第24話「遙かなる約束の地」 |
名台詞 |
「やっぱりいいなぁ。艦は海の上が一番だ。」
(島) |
名台詞度
★★★ |
激しく同意。
そうそう、フネは海の上にあるからフネなのであって、宇宙を飛んだら宇宙船になってしまうわけで。そしたらそれを操縦する人達は「船乗り」じゃなくて「宇宙飛行士」になってしまうんだな。
今話は印象的な台詞が多く名台詞欄にどれを挙げるかで凄く悩んだが、やはり乗り物ヲタの私としてはこの島の何気ない一言が一番印象的だった。本作では「自称 船乗り」の島が船乗りらしい台詞を吐いて本当に船乗りになったってところだろう。
同時に序盤と終盤で見られたヤマトの海上航行は旧作以上にカッコ良かった。急旋回時に艦隊が外側に傾かなかったという大きな欠点はあったが、ヤマトを「フネ」として描いた迫力は十分だった。イスカンダル出港時に艦橋で真田が「バウスラスター始動、右旋回180度」なんて指示を出し、島がこれを復唱してレバーを動かすとヤマトが回頭する…そんなシーンを想像出来てしまうほどの迫力。絶対に作画に「フネ好き」の人が加わっていたに違いない(艦隊が傾かないのは作画の限界だったということで)。 |
(次点)「ヤマトの諸君、艦長沖田だ。我々は遂にイスカンダルへ来た。見たまえ、今諸君の目の前にイスカンダルがある。この機会に艦長として一言だけ諸君に申し上げたい。ありがとう、以上だ。」(沖田)
…長い旅路の末にやっとイスカンダルに到達した喜び、これが見事に表現された台詞だと思う。同時にそれまで地球のために生命を賭して戦った皆に対し、沖田の感謝の言葉が発せられる。涙が出そうな感動的な台詞だ。ちなみにこの台詞は旧作と全く同じ、旧作の24話考察でも同じ台詞を名台詞欄次点として取り上げている。 |
名場面 |
守のメッセージ |
名場面度
★★★★ |
「私は国連宇宙軍所属駆逐艦ゆきかぜ艦長、古代守だ。私はガミラスの捕虜となり、実験サンプルとして護送される途中、難破したところをイスカンダルの女性に助けられた。そして、地球の艦がここへ向かっていることを彼女から聞いた。このメッセージが届いていると言うことは、君たちは無事にたどり着いたということだ。出来る事なら、俺も君たちの艦で一緒に地球へ帰りたい。だが、それまで俺の身体は持ちそうにない。最期に言い残しておきたいことはふたつ。ひとつは俺たちは異星人とだって理解し合えるということだ。俺はそれをこの星に来て教えられた。それは忘れないで欲しい。そしてもうひとつは、弟の進に伝えて欲しい。進、俺の分まで生きてくれ。生きて必ず、青い姿を取り戻した地球を瞳に焼き付けてくれ。貴艦の航海の安全を祈る。どうか地球へ無事な帰還を…」
スターシアからコスモリバース譲渡の正式な申し入れの後、古代だけがスターシアに連れられてイスカンダルの霊園に案内される。そこにあったのは古代の兄、守の名が刻まれた墓だった。古代はスターシアから守救出の経緯を聞かされ、そしてメッセージを受け取る。そのメッセージには上記のように録音されており、これを全艦内放送でヤマト乗組員が聞いているシーンを今回は名場面としたい。
このシーンでは艦橋のメインスタッフだけでなく、食堂や機関室や航空隊の控え室など艦内の至る所で名もあるキャラクターもそうでないキャラクターも、みな同じ表情で聞いていることである。その表情は「神妙な表情」と言えばいいだろうか? ただ玲は兄の形見を握りしめ、そして百合亜は表情を見せずに黙祷している様子だ。この中に地球人ではないユリーシャやメルダも加わっている。
その彼らを描くことは目的地であったこの地に先人がいて、その先人が思い半ばで倒れた事実に、皆が痛烈に心を痛めていることだ。このシーンを通じて再び描かれたのは、ヤマトの目的地到着という喜びの前に多くの「悲しみ」があり、ヤマトがここにいる理由がその「悲しみ」を希望に変えるためだという事実だ。希望の地に着いた喜びの中に秘めた悲しみ、出発前には戦争で愛する人を喪い、出発後にも戦友達を失った彼らは、その失った者を守に見立てているのかも知れない。いや、守の声自身がその失った者の声に聞こえているのかも知れない。そんな状況を上手く描いたと思う。
このシーンは、ここまでヤマト乗組員側では「目的地に着いた安堵」「目的を達せられた喜び」を中心に描き、どちらかというと明るい展開だっただけに、その裏側に秘めた思いという暗い部分を描き出したという意味でとても印象的だった。これも旧作にはない要素でかつ、旧作でも裏にあった事実であることは言うまでも無い。 |
感想 |
もう、なんてーか旧作同様にイスカンダルの話はイスカンダルの話で1話に全部押し込んできた。まぁ旧作に描かれた「イスカンダルでのヤマト乗組員の反乱」が描かれないことは16話の時点で確定していたから、新しい要素を入れても1話にまとめられるのは確かだ。イスカンダルではコスモリバース(コスモクリーナー)を受け取る話に、スターシアと守の間に芽生えた「愛」を通じて「異星人同士もわかり合える」というテーマが描ければいいのだから、2話にまたがる必要は無いな。
その新しい要素とは、ひとつは「目の保養」。本作のヤマトにはあれだけの女性乗組員がいるんだ、視聴者サービスのひとつふたつあってもいいだろう。ヤマト乗組員に水着の用意(戦時中だというのに派手な事も含め)があったことを疑問に感じてはならない、特に「連絡将校」のメルダまで水着を持参していたことがおかしいと突っ込んではいけない。だって、視聴者サービスなのだから。玲・篠原・メルダがカタパルトから海に飛び込んでいたが、このシーンから計算すると彼らが飛び込んだ高さ(喫水線からカタパルト)が80メートルもあり、着水時には127km/hになっている筈だなんて突っ込んでもいけない。視聴者サービスなのだから。「胸がちっちゃいのからでかいのまで揃っていたけど、お尻の形が良いのがいなかったなぁ」というのは、「おしり星人」を自認する私の感想だ。
別の意味の視聴者サービスとして、第三艦橋でこの「視聴者サービス」シーンを見ていて榎本掌帆長の役どころが、野原ひろしまんまで大笑い出来たこと。これも同じ声優さんで遊んだんだろうなぁ。しかし海水浴に興じた男性乗組員で、名前があるキャラは篠原と星名だけとは…。
それにしても「原田衛生士意見具申」って真琴が言ったとき、「原田なんて乗組員いたっけ?」と一瞬考えてしまったじゃないか。真琴の苗字忘れてた。
「視聴者サービス」の解説が長すぎた。もう一つはヤマトがイスカンダルに着けば確実にコスモクリーナーを譲受出来るのでなく、そこでスターシアにより「審判」が待っていたことだ。これまでも劇中で語られたとおり「波動エネルギーょを武器として使用する」ことは、イスカンダルでは御法度であった。この掟を破ったヤマトはコスモリバースを受け取れないという展開もあり得るように上手く改変したのである。結局はコスモリバースをもらえることになるのだが、ここに前話で「波動砲がガミラスの民を救った」という展開と、守の存在を絡めてうまく解決したと思う。
守については、旧作から「ガミラスの捕虜となりイスカンダルにたどり着いていた」という設定は引き継いだが、残念ながらヤマト到着を待たずに死去したという設定にされた。スターシアは守だけでなく一緒に遭難した地球人やガミラス人を手厚く葬ってくれたのは確かだろう。ただ遭難後にしばらく生きていた守がスターシアと恋仲に落ちたのも確かだろう。スターシアが妊娠していることを示唆するシーンも最後にワンカットあり、守とスターシアであんなことやこんなことがあったと考えるべきだ。地球人とイスカンダル人でそれができるかどうかはおいて置いて。
さらにコスモリバースがなんでイスカンダルまで取りに行かないのならなかったのか、「試す」以外の要素での回答もでている。波動エネルギーを武器に使う事をイスカンダル人が嫌悪する理由もハッキリした。色んな謎が一気に解けたなぁ。
この期に及んであと2話、うち1話では帰路でのガミラスとの戦いがあるのは明確だ。バランに取り残されたガミラス艦隊の存在もあるし、デスラーが死んでいるはずはない。デスラーと艦隊が合流して最後の一台艦隊戦が描かれる可能性は高い。そこでヤマトは波動砲をスターシアによって塞がれたのだから、これまでの戦いとは同じ展開にならないのも明確だ。さぁ、次話はいよいよ空間波動メッキの出番か? |
研究 |
・イスカンダル
「イスカンダル星、表面の約80パーセントが海に覆われた、地球型の惑星です」
「本艦はこれより、イスカンダルからの誘導に従って着陸します。地表は気温27℃、気圧1023HPa、風力2南の風、海上はうねりもなく穏やかな晴天です」
前者がイスカンダル星を認識した際に太田による説明、後者はイスカンダル星降下時の雪による気象概況である。これらふたつの台詞はイスカンダルという星が地球によく似た環境であることを上手く示唆している。特に気圧の情報が「HPa」単位で語られる点は、地球人がそこに降り立っても困らないことを上手く示唆している。出来れば大気の情報なんかも欲しかったが、劇中で海水浴中のヤマト乗組員らが呼吸に困らなかったことを考えれば地球大気に近いのだろう。また重力も彼らが行動に困らなかったことを見ると、地球とほぼ同程度であると考えられる。まぁ、篠原の飛び込みシーンを考えると地球の半分程度であって欲しいのだが…(感想欄の計算はイスカンダルと地球の重力は同じで、篠原の体重を75kgとして計算した)。
旧作と同様に女王一族以外の人口はゼロだ。かつては強大な科学力によって大マゼラン銀河を支配し、自らの科学力を制御出来ずに人口の大半が滅んだという歴史も旧作を引き継いでいる。だがひとつ違うのは、イスカンダルも波動砲を完成させておりこれを侵略兵器で使った過去があることだ。以来イスカンダルは反省し、イスカンダルに代わってガミラスが大マゼラン銀河を恐怖政治で支配するようになると、「救済」の道を歩むようになるのだ。ちなみに波動エンジンはイスカンダルで開発され、これがガミラスに渡ったという私の19話研究欄での推測は当たっていたことになる。波動エンジンがイスカンダルからガミラスに渡った時点で、波動砲の技術供与中止は既に既定路線だったのだろう。
イスカンダル星人はほとんど死滅しているので文化などは想像に頼るしかないが、劇中でハッキリしていることはイスカンダル人も地球人のように「花を愛でる」という習慣があること、同時に花から連想するものを「花言葉」として言い伝える風習もあることだ。恐らくこの風習はガミラス人にもあると考えられる(ガミラス人には、祝いに花をプレゼントしたり、死者に花を手向ける風習があることがハッキリしているので、同じように花を愛でる習慣もあるはずだ)。
これも旧作を引き継いでいるが、肉体的にも遺伝子的にもイスカンダル人と地球人は交配して子孫を残すことが可能だ。もちろん感想欄にも描いたようにあんなことやこんなことも可能だし、その結果として受精するというシステムも同じなのだろう。物語を見ていると、これはガミラス人も同じではないかと思われる。ザルツ人やオルタリア人もそうだろうし、何星かは解らないがセレステラの故郷の星の人種もそうだろう。物語を見ているとデスラーとセレステラは愛人関係で、性交渉があったと見るのは自然だからだ。
さて、問題はイスカンダルの未来である。人口2名、うち一人はガミラスへ渡り人々を指導すると決断している(メルダはその補佐として行動を共にするのだろう)。残った一人でどうするのだろう? ただ感想欄にも書いたように、スターシァ妊娠を示唆するシーンがあったために子孫は残ると考えられる。それも一人じゃなー。どうせスターシアの子供は地球人とのハーフなんだから、地球人を入植させれば…と思うのは勝手な話だろうか? |