。だがノランがこれを自覚していたかどうかは疑問だ。これまで自覚があろうが無かろうが、彼は最後の最後に雪への恋心を認めたのである。そして彼は最後に彼女の名前を口にしたかったのだろう、でもそこで気付いた、「ユリーシャを名乗っていたテロン人女性の名を知らない」ということに。
 その名前を知らない、だから最後に恋した女性の名を呟くことすら出来ない。そんな彼の気持ちが描かれているのだが、このシーンの彼にはそんな「悔しさ」はない。むしろそんな名も知らぬ女性に死ぬまで尽くし、最期は自分が彼女に代わって死ぬということで「生」という最大のプレゼントが出来た事に心からの幸せを感じているような表情だ。この台詞の口調とセットで、このシーンでのノランの幸せそうな顔はとても印象的だ。「ヤマト」のキャラクターで、こんな表情で死んでいったキャラクターを私は知らない。
名場面 雪とノラン 名場面度
★★★★
 「ユリーシャ姫は気分が悪い」とされてデスラーの元から退席を命ぜられた雪は、ノランと共に宇宙服を着た上で第二バレラスの波動エンジンに忍び込む。ここで雪は波動エンジンを暴走させるべく、ソフトのプログラムを書き換えてしまうのだ。デスラー砲が発射態勢に入ったその頃にこのプログラミングを完了した雪は、「今までありがとう、これ以上私に付き合う必要は無いわ」とノランに告げる。ノランは雪が身を挺して波動エンジンを暴走させるレバーを引くと確信する。「あなたは早く…」と言葉を続けようとする雪の言葉を「何故そんなに頑張ろうとするんだ?」という問いで遮る。雪は「やっと見つけたから、自分にしかできないことを」と語る。だが古代とユリーシャのシーンを挟んだ次のシーンでは、雪はノランに銃を突き付けられていた。「どうして?」と問う雪に「わからない女だな…これは本物のガミラス人になれるチャンスなんだよ。僕がこの秘密兵器を守ったことを総統が知れば、一等ガミラスも夢じゃないってことさ」と告げる。「そんな事言わないで」と反論する雪を、ノランは「バカな事じゃない!」と叫んで脱出口に押しつける。「だから…あなたとはここでお別れです」と続けたノランは、脱出口を開いてその向こうに雪を押し込んで「待って!」と叫ぶ雪に構わず扉を閉じる。ノランが「お元気で…」と呟いたと思うと、宇宙空間へのハッチが開かれて雪は宇宙空間へ吸い出される。その後で一人残されたノランは「さようなら…」と呟く。
 雪とノランの物語は唐突に幕を閉じたシーンである。七色星団の戦いで雪が拉致されてから、その正体を知りつつもノランは最後まで雪に忠実に動いたのはとても印象深い。私にとってノランはガミラス兵の中で最も印象に残るキャラになりそうだ。
 このシーンの最初では、ノランは雪が何をしようとしているか解っていない様子だ。いや、第二バレラスを破壊するという目的は理解していただろう。彼が理解していなかったのは、「そのために雪もこの波動エンジンと運命を共にする」という自己犠牲の上でヤマトを救うことだった。ヤマトを救うことは、雪にとってテロン人という多くの同胞を救うことになるという事実をノランが知っていたとしても知らなかったとしても、彼はこの自己犠牲が理解出来なかったのだろう。
 だが彼の感情は「雪を死なせてはならない」という一点にあった。雪がこの自己犠牲を「自分にしかできないこと」と語っているのを知れば、ノランは「正攻法では雪を助けられない」と確信したはずである。だから彼は「雪に忠実な一人の男」から「虐げられている二等ガミラス臣民」に戻った、いや戻ったふりをした。この展開はここまで上手く行き過ぎだった拉致された雪の物語に、前回の名場面欄と同じくピンチを描いて緩急をつける効果があったはずだ。多くの視聴者がこのシーンで「雪はどうなるのか?」と不安を感じたはずだからだ。
 だが、ノランはすぐに感情を出す。彼が見せた次の感情は、雪に忠実であったのは軍命などが理由でなく「雪に惚れたから」という男心だ。その男心は雪を殺すのでなく、雪を脱出させるという事が描かれれば誰もが理解出来る。そして彼は名台詞欄に書いたように、雪の代わりに自分が波動エンジン暴走のレバーを引くことになる。
 こんなノランの「男」としての心情、ここから出てきた心意気というのがとても印象的に描かれ、とても気に入ったシーンだ。ただ唯一の欠点は、このとても良いシーンに古代が何度も割り込んでくることだ。
 しかし、ザルツ人というのは「自己犠牲」という概念がないのかも知れない。だから生命を賭して敵と戦うという概念が無く、あるのは「自分が信じたものに忠実に生きる」というものだろう。もちろんそんなザルツ人は「自殺」という概念もないのかも知れない。彼らがガミラスの侵略を受けたとき、特に反抗されないままに占領されたのも頷ける。彼らはガミラスを信じガミラスに忠実に生きる事が美徳と考えたのだろう。彼らの生き方には頷くべき所もあるが、占領する側から見ればこんななに扱いやすい人種はないだろう。
感想  ガミラス本土決戦! 初代「ヤマト」では、七色星団の戦いに次いで印象に残る戦いであることは誰もが認めるところだろう。だが時代が時代だ、「設定面」でおかしいところがあり書き直しを迫られた七色星団の戦いとは違い、このガミラス本星での戦いは「ストーリーそのもの」を描き直す必要があったと思う。なぜなら、旧作におけるガミラス本星の戦いでは、どう考えても主役艦の「ヤマト」が大量虐殺をしてしまっているからだ。今の時代にこのガミラス本星の戦いをそのまま描いたら、様々な場所からクレームが付くことだろう。時代が変わるというのはこういうことである。
 だから予想通り、本作のガミラス本星の戦いは旧作を全く踏襲していない。ヤマトが倒すべき相手は最初からデスラーのみとされる。デスラーはヤマトという敵の侵入を許したことで正常な判断力を失ってしまうのは旧作同様だが、この狂気がデスラー自身がガミラスに対して大量虐殺をやりかけるという展開へと描き直し、ヤマトはこのデスラーの狂気からガミラスの「庶民」を救うという展開にされたのだ。そうするとことあるごとに本作で「ガミラスの庶民」が描かれた事も活きてくる。シュルツの娘ヒルデはここでは「庶民」の一人としての登場だし、ドメルに花束を渡した少女も「庶民」を描くために上手く利用されている。ドメルが子供の墓参りに来たときに出てきた少年達もだ。こうして「ガミラス」という国にはちゃんと老若男女がいることを描き、ヤマトは彼らを守ったという悪く言えば偽善的ストーリーとなったのである。
 だが細かいところでは他に見どころは多い。何てったって名場面欄と名台詞欄を独占したノランと雪の物語はその最たるものだろう。他にもデスラーに置き去りにされたセレステラの反応や、デスラーに対する批判の台詞を吐いたヒス(旧作では徹底的にイエスマンであったのに)など、デスラーの暴走という事態に対する各キャラクターの混乱ぶりが上手く描かれている。その中で一人混乱していなかったのは親衛隊長のギムレーであり、彼は今話で爆死することになってしまったが最期まで落ち着き払ったキャラを壊さなかったのは敵ながらアッパレ。ギムレーはデスラーの企みなどを知っていたんだろうな。対してセレステラはそうでなかった。デスラーはギムレーに対してはその人格に利用価値を認めていたが、セレステラに対しては彼女たち一族が持つ「力」と、愛人としての利用価値しか認めていなかったのだろう。だから彼女の力がなくなれば「ポイ」なのだ。その運命はリンケがヤマトに乗り込んで死んだときに決まっていたのかも知れない。
 いよいよ次話はイスカンダル到着なのか? 残り話数は3話、イスカンダルで2話を費やすのか? それとも帰途で2話を費やすのか? 事前情報で「全26話」は本当に正しいのか? ここへ来て色々気になるぞ。いずれにしても次はイスカンダルの話だろう。スターシァがどのような「判断」を下すのか注目だ。
 そして、デスラーはノランが起こした爆発から間違いなく逃げている。第二バレラスに固定されても、デスラーの乗艦だけがワープ出来るように作られているのだろう。ただしデスラーは為政者としてガミラスを追われる事になるのだと思われる。いずれにせよヤマトが太陽系に戻った頃に、突如現れてデスラー砲を放ち…なんか波動防壁であっけなく避けられそうだな。真田さんの「こんなこともあろうかと…」と発動するのだろうか?
研究 ・第二バレラス
 今回の戦う相手はデスラーだが、総統府に特攻したヤマトからデスラーが逃れた場所は「空間軌道要塞都市 第二バレラス」である。この第二バレラスはこれまでも劇中に何度か出ているが、見たところ宙に浮かぶ人工地盤上に設置した都市と言ったところだろう。劇中の描写から推定すると、大きさはせいぜい長辺で数キロ程度のものと思われる。島のような形の本体部からビルが林立しているのが見えるが、これらは居住区や勤労地区なのだろうと推測される。これらの地域は透明な素材で宇宙空間と仕切られていて、見方によってはピラミッドが林立しているようにも見える。まぁ、スペースコロニーのようなものだろう。
 スペースコロニーと違うのは、ヤマトワールドでは原理は別にして人口重力が実現している設定であるからして、この人口重力を活用したシステムとなっている点だ。つまり「ガンダム」で出てくるスペースコロニーのように遠心力で重力を発生させる必要が無いので円筒にこだわらなくても良いので効率的な構造物と出来る点が特徴だ。動力源として波動エンジンを搭載しており、これで宇宙を航行出来ることは明確である。もちろんヤマトと同じように波動砲(デスラー砲)も装備している。
 この都市にどれくらいの人が住んでいるかは、正しい大きさが解らないので推定による他はない。劇中の描写をどう見ても長さがせいぜい2〜3キロ、幅は恐らく1キロ程度だろう。大きく見積もって3平方キロメートル。都市は上下両方向に設置されているのでこの倍の土地はあることが確定だ。内部が何層かに分かれている可能性もあるが、エンジンなどの装備を考えればここを居住区などに充てるのは不可能だろう。つまり都市としての床面積は6平方キロメートル、ここに日本で最も人口密度の高い東京都豊島区の人口密度を掛けてやると、第二バレラスの人口は13万2670人…って、たったそれだけ?
 つまりデスラーは、全宇宙圏に何億、いや二等ガミラス臣民を入れれば間違いなく兆単位になるであろう人口のうち、たった13万人を連れて「遷都」しようと考えていたのである。解りやすく言うと、大阪府箕面市や千葉県我孫子市の人口と同程度…なんか宇宙的スケールとは違う世界になってきたなぁ。たったこれだけを連れて「遷都」と言っても、ガミラス人が皆これに従わなければ意味は無いぞ…って、そのための親衛隊か。
 この第二バレラスに住む13万の民にも過酷な運命が待っていた。その一部はヤマトを破壊するために切り離されて大気圏突入させられる、まるで「ガンダム」のコロニー落としだ。しかも生きた人が住んだままである。しかもヤマトの波動砲にあっけなく破壊される。この時に切り離されたが全体の1割とすれば、1万3千人がここで大量死したことになる。
 さらに雪が工作し、ノランが実行した波動コアの暴走により、残りの12万人も全員死滅したものと考えられる。うん、これでハッキリ言って良いだろう。本作のヤマト乗組員の中で、最も多くのガミラス人を殺害したのは雪だと言うことだ。雪は可愛い顔して12万人も大量虐殺したのだ。ヤマト乗組員全部合わせても、この1割に届くかどうかであろう。
 しかも、肝心なデスラーは恐らく死んでないから…雪は無駄な虐殺をしてしまったのだ。地球は復興叶ったら、第二バレラス爆発地点に大きな慰霊碑を建ててあげないと…ガミラス星の何処かにどっかの半島みたいな国があったら、謝罪と賠償を求められるぞー。

第24話「遙かなる約束の地」
名台詞 「やっぱりいいなぁ。艦は海の上が一番だ。」
(島)
名台詞度
★★★
 激しく同意。
 そうそう、フネは海の上にあるからフネなのであって、宇宙を飛んだら宇宙船になってしまうわけで。そしたらそれを操縦する人達は「船乗り」じゃなくて「宇宙飛行士」になってしまうんだな。
 今話は印象的な台詞が多く名台詞欄にどれを挙げるかで凄く悩んだが、やはり乗り物ヲタの私としてはこの島の何気ない一言が一番印象的だった。本作では「自称 船乗り」の島が船乗りらしい台詞を吐いて本当に船乗りになったってところだろう。
 同時に序盤と終盤で見られたヤマトの海上航行は旧作以上にカッコ良かった。急旋回時に艦隊が外側に傾かなかったという大きな欠点はあったが、ヤマトを「フネ」として描いた迫力は十分だった。イスカンダル出港時に艦橋で真田が「バウスラスター始動、右旋回180度」なんて指示を出し、島がこれを復唱してレバーを動かすとヤマトが回頭する…そんなシーンを想像出来てしまうほどの迫力。絶対に作画に「フネ好き」の人が加わっていたに違いない(艦隊が傾かないのは作画の限界だったということで)。
(次点)「ヤマトの諸君、艦長沖田だ。我々は遂にイスカンダルへ来た。見たまえ、今諸君の目の前にイスカンダルがある。この機会に艦長として一言だけ諸君に申し上げたい。ありがとう、以上だ。」(沖田)
…長い旅路の末にやっとイスカンダルに到達した喜び、これが見事に表現された台詞だと思う。同時にそれまで地球のために生命を賭して戦った皆に対し、沖田の感謝の言葉が発せられる。涙が出そうな感動的な台詞だ。ちなみにこの台詞は旧作と全く同じ、旧作の24話考察でも同じ台詞を名台詞欄次点として取り上げている。
名場面 守のメッセージ 名場面度
★★★★
「私は国連宇宙軍所属駆逐艦ゆきかぜ艦長、古代守だ。私はガミラスの捕虜となり、実験サンプルとして護送される途中、難破したところをイスカンダルの女性に助けられた。そして、地球の艦がここへ向かっていることを彼女から聞いた。このメッセージが届いていると言うことは、君たちは無事にたどり着いたということだ。出来る事なら、俺も君たちの艦で一緒に地球へ帰りたい。だが、それまで俺の身体は持ちそうにない。最期に言い残しておきたいことはふたつ。ひとつは俺たちは異星人とだって理解し合えるということだ。俺はそれをこの星に来て教えられた。それは忘れないで欲しい。そしてもうひとつは、弟の進に伝えて欲しい。進、俺の分まで生きてくれ。生きて必ず、青い姿を取り戻した地球を瞳に焼き付けてくれ。貴艦の航海の安全を祈る。どうか地球へ無事な帰還を…」

 スターシアからコスモリバース譲渡の正式な申し入れの後、古代だけがスターシアに連れられてイスカンダルの霊園に案内される。そこにあったのは古代の兄、守の名が刻まれた墓だった。古代はスターシアから守救出の経緯を聞かされ、そしてメッセージを受け取る。そのメッセージには上記のように録音されており、これを全艦内放送でヤマト乗組員が聞いているシーンを今回は名場面としたい。
 このシーンでは艦橋のメインスタッフだけでなく、食堂や機関室や航空隊の控え室など艦内の至る所で名もあるキャラクターもそうでないキャラクターも、みな同じ表情で聞いていることである。その表情は「神妙な表情」と言えばいいだろうか? ただ玲は兄の形見を握りしめ、そして百合亜は表情を見せずに黙祷している様子だ。この中に地球人ではないユリーシャやメルダも加わっている。
 その彼らを描くことは目的地であったこの地に先人がいて、その先人が思い半ばで倒れた事実に、皆が痛烈に心を痛めていることだ。このシーンを通じて再び描かれたのは、ヤマトの目的地到着という喜びの前に多くの「悲しみ」があり、ヤマトがここにいる理由がその「悲しみ」を希望に変えるためだという事実だ。希望の地に着いた喜びの中に秘めた悲しみ、出発前には戦争で愛する人を喪い、出発後にも戦友達を失った彼らは、その失った者を守に見立てているのかも知れない。いや、守の声自身がその失った者の声に聞こえているのかも知れない。そんな状況を上手く描いたと思う。
 このシーンは、ここまでヤマト乗組員側では「目的地に着いた安堵」「目的を達せられた喜び」を中心に描き、どちらかというと明るい展開だっただけに、その裏側に秘めた思いという暗い部分を描き出したという意味でとても印象的だった。これも旧作にはない要素でかつ、旧作でも裏にあった事実であることは言うまでも無い。
感想  もう、なんてーか旧作同様にイスカンダルの話はイスカンダルの話で1話に全部押し込んできた。まぁ旧作に描かれた「イスカンダルでのヤマト乗組員の反乱」が描かれないことは16話の時点で確定していたから、新しい要素を入れても1話にまとめられるのは確かだ。イスカンダルではコスモリバース(コスモクリーナー)を受け取る話に、スターシアと守の間に芽生えた「愛」を通じて「異星人同士もわかり合える」というテーマが描ければいいのだから、2話にまたがる必要は無いな。
 その新しい要素とは、ひとつは「目の保養」。本作のヤマトにはあれだけの女性乗組員がいるんだ、視聴者サービスのひとつふたつあってもいいだろう。ヤマト乗組員に水着の用意(戦時中だというのに派手な事も含め)があったことを疑問に感じてはならない、特に「連絡将校」のメルダまで水着を持参していたことがおかしいと突っ込んではいけない。だって、視聴者サービスなのだから。玲・篠原・メルダがカタパルトから海に飛び込んでいたが、このシーンから計算すると彼らが飛び込んだ高さ(喫水線からカタパルト)が80メートルもあり、着水時には127km/hになっている筈だなんて突っ込んでもいけない。視聴者サービスなのだから。「胸がちっちゃいのからでかいのまで揃っていたけど、お尻の形が良いのがいなかったなぁ」というのは、「おしり星人」を自認する私の感想だ。
 別の意味の視聴者サービスとして、第三艦橋でこの「視聴者サービス」シーンを見ていて榎本掌帆長の役どころが、野原ひろしまんまで大笑い出来たこと。これも同じ声優さんで遊んだんだろうなぁ。しかし海水浴に興じた男性乗組員で、名前があるキャラは篠原と星名だけとは…。
 それにしても「原田衛生士意見具申」って真琴が言ったとき、「原田なんて乗組員いたっけ?」と一瞬考えてしまったじゃないか。真琴の苗字忘れてた。
 「視聴者サービス」の解説が長すぎた。もう一つはヤマトがイスカンダルに着けば確実にコスモクリーナーを譲受出来るのでなく、そこでスターシアにより「審判」が待っていたことだ。これまでも劇中で語られたとおり「波動エネルギーょを武器として使用する」ことは、イスカンダルでは御法度であった。この掟を破ったヤマトはコスモリバースを受け取れないという展開もあり得るように上手く改変したのである。結局はコスモリバースをもらえることになるのだが、ここに前話で「波動砲がガミラスの民を救った」という展開と、守の存在を絡めてうまく解決したと思う。
 守については、旧作から「ガミラスの捕虜となりイスカンダルにたどり着いていた」という設定は引き継いだが、残念ながらヤマト到着を待たずに死去したという設定にされた。スターシアは守だけでなく一緒に遭難した地球人やガミラス人を手厚く葬ってくれたのは確かだろう。ただ遭難後にしばらく生きていた守がスターシアと恋仲に落ちたのも確かだろう。スターシアが妊娠していることを示唆するシーンも最後にワンカットあり、守とスターシアであんなことやこんなことがあったと考えるべきだ。地球人とイスカンダル人でそれができるかどうかはおいて置いて。
 さらにコスモリバースがなんでイスカンダルまで取りに行かないのならなかったのか、「試す」以外の要素での回答もでている。波動エネルギーを武器に使う事をイスカンダル人が嫌悪する理由もハッキリした。色んな謎が一気に解けたなぁ。
 この期に及んであと2話、うち1話では帰路でのガミラスとの戦いがあるのは明確だ。バランに取り残されたガミラス艦隊の存在もあるし、デスラーが死んでいるはずはない。デスラーと艦隊が合流して最後の一台艦隊戦が描かれる可能性は高い。そこでヤマトは波動砲をスターシアによって塞がれたのだから、これまでの戦いとは同じ展開にならないのも明確だ。さぁ、次話はいよいよ空間波動メッキの出番か?
研究 ・イスカンダル
「イスカンダル星、表面の約80パーセントが海に覆われた、地球型の惑星です」
「本艦はこれより、イスカンダルからの誘導に従って着陸します。地表は気温27℃、気圧1023HPa、風力2南の風、海上はうねりもなく穏やかな晴天です」

 前者がイスカンダル星を認識した際に太田による説明、後者はイスカンダル星降下時の雪による気象概況である。これらふたつの台詞はイスカンダルという星が地球によく似た環境であることを上手く示唆している。特に気圧の情報が「HPa」単位で語られる点は、地球人がそこに降り立っても困らないことを上手く示唆している。出来れば大気の情報なんかも欲しかったが、劇中で海水浴中のヤマト乗組員らが呼吸に困らなかったことを考えれば地球大気に近いのだろう。また重力も彼らが行動に困らなかったことを見ると、地球とほぼ同程度であると考えられる。まぁ、篠原の飛び込みシーンを考えると地球の半分程度であって欲しいのだが…(感想欄の計算はイスカンダルと地球の重力は同じで、篠原の体重を75kgとして計算した)。
 旧作と同様に女王一族以外の人口はゼロだ。かつては強大な科学力によって大マゼラン銀河を支配し、自らの科学力を制御出来ずに人口の大半が滅んだという歴史も旧作を引き継いでいる。だがひとつ違うのは、イスカンダルも波動砲を完成させておりこれを侵略兵器で使った過去があることだ。以来イスカンダルは反省し、イスカンダルに代わってガミラスが大マゼラン銀河を恐怖政治で支配するようになると、「救済」の道を歩むようになるのだ。ちなみに波動エンジンはイスカンダルで開発され、これがガミラスに渡ったという私の19話研究欄での推測は当たっていたことになる。波動エンジンがイスカンダルからガミラスに渡った時点で、波動砲の技術供与中止は既に既定路線だったのだろう。
 イスカンダル星人はほとんど死滅しているので文化などは想像に頼るしかないが、劇中でハッキリしていることはイスカンダル人も地球人のように「花を愛でる」という習慣があること、同時に花から連想するものを「花言葉」として言い伝える風習もあることだ。恐らくこの風習はガミラス人にもあると考えられる(ガミラス人には、祝いに花をプレゼントしたり、死者に花を手向ける風習があることがハッキリしているので、同じように花を愛でる習慣もあるはずだ)。
 これも旧作を引き継いでいるが、肉体的にも遺伝子的にもイスカンダル人と地球人は交配して子孫を残すことが可能だ。もちろん感想欄にも描いたようにあんなことやこんなことも可能だし、その結果として受精するというシステムも同じなのだろう。物語を見ていると、これはガミラス人も同じではないかと思われる。ザルツ人やオルタリア人もそうだろうし、何星かは解らないがセレステラの故郷の星の人種もそうだろう。物語を見ているとデスラーとセレステラは愛人関係で、性交渉があったと見るのは自然だからだ。
 さて、問題はイスカンダルの未来である。人口2名、うち一人はガミラスへ渡り人々を指導すると決断している(メルダはその補佐として行動を共にするのだろう)。残った一人でどうするのだろう? ただ感想欄にも書いたように、スターシァ妊娠を示唆するシーンがあったために子孫は残ると考えられる。それも一人じゃなー。どうせスターシアの子供は地球人とのハーフなんだから、地球人を入植させれば…と思うのは勝手な話だろうか?

第25話「終わりなき戦い」
名台詞 「キャプテンも好きだねー!」
(ハイニ)
名台詞度
★★
 地球への帰路にバランの亜空間ゲートを使用していたヤマトに、ゲール艦隊が奇襲を掛ける。ゲール艦隊の目的はヤマトを亜空間ゲートへと急がせる陽動攻撃であったが、このままヤマトを沈めてしまいそうな勢いだ。そこにヤマトの正面から飛んでくるガミラスの魚雷、この魚雷はヤマトを素通りしてゲール艦隊の艦艇2隻を轟沈させる。何が起きたかと慌てるゲールの前に、次元潜航艦「UX−01」が現れる。フラーケンがまるでキャプテンハーロックのように艦の最上段に立ち、「ディッツ提督の召還命令に背き、勝手に艦隊を動かしたんだ。ゲール閣下には逮捕命令が出ております。軍事法廷があんたを待ってるよ」と告げる。このフラーケンを見た副長のハイニが、艦内で呟くのがこの台詞だ。
 本当はここに挙げたフラーケンの台詞を名台詞として挙げようと思ったが、このシーンではこれに続くこのハイニの呟きの方が印象に残った。なぜならそれはこの時のフラーケンを見て視聴者の多くが感じた事を、劇中でハイニが語ってくれた台詞だからだ。そう、フラーケンは何も艦外に出て艦の最上段でこの台詞を演説ぶる必要は無い。普通に無線通信でこの内容をゲールに告げれば事は済む。なのにわざわざ危険を承知で、しかも密閉服を着てまで外に出て、かっこつけるのだから見ていて誰もが「好きだねー」と思うしかないだろう。だって、どう考えてもゲールからはこんなかっこつけているフラーケンの姿は見えないのだから。
 しかし、バート・トーマス(by 「こんにちわアン」)が演じるハイニが名台詞欄に名が上がるとは思ってもいなかったなぁ。でもここまでのハイニの役どころを見ていれば、この台詞と同じようにフラーケンの言動に「視聴者目線」でツッコミを入れる役回りが多かったように感じる。このハイニというキャラクターが、出番やその活躍の割に印象に残りやすいのは、その独特の口調とこんな役回りに拠るところだということを思わせてくれた印象深い台詞だ。
名場面 デスラー砲発射 名場面度
★★★★
 ガミロイドにウィルスが仕掛けられたことで、ヤマト艦内における白兵戦に失敗して撤退したデスラーは最後の切り札としてヤマトにデスラー砲を浴びせようとする。異次元回廊でデスラー砲を使用することは自殺行為だと制止するタランを「私は戦争をしているのだ」と銃で脅している間に、ヤマトはデスラー砲を撃とうとしているデウスーラの前方に横向きで立ちはだかる。そしてデスラーがヤマトに照準を合わせると同時に、ヤマトは砲弾での攻撃を仕掛ける。この攻撃にデウスーラは多大な損害を受け、うち1発は艦橋への至近弾となる。この至近弾で艦橋ではデスラーを残して全員死去、デスラーはかつてスターシァに「宇宙の救済」を約束した事を思い出す。「…あの時、約束した通り。君のために…」と呟いて、デスラーはデスラー砲の引き金を引く。だがヤマトの攻撃による損害を受けたデウスーラは、その強大な波動エネルギーを暴発させてその場で大爆発を起こす。
 デスラーの最期、と言いたくなるシーンであるがまだ解らない。デウスーラが爆発するシーンをよく見ると、艦橋部が爆発する艦体から離脱して脱出したようにも見えるからだ。艦橋の高官はデスラー以外皆死去したが、艦橋近傍にいた他の艦員が全部死んだとも限らない。ここが本当にデスラーの最期なのかどうかは来週になって解ること。
 だがここでデスラーは、ガミラス最高指導者としての地位を完全に失ったのは言うまでも無い。ヤマトの波動砲と同等のパワーを持つ「デスラー砲」を持つデウスーラを失い、彼はガミラスの民を従わせる手段を全て失ったのが確かになったからだ。デスラー自身もここで自分が生き残ってもそうなることが解っており、デスラーがデスラー砲の引き金を引く際にその覚悟をしたのは確かだ。そこに秘められたスターシァへの思い、そして自分が「全宇宙の平和と安定」という目標を達せられなかった悔しさ…全てが思い半ばでその道が断ち切られてしまったデスラーの思いというものがよく描かれている。
 そしてその思いは、これは第二バレラスの爆発でガミラスを追われたときから彼の中にあった「ヤマトへの恨み」を増幅するには充分過ぎると言って良いはずだ。デスラーの挫折を描いた上で、「まだ死んでない」ということを画面上で示唆しておいて、彼が「生きていれば」旧作同様のヤマト地球帰還直前で最期の反撃という展開にも説得力があるように作ってある。
 またこのシーン、敗北への道を突き進むデウスーラとは対照的に、ヤマトがとてもカッコ良く描かれている点も見逃してはならない。特にヤマトが主砲塔から炎と煙を上げて砲弾をぶっ放すシーンは、太平洋戦争を題材にした戦争映画を見ているようでもあった。このように「勝者」と「敗者」を明確に印象的に描いたという点でも、このシーンは印象的だ。
感想  えーっ!? 最終回にあれやるのー? 私が旧作で最も嫌いなあのシーン、描き換えてくれないのー?

 なんか最終回の展開が見えてきたぞ。意識不明の重体の雪、これを心配する古代、そして太陽系に戻り地球到着で安堵する乗組員達、病状が悪化する沖田…。そんな所にデスラーが最期の急襲を掛けてくるんでしょ、デスラー生きてるって、絶対に(名場面欄参照)。それを真田が「こんなこともあろうかと」で回避して(デスラー砲が失われたのは確かだから、空間磁力メッキの登場はないと断定して良いだろう)、そしたら雪が死んじゃって、同時に沖田があの名台詞を語りながら死んだら雪が生き返るって…もうこれしか思い浮かばない。死んだ雪が生き返るのは旧作最大の汚点だから描き直して欲しいけど、この路線ではそれは避けられそうにないな…もしあのまんまやったら最後の最後に幻滅するぞー、26話全部見てきたことを後悔するぞー。ま、まだ「違う展開」に望みを賭けられるけど。

 今話は前半はバラン星でのゲール残存艦隊との戦い、後半はデスラーとヤマトの戦いという展開で割れた。ゲール残存艦隊との戦いでは名台詞欄のようにフラーケンが登場し、ヤマトは救われる。フラーケンって敵としてみると嫌な奴だけど、敵でなくなると面白い奴だなと感じた。これは副長のハイニもそうだ。この前半の戦いに至るまでに、色々と物語に「仕掛け」を入れたのは面白かった。特に遭難したセレステラをヤマトが救助し、これがセレステラとデスラーの再会へと繋がるという展開は予想外で面白かった。そしてセレステラがデスラーと再会したその日こそ、セレステラが絶望の中で生命を落とす日だという描かれ方は恐れ入った。
 後半のデスラーとの戦いは、9話でのオルタの存在を伏線として上手く活用して切り抜ける。まさかガミラスはヤマトがガミロイドを捕獲し、研究していたなんて考えていなかっただろうから不意を突かれた形だ。またセレステラやデスラーが「雪と会うこと」が初めてでなく、既に見抜いていたという前提をうまくシーンに盛り込んだ。今回は細かいところがうまく考えられていて、見ていて面白かった1話でもあり、名場面シーンはどれを取り上げるか少し悩んだ。
 さらにもう一つ、藪の生存が確認されたのも驚いた。藪は惑星レプタポーダでの収容所反乱に巻き込まれ、ヤマトに戻ることが出来なかったことが描かれた。だが今話ではなんとその後フラーケンに拾われて、「UX−01」に乗り組んでいる事が判明した。「UX−01」乗組員達は藪がテロン人ではなくザルツ人だと勘違いしているようであったが、乗組員達には信頼されている模様。フラーケンの元で働く藪の活き活きとした顔を見ていると、様々ななストーリーを思い付く。自分の得意な仕事が出来る喜び、それによって多くの人に信頼される喜び、これはヤマトでは彼が得られなかったものであり、彼は結果的にはヤマトを追われて正解だったのかも知れない。
 いよいよ次回は最終回、私にとって不満な内容でも一応考察は書くと思いますけどね。再度言うけど、死んだ雪が生き返る旧作最大の汚点をそのまま再現するのはやめて欲しい。
研究 ・その後のガミラス
 ヤマトによって危機を救われ、デスラーの暴走から守られたガミラス。その後何が起きて今話の展開に繋がったか、ここで考察したい。
 ガミラス帝国では前々話終了時点で、「デスラー総統死去」と判断したのだろう。それは前話のヒスの発言からうかがい知ることが出来る。だから副総統のヒスを中心に、暫定政府という形で統治を始めたと考えられる。この時点では親衛隊は長官が死去しており、その艦隊もヤマトとの戦いでほとんど失われたため、親衛隊は力を失ったことだろう。
 また艦隊司令のディッツの行方は問題になったはずだ。ディッツはレプタポーダで反乱を起こしており、このままガミラスに戻れば反逆者として捕らえられるのは確実なため姿を眩ませていたと考える事はできる。だがヤマトによりデスラーが死去したと聞いてガミラスに至急戻り、艦隊の指揮を取ることになったと考えるべきだ。ディッツにより残存艦隊に召還命令が出たことは劇中でも描かれ、フラーケンがこの召還命令に従わない艦の討伐に出た事も明らかになっている。
 この混乱に乗じて、セレステラはデスラーを追ってガミラスを離れる。恐らく彼女は、第二バレラスが沈んでもデウスーラで脱出可能であることは知っていたと思うし、そのためにデスラーが死んでいない可能性があると判断していたはずだ。だがディッツの目を盗んで大型艦を出すのは困難で、やむなく自分の指揮下(つまり情報省保有艦)に乗ってデスラーを追ったということだろう。デスラーの性格からすれば、生きていればヤマトを追う事は目に見えているので、テロンに帰るヤマトの予想進路を先回りしてデスラーを追っていたら遭難し、ヤマトに救われたと解釈するべきだ。
 そして何よりもヤマトの脅威として残っていたゲール艦隊である。ゲール艦隊もディッツの召還命令を受信したはずである。だがここでこの艦隊では大きな「迷い」が生じたと考えるべきだ。彼らは一度は「デスラー死去」という報せに接し、それが誤報だったという事実を経験している。そこへ再度「デスラーが死んだから戻ってこい」と言われても信用出来ないのが筋ってもんだろう(だが彼らはディッツが反逆罪で収容所送りになったのは知らないはずだ)。司令官ゲールはその「デスラー死去」の報せを受け入れず、艦隊にヤマトとの徹底抗戦を訴えたに違いない。だが多くの艦は「取りあえずガミラスに戻って真実を確かめる」と判断し、ゲールの命を破ってガミラスを目指したのだと考えられる。結果、自分の意志を貫けない小物が艦長の艦、ゲールに弱みを握られた艦長の艦、ゲールと同様に「デスラー死去」を信じない艦長の艦がゲールと共に「テロンに戻るヤマトの予想進路」を目指したのだと考えられる。そこでヤマトに一矢報いるべく同じように先回りしていたデスラーと合流、劇中のゲール再登場シーンになると解釈すべきだ。
 結果、ガミラスはガミラス本星派とデスラー派に二分されてしまった。だがデスラー派は数が少なく、「帝国」を名乗れる状況でない。だが戦力は波動砲(デスラー砲)を装備しているデウスーラ率いるデスラー派の方が優勢だ。デスラーはヤマトなんか追わず、すぐにガミラスに引き返してデスラー砲をガミラス星に突き付け、元の政治体制に戻すようヒスに迫るべきだったと思うけどなー。

第26話「青い星の記憶」
名台詞 「地球か…何もかもみな懐かしい…。」
(沖田)
名台詞度
★★★★★
 いよいよ地球が眼前に迫るところまで帰ってきたヤマト。艦橋など艦内の外が見える場所では乗組員達が帰還を喜んでいたが、艦長室では容態が悪化している沖田を佐渡が見守っていた。沖田が「わしをしばらく一人にしてはくれまいか」と語ると、佐渡は頷いて沖田の「ありがとう」の言葉を背に泣きながら部屋を出て行く。一人になった沖田は戦争で失った家族の写真を指でなで、続いて眼前の地球を見ると涙を流して独りこう呟く。そしてそのまま息絶える。
 旧作の考察でもこの台詞はな台詞欄として挙げたが、やはり本作でも最終回ではこの台詞が最も印象的だ。様々な苦難を乗り越えて戻って来た安堵、同時にここまでよく持ったという思い、そして地球やイスカンダルへの往復の苦難が全て過去のものとなったという事実。旧作でもそうだったが本作でもこれをうまく語り上げ、最終回に無くてはならない台詞となったとは言うまでも無い。やはり日本のアニメ史上有数の名台詞であることは間違いないだろう。
 このシーンは、旧作と全く同じ流れであった。沖田が息絶えると佐渡が部屋に入ってきて、何が起きたかを察して敬礼するところも同じである。でもここは是非とも佐渡先生には、脈を取って瞳孔をチェックするという診察をして欲しかったなー。
 やはりこのような感動的な台詞と場面で息絶えた沖田を、続編で簡単に生き返らせることはさせないで欲しい。本作でも続編の制作が示唆されたが、そこは制作側に上手くやって欲しいなー。出来れば旧作でいうところの「さらば」だけにして欲しい。
(次点)「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない…か。(以下略)」(真田)
…この最終回、もうひとつ印象に残ったのは真田のこの台詞。真田がコスモリバースのシステムの中核が古代 守だという推論を語ると、薫が恥を忍んで守の幽霊を見たと告白する。これに真田はこう語った後に、イスカンダルでは何らかの方法で死んだばかりの人間の記憶を保存する方法があるとする。この台詞からは「科学力の違い」というものを科学力が低い側からみればどう感じるか、うまくまとめてあると思う。江戸時代の人間が今のパソコンを見れば魔法や妖術だと思うのと同じように、真田が「未知の科学」に出会いこれをどう感じたかがうまく語られた。
名場面 ラストシーン 名場面度
★★★★★
 本作のラストシーンは、蘇生した雪を抱いた古代が艦橋に現れるところから始まる。生きている雪を見て大袈裟に驚く相原、「あるんだな、こういうの…」と呟く島、「お帰りなさい」と抱き付く百合亜。玲が筆頭に雪の完治を祝うと、エンディングテーマが流れ始める。暗い表情の佐渡が入ってきて、生きている雪を見て感涙。艦橋だけでなく窓という窓から、乗組員達が地球を眺めているシーンが挟まる。そしてヤマトが赤い地球の夜の側にエンジンの灯りを残して消えると、画面に「西暦2199年12月8日 宇宙戦艦ヤマト 地球に帰還」と明朝体のテロップが現れる。この文字が消えると劇場版「銀河鉄道999」のような宇宙から見た地球の夜明けシーンとなり、夜明けに照らされた地球がこれまで劇中に描かれた赤い地球ではなく、元の青い地球に戻っていることがわかる。そのまま地球全体の像となるとエンディングテーマが終わり、本作は静に幕を閉じる。
 やっぱり「青い地球を取り戻す」…ヤマトのイスカンダルストーリーはこれで終わってこそ大団円であると感じる(もちろん旧作考察でも本シーンを名場面として挙げている)。だが、ここでも細かいが旧作より説得力のあるシーンに描き直された。旧作では短時間のうちに赤い地球が見る見る青くなるという風に描かれたが、本作では画面を一度切る。切っている間にヤマト無事帰還を字幕で報せ、「時間」を演出してから青い地球が画面に出てくるということになった。
 あとは細かくいう必要は無いだろう。これはもう一度書くが、ヤマトのイスカンダルストーリーに無くてはならない名シーンで、これがあって本当に良かった。
感想  いやーっ、一時はどうなるかと思った。雪の死とその「生き返り」についてどのような展開をするか…。特にCM直前で雪が死んだ時が最も不安であったが、うまくこれまでの展開との整合させれば解釈が可能な方法に持っていったと思う。序盤から守の幽霊騒動とか、どんな非科学的なことが起こるかと思って見ていたが…この辺りの詳細は研究欄に書こう。
 最終回、てっきりデスラーが最後の仕返しに現れるかと期待していたらそうではなく、平和的なストーリーで大団円となったのは正直予想外だった。だが「コスモリバースシステム」に関する「オチ」をつけつつも意識不明の重体となった雪の事を考えれば、これで1話という贅沢な作りもありだということも想像は出来た。前話で脱出したデスラーによるヤマトへの仕返しは、来年劇場で公開される続編に回すことにして、地球帰還の安堵とこれを目前に恋人が瀕死の重傷という古代の心情を上手く描き出したと思う。
 だけどサブちゃん、あの戦いの中でもやることやってんだなー…加藤と真琴が恋人同士になるというオチは読めていたが、まさか艦内での「できちゃった婚」とはねー。いやー、旧作で確立していた加藤のキャラクターが音を立てて崩れたよ。でもこういう「予想外」は嫌いではない。むしろ今回は「恋人が死にかかっている(死んでしまった)古代の心情」を描き出すためにどうしても必要な要素だったはずだ。艦内で恋人同士というと他に星名と百合亜があるが、彼らはまだ若いから「あんなことやこんなこと」があったにしてもそこそこ気を付けているだろう(何を?)。星名じゃ古代との関係も薄く、古代がその婚礼を心から喜ぶ相手でもないし…加藤だからこそ、序盤での諍いやその後の関係を考慮すると、二人の信頼関係が成り立っていて古代が婚礼を喜ぶという展開に無理が無いのだ。
 またささやかながら、相原の設定が変わっていない事もちゃんと見落とさずに語っておきたい。旧作の相原はドメルによる厭戦作戦に引っかかり、これで地球では状況が悪化していて父の死を知ることになるが、本作では地球との通信復活でこれを知るという展開となった。相原の父が死因までは触れられていないが彼の不安が煽られるという事実は動いていない。恐らく、地球との通信が本格的に復旧した後で、生還乗組員や戦死者の情報がヤマトから地球に送られると共に、地球からは乗組員の家族の安否についての情報を送ったのだろう。雪は「負傷者」として重体者として通知され、藪は「行方不明者」の扱いであろう(被弾時に外へ吸い出された乗組員も同じ扱いと思われる)。伊東はユリーシャが戦死を報告しているだろうなぁ。
 そうそう、それで思い出したけど、野原ひろし榎本掌帆長はどうやら生き残っていたらしい。前話のあの状況から上手く逃げ出したんだな−、ガミロイドに「くつ下のにおい攻撃」って効くんだろうか?

 いずれにしろ、半年にわたる本作のリアルタイム考察にお付き合い下さり、ありがとうございました。皆さん視聴お疲れ様〜、無事にヤマトは地球に戻りました。本考察ではこれに「概要」「総評」「追加考察」をつけますので、もうしばらくのお付き合いをお願いいたします。
研究 ・コスモリバースとキャラの生死について
 今話は「コスモリバース」システムの謎に迫っている。そしてこのシステムを軸にして守の存在、雪の死と蘇生、沖田の死というストーリーが描かれる。最後はその解釈を考えてみたい。
 24話でユリーシャが「コスモリバース」に必要なものとして、「星のエレメント」が必要だと訴えていた。これはユリーシャの解説によると、生命を宿した星には物質と生命の進化の記憶が時空を越えた波動として存在するとしている。これが「星のエレメント」であり、これがないと「コスモリバース」は作れないとしている。
 つまり「コスモリバース」というのは、宇宙空間にある特定の物質などを一定時間巻き戻すシステムなのだろう。それが惑星であれば、その星の生命が持つ進化の記録が必要なのだろう。要はそれらの生命体を構成する物質が発する波動による情報を頼りに、地球をガミラス侵略前の状態に戻そうというのが今回のイスカンダルの提案なのだ。本当はヤマトに乗ってきた誰かを「生け贄」にしなければならなかったのだろうけど、事前にイスカンダルで古代 守が遭難死した事からその「記憶」を採取することができ、地球を元に戻す「コスモリバース」が完成したと見るべきだ。
 ここでユリーシャが地球に来た1年前に話を巻き戻そう。ユリーシャは地球に来るに辺り、誰を「コスモリバース」にするための生け贄にするかも選定していたと考えられる。それでユリーシャは雪を選んだのだろう。ユリーシャは自分と雪が乗る自動車に仕掛けをして事故を起こさせ、雪を瀕死の重傷にして、様々な理由をつけて雪から「星のエレメント」を採取しヤマトに乗って持ち帰ろうとしたのだと思う。だが事故の時に雪がユリーシャを庇うなどして、ユリーシャの思惑とは違う方向へ行ってしまったというのが真相なのだろう。
 ユリーシャは地球に波動エンジンの図面だけでなく、自分に万一のことがあったときに備えて小さなコスモリバースを用意していたのだろう。地球に来たときに自分が死にかかっているときはこの中に自分を入れれば自分の記憶を読み出して艦をイスカンダルへ導いてくれるという話をトップシークレットでしていたに違いない。真田は少し曲がった形でこれを知っていたと考えるべきだ。恐らく、本来はこれに雪の「星のエレメント」を入れて帰るはずが、ユリーシャは自身が入ることになったのだろう。これによりユリーシャは幽体離脱して艦内を彷徨い、百合亜に憑依。そして雪がイスカンダル到達困難なトラブルに巻き込まれたときに、コスモリバースが発動してユリーシャの身体の時間が巻き戻され、ユリーシャが生き返った…私は24話以降、ユリーシャについてこう解釈している。そしてこの解釈が本話を見ていて間違いないと感じたのだ。これにもう一つ付け加えると、イスカンダルがヤマトをコスモリバースに改装した際、艦長室も改造した可能性だ。
 今話の展開はこうだ。スターシァは守の死と同時に彼が持つ「星のエレメント」を採取し、これをヤマトのコスモリバースに搭載した。これでヤマト乗組員から「生け贄」を出さずに済むのである。そしてスターシァは沖田の先が長くないと判断し、艦長室に沖田の死後に「星のエレメント」を採取してヤマトのコスモリバースに送り込めるシステムをバックアップとして取り付けたのだと考えられる。これは本話前半の沖田の台詞からして、沖田は了承していると取れる。
 なぜバックアップが必要か、それはスターシァが守の性格をよく知っていたからだろう。守のことだ、ヤマトがピンチになれば自分の判断でコスモリバースを作動させてヤマトを救うに違いない。その場合には沖田に「星のエレメント」になってもらう必要があったのだ。
 この解釈で全てが繋がるだろう。雪が「生き返ったシーン」では既に雪が眠っていたカプセルは開いていた、つまり守のコスモリバースによる雪の蘇生は既に終わっていて話を解りやすくするために時系列を入れ替えて演出したと考えるべきだ。恋人を失って生きる活力を無くした弟を見た兄は、沖田によるバックアップの存在を理解して上で自分の「星のエレメント」を使って雪の身体の時間を巻き戻したのだ。
 そしてこの解釈なら、沖田の死と同時にコスモリバースが再起動した事についても合点が合う。こう解釈することで旧作で最大の不満点である「雪の生き返り」は「異星人の科学力」を理由に解決するのだ。こうしてしまえばイスカンダル人は不老不死に見えるが、あくまでもイスカンダル人が自分で「星のエレメント」を使いリバースして生き返れるのは、生き返るに耐える自分暢気が等がある場合のみだ。
 ただし守はもちろん、守に代わりコスモリバースとなった沖田も地球をよみがえられると「星のエレメント」を使い切ってしまうので完全に死んでしまうこととなる。だから続編で「沖田の蘇生」を描くことはどんな理由をしても許せないという厳しい状況になった。この解釈だと「佐渡の誤診」という言い訳は通用しないからだ。
 なんかこういう解釈をしていたら、だんだんヤマトがヤマトでなくてアルカディア号に見えてきた。続編ではヤマトのメインコンピュータが沖田の声でしゃべり出すんじゃ…そうなったらズッこけるぞ。

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