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・総評
 本作では旧作「宇宙戦艦ヤマト」のストーリーを再度設定から見直し、旧作における矛盾点の解消や疑問点への回答、物語の流れの再構築、そしてこれらの再設定に必要な新登場人物を加えて新しい「宇宙戦艦ヤマト」のイスカンダルストーリーを作った。そして私が見る限り、これらの試みは上手く行った方が多いというのが正直な感想だ。

・物語
 まずストーリー展開を旧作と比較してみるが、序盤の太陽系脱出までのストーリーに10話も掛けて冗長だった旧作の欠点を改め、この部分では旧作ストーリーをなぞりつつも2話短縮している。特にワープや波動砲の初登場を1話にまとるだけでなく、波動砲についてはひとつの伏線を用意して中盤や終盤での物語で謎が解けて行くようにしたのも面白い。この浮いた分を使ってのちのエピソードを強化した点が、旧作と比較した場合の本作の特長と言って良いだろう。
 旧作での目玉だった「戦艦大和の最期」シーン等が削られてしまったのは残念であるが、地球上でキャラクターが一人ずつ出てきたり、発進前にヤマトの中身を紹介したりというストーリーは出発後に回されたのは話を効率的に進める手段の1つであったことは否めない。この辺りの改変は多少忙しさを感じることにもなるが、今後の展開を考えればやむを得ない。

 中盤のストーリーも旧作で不自然なものは容赦なく切り捨て、新しいストーリーを中心に展開している。旧作11話の「デスラー機雷」のストーリーは「デスラー魚雷」に変わると同時に、旧作12話の展開を流用した上でシュルツ戦死のエピソードとまとめられて8話に移動。旧作13話はガミラス捕虜を女性パイロットであるメルダに変更し、捕獲するきっかけやその前後のストーリーを一新して10話に移動。旧作14〜15話はカット。旧作16話は設定を大幅に変更するとともに、旧作25話の一部乗組員反乱エピソードを組み込んでそのまま16話となる。旧作17話もカット。旧作18話は宇宙要塞をワープゲートシステムに変更し、薫の存在などの新設定を交えて17話に移動。旧作19話はリレー衛星による通信回復ではなく、ガミラス側の精神攻撃と設定が変更されて14話に移動。旧作20話はデスラー暗殺やガミラス側の新キャラによる新しい展開となって、18話に移動。こうして4話分、序盤で浮いた2話分を合わせて6話分を捻出して中盤や終盤に完全オリジナルのストーリーを入れて物語を強化している。ここに地球とガミラスの戦いでは地球側が戦端を開いたというエピソードや、フラーケンとの戦いやドメル艦隊との戦いなど魅力的なストーリーを生んでいる。

 旧作では21話から「七色星団の戦い」以降の終盤展開となるが、本作では19話からと終盤展開に入るのが2話早められた。「七色星団の戦い」のエピソードはその準備と戦いで1話ずつと旧作を踏襲、全体的な流れも旧作を踏襲したが、この戦いのドサクサで雪がガミラス側に拉致されるという新しい伏線が張られたのは面白かった。またドリルミサイルやドメル艦隊による総攻撃といった不自然な点にも、説得力のある理由をつけた上で踏襲。ドメル自爆時にはヤマト側に理由を設定して「ヤマトが沈むほどの損傷を受けなかった」ことに理由をつけた。その上で旧作の雰囲気を壊していないのだから面白い。
 「七色星団の戦い」と「ガミラス本星での戦い」の間にも1話入れ、ここではヤマトとガミラスの接触が上手く描かれた。「ガミラス本星での戦い」も旧作同様に準備と戦い本編で1話ずつという構成を踏襲しつつも、戦いの内容はヤマトがガミラスを虐殺しないよう大幅に変えられた。同時に拉致された雪を助ける過程を描き、この辺りはまるで別作のような流れだったといってもいい。
 そしてイスカンダル到着で1話は変わらないが、ここで描かれたのは「助ける側の苦悩」であった。

 最後は旧作では「大団円」と「デスラー最後の反抗」は最終話1話にまとめられていたが、本作ではここを2つに分けた。これによりデスラーの内心をさらけ出しただけでなく、旧作では迫ることの無かった「コスモリバース」の謎に迫る内容であった。同時に雪の生き返りや沖田の死にこのコスモリバースを絡ませることで、こちらも旧作のあり得ない展開に理由を上手くつけたと思う。
 同時にこの終盤の改変は、旧作の「駆け足感」の強かった点を改め、物語の「窮屈感」を感じなくなったことも大きく評価出来よう。

・設定面
 本作では旧作の設定面も見直し、展開が自然に回るようにしたのも大きい。なお登場人物については次の章で述べることにする。

 地球側もガミラス側も、国家や軍という「組織」という面の再設定をしている。旧作ではヤマト乗組員以外の地球連邦軍の組織はハッキリせず、続編シリーズで軍の偉い人が後付けで次から次へと出てくるといった「後から人気が出てきたからやむなく後付け設定した」という点が大きかった。本作では「地球連邦軍」は地球国家の連合体である国連の下部組織とされ、「国連宇宙軍」という設定となった。同時に「さらば」以降で出てきた地球連邦軍将校も積極的に出演させ、各々がイスカンダルミッション時にどのような立場にいたかも明確にされている。また旧作でのヤマトが「地球脱出のための艦だった」という設定も活かされ、ここから「ヤマト3」のような「第二の地球探査計画」が設定されてヤマトのイスカンダル往復とどちらを取るかで派閥争いしていたという設定は、中盤での物語を大いに盛り上げた点だろう。

 ガミラス側についても大きく設定変更された。旧作ではデスラー総統を頂点とする国家体制が示唆されたのみで、その下部組織と軍の将校以外は全く設定されていなかったと言っても過言では無い。政治面ではせいぜいヒスがいた程度だ。ここにメスを入れて国家の体制を明確化し、国家の大臣クラスや軍高官についてキチンと設定した。また旧作では名前だけだった親衛隊の存在は大きくされ、彼らはガミラスの恐怖支配していて国家のトップクラスにも疎ましがられているという設定でガミラス側も「一枚岩ではない」という内容となった。このガミラスの体制は特に終盤での物語を大いに盛り上げることになる。
 またガミラスではもう一つ大きな設定変更があった。これが純粋なガミラス人である一等ガミラスと、植民惑星出身者による二等ガミラスという人種差別の存在である。これにより本作では「ガミラス人は例外なく青い肌を持つ」としつつも、シュルツやガンツを「植民惑星人」としたことで黄色い肌を持つ理由付けが上手く成された。この人種差別精度の存在はガミラス側の物語の奥行きを広げる事に成功し、物語の途中で描かれた植民惑星の反乱、ガミラスの収容所、雪を拉致した特殊部隊、植民惑星人から大臣クラスに上り詰めたセレステラなど、旧作にはなかった新たな物語を生むことに成功している。

 ヤマトについても大きく変更された。第二次大戦で沈んだ大日本帝国海軍戦艦大和の残骸をくりぬいて作ったという設定は捨て、大昔の沈んだ戦艦に偽装して作られたという設定は、「ロマン」は削がれたとしても現在では自然な設定と言わざるを得ない。史実の戦艦大和が真っ二つに分かれて沈んでいる事実が判明した現在では、旧作のヤマトの作り方は不可能だからだ。またヤマトのサイズや乗員数も変更され、特にサイズが一回り大きく描かれるようになったことで艦内のスペース配置に疑問が生じなくなったのは間違いない事実だ。さらに波動砲は地球独自で開発されたものでそれはかつてイスカンダルも作っていたことも設定され、これはコスモリバースを受け取れるかどうかという重大な設定にも繋がる。最終盤ではヤマトそのものにコスモリバースが設置され、波動砲が塞がれるなどの改装もされる事になり旧作を知る者は驚かされた。

 ヤマトの旅程も変わっている。イスカンダルまでの距離は、現在の観測で新たに解った大マゼラン銀河までの距離に変えられたので2万光年ばかり遠くなっている。それだけではなく旧作では銀河系外縁からすぐに大マゼラン銀河に到達してしまい旅程が歪になった点を、「亜空間ゲート」の存在を設定することで解決した点は恐れ入った。これは同時に、旧作で散々語られていた「行程の遅れ」という問題がいつの間にかに無かった事になっていた点を解決するだけでなく、ガミラスがこの「亜空間ゲート」のネットワークを通じて広大な宇宙を自由自在に移動しているという設定がついてさらに「それらしくなった」のは確かだ。バラン星はこのネットワークの中枢とされ、ガミラス側からすればここはヤマトを食い止める拠点ではなく「どちらにとっても避けて通れぬ地点」となった。だからこそデスラーを暗殺したゼーリックがここに艦隊を集結させた理由も、「各地に散らばった艦隊が最も集まりやすい点」として説得力が生まれる。

 ガミラスとイスカンダルの設定は基本的に変化は無い。ただし、どちらも星の寿命が近くて「滅び行く運命」という設定は無くなった。よってガミラスが地球を侵略する理由も、ただ単に支配圏を拡げる一環だったという理由に変更され、ガミラスは地球への移住を考えていると理由はなくなった。同時に地球もガミラスも大気成分は同じとされ、ガミラス人は放射能を含んだ大気でないと生きられないという設定も無くなった。本作ではガミラス人の女性や子供の姿も描かれ、ガミラス星については人間の生活を感じる描写に変更されている。

 他にも多くの「見るべき設定」はあるが、主だったものだけ列記したところで終わらなくなって来るのでやめておくが、これらの新設定により物語に奥行きが出た事は確かで、多くの設定変更は成功したと考えても差し支えは無いだろう。

・登場人物
 旧作「ヤマト」は基本的に男だけの物語であったが、本作ではヤマト乗組員を中心に女性の登場人物や増やしたのが特徴的だ。現実世界が女性の社会進出が著しく、旧作制作時に女性が就くとは思いも寄らなかった職業にも女性が働く時代である。ヤマトだけでなくガミラス側にも女性が各所に配置され、物語の雰囲気を変えていることが見ていて目立つ点だ。この点を考慮しつつ、ヤマトとガミラスに分けて考えて見たい。

 ヤマトでは通りすがりを含めると4割程度の乗組員が女性とされたようだ。だが女性の配備には偏りがあり、戦闘科・航海科・機関科・保安科にはほとんど女性の姿は見られない。逆に船務科・甲板科・技術科・衛生科などには多くの女性が見られるという様相である。旧作では女性は雪だけという設定があり、雪が女性的な仕事を全部こなしてしまうという不自然があったが、これを複数の女性で分担するという描かれ方となった。雪は艦橋でのレーダー担当に落ち着くが、後述するヤマト乗組員の増員によってレーダー担当に複数の女性が配備され、雪不在時も「女性の声」で索敵結果が読み上げられることとなった。
 中でも主計科から戦闘科に途中移籍した玲、技術科の情報担当士官である薫、船務科で雪の部下となる百合亜、艦内のメディカルセンターで佐渡を補佐する真琴といった辺りが登場頻度の高い女性乗組員である。彼女たちはそれぞれ性格がハッキリしていて、物語を「乗っ取る」程の存在であり旧作からのキャラである雪の存在を喰ってしまった感があるのは否めない。この辺りのバランスが本来は大事なのだが、元来の雪は「男ばかりの世界唯一の女性」を演じるだけであってこれと言った特徴がないというキャラクター設定だったのが痛かった。物語が進み女性キャラが目立つシーンをひとつ経るごとに、雪の存在が小さくなってしまったのは本作最大の欠点だろう。
 これは女性キャラだけに言えることではない。本作のヤマトはキチンと交代制が採られたことと、乗組員の体勢を見直した(特に甲板科と保安科を設定した点)ことで多くの男性乗組員も増えた。旧作の続編シリーズ以降のキャラまで引っ張り出し、さらに新キャラを何人も設定してやっとヤマトの乗組員が揃った形である。保安科の伊東や星名、甲板科の榎本とその部下など、魅力的な男性キャラが増えたおかげで元来のキャラが目立たなくなってしまった感は大きい。古代は主人公らしく動かない限りは物語の表に出てこないし、島や真田も旧作のような出番の多さは影を潜めている。よって沖田中心に物語が進むようになり、本作では「主役は沖田」という感じに仕上がってしまった。
 女性が増えたことで劇中に男女の恋愛が本格的に持ち込まれることになったが、古代と雪以外はこれを余り表に出さず、かつ完全に隠すのでなく臭わせつつ物語を進めるのはある意味成功したと考えている。これは星名と百合亜の関係、加藤と真琴の関係、それと過去設定の守と薫の関係である。これらの関係は物語を盛り上げるだけでなく、前者2件は劇中に「時間の経過」を示唆するのに上手く役立っている。思いを言えない若い二人の接近劇の示唆も、初対面だった大人の二人が愛し合い子を身ごもるまでの過程のどちらも、それなりの時間が必要だろう。
 物語の主筋のひとつである、古代と雪の関係はもう少し上手く描けなかったか思う。雪が古代に惚れる理由が明確に描かれず、気付けば雪が古代に接近しようとしているという描写は「理由を明確にしないまま急いでしまった」展開のひとつだ。いつの間にか二人は仲良くなり、古代が雪に惚れた理由が終盤に後付けで語られただけだ。雪から見て何で古代でなければならなかったのか、これは伏線として拡げただけで未回収の「雪の過去」とともに終盤でキチンと描いて欲しい物語であった。
 また一時期、玲が古代に惚れているという描写があった点も中途半端だった。玲が古代に惚れる要素がちゃんと描かれた点は良かったし、その後の古代が雪に惹かれると玲の機嫌が悪くなる描写までは良かった。だが玲が古代を諦める理由もきっかけも描かれなかっただけでなく、いつの間にか玲まで古代の雪の関係を応援している側に回ったのは頂けない。話数的に辛かったのは理解出来るが、玲が何故古代から手を引いたのか慌てずにしっかり描いて欲しかった。
 これとは別に、旧作では雪に片思いだった太田の標的が百合亜に変わったり、南部の雪への片思い、篠原の玲への勘違いなど、恋愛沙汰での面白いシーンは多くて結構楽しめた。
 人数が増えたことで旧作では沖田以外に無かった「表に出たキャラの死」というのも描かれる事になった。その中の最たるものは保安科伊東の戦死で、最後の最後まで徹底的に嫌な奴として描き、最後の最後にイイ奴になって死ぬというのはベタとは言え印象的だった。航空隊では撃墜シーンでは撃墜されるキャラをキチンと描き、これはガミラス側で大きくした「一人一人の思い」というものをキチンと描いている。死んではいないが、藪がガミラス収容所反乱のドサクサに紛れて行方不明となり、後にフラーケンの元で働くという展開は見ている者に様々な物語を想像させるという意味で興味深かった。
 

 ガミラス側も様々に設定が変えられた。前述したが元来のガミラス人である「一等ガミラス人」と、植民惑星人である「二等ガミラス人」に分けられたことで旧作の謎をひとつ解決している。同時にこの差別を巡る人々の思いが描かれ、これをきっかけにガミラスが一枚岩でないとされた。同時にガミラスの将校などにも家族が設定され、その想いが描かれたのは面白い。
 まずシュルツに妻と娘が設定されたが、この娘ヒルデの存在をうまく活用するかのかと思って期待してみていたら、メイド姿で登場など単なる「ロリ要員」で終わってしまったのは悲しかった。「被差別側にいる司令官の娘」というキャラなら、色々と料理のしようはあったと思うんだけど…。
 期待させておいて殆ど活躍が無かったのは、ドメル夫人にも言えることだ。彼女に至っては収容所で「対イスカンダルの作法を知っているルだけ」、ヤマトでは「拉致された雪を知っていただけ」のキャラで終わってしまい、後は画面の端にいるだけ。「熟女萌え〜要員」になるほどの目立った描写もなく、終わってみれば対して印象に残らないという可哀想な立場だった。
 ガミラス側の女性で一番目立ったのは、言うまでも無くメルダであろう。本来は旧作13話のガミラスパイロットを女性化したキャラだったが、冷静かつやさしく可愛いそのキャラクター性をヤマトに乗り込む度に発揮し、玲と名コンビを演じた事は印象深い。ガミラス軍高官の娘という設定についても、終盤で彼女がヤマト乗組員と再接触するためにどうしても必要だったということは、最後まで通して見ると理解出来た。
 ガミラスの女性でもう一人は、情報大臣のセレステラであろう。デスラーに目をつけられたというそれだけで成り上がった女性の思い、その周囲が見る目というのを最後の最後まで演じきったと思う。
 ガミラスも政治体制や軍組織が明確にされ、その分キャラクターが増えたが、こちらでは旧作以来のキャラも性格などが変えられて目立つようになったので、新設定キャラに喰われることはなかった。ゲールなんかは旧作より目立つようになったと思う。親衛隊長官のギムレーはとことん冷酷を楽しむ人として描き、ディッツ提督は「国民のためにやりたい放題やっている」という将官を上手く描いている。タランが兄弟になったのは笑ったが。

 イスカンダルのスターシァが三姉妹とされたのも説得力がある。確かにイスカンダルが地球に派遣するのが1人だけというのはとても寂しいことだったはずだ。そこで1年前に三女のユリーシャを、直前に次女のサーシャを派遣という形にして、サーシャは旧作通りに生命を落としてユリーシャはヤマトに乗ってイスカンダルへ向かうという展開となった。ユリーシャは末っ子らしい暢気な性格が描かれ、髪をいじる癖や「はてな?」という口癖を印象的にしたのは百合亜に憑依したシーンで百合亜と明確に区別するためだっただろう。彼女も元来のヤマトキャラを喰ってしまったのは否めない。
 スターシァは長女らしいリーダーシップのある性格とされ、もしサーシャが生きていたら真ん中っ子らしい強気な性格として描かれたことは容易に想像が出来るのが面白い。スターシァの性格は大きく変わっていないが、守が死んだことになりつつもちゃんとすることはしているのは多くの人を驚かせた点だろう。

 キャラクター的にも、旧作元来のキャラを喰ってしまう結果になったとはいえ、とてもいいキャラクターが面白い物語を作ったと言いきって良いだろう。最後に私の印象に残る名台詞欄登場のキャラについて一覧表に記すが、名台詞欄登場のキャラが話数の割に多い点もそれだけ印象深いキャラクターが多いという証拠だ。

名台詞登場頻度
順位 名前 回数 コメント
沖田 やはりヤマトを束ねるリーダーが堂々の1位。3回登場は彼だけ。
何度聞いても、最終回の台詞には泣かされる。
シュルツ 2位は最初にヤマトに立ちはだかり、印象的な戦死が描かれるシュルツ。
本作ではデスラーへの忠誠だけでなく、家族を想い愛するという新しい面が描かれた。2話のガミラス語初披露も驚き。
古代 本作の主人公だが、旧作と比較してキャラが増えたために登場回数も減り影が薄い存在に。
戦闘機乗りに「必ず生きて帰れ」と訴える5話の名台詞はカッコ良かった。
メルダ 連絡員として二度にわたりヤマトに乗り込む、ガミラスの女パイロット。
22話のテロン人の本心をえぐる台詞は、とても印象的だった。
百合亜
(ユリーシャ憑依中)
可憐な少女の乗組員として登場だが、百合亜本人は名台詞なし。彼女の名台詞は全て憑依したユリーシャによる。
19話でまさかまさかの「何故コスモリバースを持ってきてくれないのか」と問わないのかと迫る台詞は、印象的だった。
ドメル ヤマト・イスカンダルストーリーで最も印象的な敵将校は間違いなく彼、本作では狼らしく正攻法でヤマトに挑んでくれた。
20話の敗北を認める台詞がとても印象的。同時にドメルが艦隊総攻撃を仕掛けた事自体が間違いだったと公式にも認められたことに。
古代の友でありサブ主人公のはずだが、古代以上に影の薄い存在に…。
16話の薫・伊東コンピの反乱では、これを食い止める短い一言がとても印象的だ。
土方 「さらば」や「2」以降のキャラであるが、本作ではそれ等旧作の設定を引き継いだ上での登場に驚いた。
彼の名台詞は、「ガミラスは謎に包まれている」ということを上手く示しており、ナレーションを繰り返されるより好印象であった。
真琴 佐渡と共に医務室で働く新設定の女性看護士、胸の大きさが印象的だ。
その名台詞は、旧作を知る誰もがアナライザーに言いたくてたまらないことを劇中で代弁してくれたのが好印象。
山崎 「新たなる旅立ち」以降の作品で後付け設定された機関部員で、旧作の設定に沿っての登場。
名台詞では彼の沖田に対する信頼と、艦に乗り込む心意気が見られてとてもカッコイイ。
篠原 旧作の山本が「女性化」されたために設定された新キャラ、航空隊のナンバー2らしい。
隊長の加藤に対し、家族に対して素直になるよう訴える台詞に痛く感動した。
真田 ご存じ第一艦橋の名物キャラ、本作では明確に「副長」の立場となり、沖田不在時はヤマトの指揮を執る。
本作では名台詞に恵まれなかったが、唯一の名台詞欄登場では「人間の意思」というものに深く切り込んでいて印象深い。
島 大吾 本作で始めて明確にされた島の父、芹沢の命でガミラスに先制攻撃をした張本人。
だがその回想シーン中での名台詞は、心の底で先制攻撃を悔やむ印象的なものだ。
榎本 旧作にはなかった「甲板員」という役回りで掌帆長、声が野原ひろしなので…(以下略)。
彼の名台詞は、古代の独断を支持して協力するカッコイイ「兄貴分」としてのもの。彼のキャラクターが滲み出ていて好きだ。
旧作の山本 明が女性化してあきらちゃんに。最初は主計科員だったが、ヤマト航空隊の無敵のエースとなる。
彼女の名台詞では「偵察」という任務で一番大事なことを教えてくれた。でもあんな対応じゃ篠原が勘違いするのも無理はない。
伊東 旧作にはなかった「保安部」の長、常に人を見下す態度を取り、異星人に対する疑心が人一倍大きい。
だがその最期は、積み上げてきた「悪人」という役柄を破壊した。その最期の台詞は素直になれない彼の本心だろう。
ノラン ザルツ人特殊部隊としてヤマトに乗り込みユリーシャと間違えて雪を拉致、最後まで雪の警護という任務に忠実であった。
彼も名台詞は最期の一言、名前も知らないままに惚れた女性を最期まで想い続け、その為に犠牲になる気持ちを上手く再現。
ハイニ 次元潜航艦UX−01の副長、声はバート・トーマス(by こんにちわアン)。
彼の言動はUX−01艦やフラーケンについて視聴者が言いたいことの代弁が多い、25話では同じタイミングで同じ相づちを打った視聴者もいることだろう。

…総評は以上であるが、これらの要素でもってこの「宇宙戦艦ヤマト2199」は旧作以上に面白い物語として仕上がったと私は思う。旧作ヤマトを知っている人には「新しい解釈のヤマト」として積極的に見て欲しい作品だと思った。続編で「雪の正体」を始めとする本作での「食べ残し」を解決してくれれば、とても良い作品になると思う。


・追加考察(2013年11月4日・新作)
 バンダイ「宇宙戦艦ヤマト2199」プラモデル 1/1000スケール「宇宙戦艦ヤマト」とメルトリア級航宙巡洋艦「EX−178」
 全26話の中のメカシーンで、私にとって最も「萌え〜」だった第10話のシーンをプラモデルで再現しました。本サイトの模型コーナー「石神井急行旅客鉄道」のコーナーとして公表します。

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