第3夜「俺たちは天使じゃないけど天使のフリをする」 |
名台詞 |
「僕たちも一緒に連れて行って、僕もヤッターマンにデコピンを喰らわしたい。だから、その服を…君たちと一緒ならそれが出来る。僕たち両親のために、何より…アル!
天使と行こう! パパとママのところへ!」
(ガリナ) |
名台詞度
★★★★ |
アルエットの家でドロンボー一味を匿っていたことがバレ、ガリナとアルエットは家の中に追い詰められる。そこへドロンボー一味が助太刀に戻ってきたがヤッターマン兵に囲まれてしまい万事休す、地下室に逃げ込む。「弱気になるな」「ガリナに作ってくれた服を着て戦う、お前達を守る」とガリナに説くドロンジョの声に、ガリナは衝撃を受ける。そして彼がここまでしてきたように自分の運命をサイコロに託送とするが…「これは自分で決めることだ」と呟いてから、この台詞でもってドロンボーと共にヤッターマンと戦うことを宣言する。
たった1話で新登場のガリナというキャラクターを設定付け、印象付けねばならないという難しい展開でこれほどうまく決まった台詞に驚いた。今話ではガリナの初登場から彼の自分の運命を決めるアイテムとして「サイコロ」が登場する。そして自分では何も決められない情けない男というのを見事に演じきったからこそ、その後のこの台詞が活きてくる。
そしてその内容は、自分では何も決められなかった自分と決別して「自分で自分の運命を切り開く」という内容のものであることは言うまでもない。ドロンボーにヤッターマンを倒す旅に同行させて欲しいと懇願し、自分が胸に秘めていたヤッターマンに対する恨みの封印を解く。そしてドロンボー一味に送ったコスチュームの意味…自分もヤッターマンを恨んでいるという秘めた思いをしっかり伝えた上で、ドロンボーと一緒ならその恨みを晴らせるかも知れないという思いがあることを宣言。その上で自分が守るべきものであるアルエットに向け、彼女に伝わるような言葉を選んで語るのだが…この最後の部分が「決まった!」としか言いようのない台詞だ。
今夜は印象の残る台詞が多く、どれを名台詞欄で挙げるか非常に悩んだ。結果、他の台詞は名場面欄で出てくるのでこの台詞を取り上げた。 |
名場面 |
二度目の対決 |
名場面度
★★★ |
名台詞欄シーンを受けて、ヤッターマン兵の家への本格的な攻撃が始まる。あっけなく家は焼かれるがその中から聞こえるドロンジョの声、本作のドロンジョの決め台詞を語りながらガリナが作った新コスチュームで瓦礫の中から現れるドロンボー一味。ボヤッキーが「ポチッとな」とボタンを押せば、今夜のメカが登場する。「やっておしまい」とドロンジョが叫べば「おだてブタ」が登場、「なにこれ?」と問うドロンジョに「何事にもユーモアは必要ですよ」と笑うボヤッキー。突然の大型メカ登場に狼狽えるヤッターマン兵を尻目に、ガリナが「勝てるのか?」と問えばドロンジョが「勝てなくてもいい、今は負けなければいいんだ!」と叫びながら「自爆ボタン」を叩く。するとメカから手が生えて、ヤッターマンメカを抱きかかえて自爆する。その爆炎の中から「お仕置き三輪車」で逃げるドロンボーとガリナとアルエット。
短いけど往年の「ヤッターマン」におけるドロンボーらしい戦いが描かれたと思う。そう、ドロンジョが言うとおり、彼らの戦いはかつても勝ってないだけで負けてもいなかったのだ。その証拠に次の週には復活してちゃんとメカを作って戦っていたのだから。
そしてその要素だけでなく「戦い」シーンとしての緊張感もキチンと描かれているし、その中でドロンボーメカのコックピットに突如ヤシの木が現れて「おだてブタ」登場という「緊迫感とユーモアの両立」を忘れていないのがとても好印象だ。
さらに、今回は時間の都合で戦いシーンが短いせいか、ドロンボーメカが最初から「自爆」前提なのが笑えた。本来「自爆ボタン」は誰かが間違って押すものであるが、今回は「本作でも自爆ボタンの設定がある」という事をキチンと視聴者に印象付ける。これによって過去のドロンボーメカを知る視聴者はメカに「ドロンボーらしさ」を感じて感激するのでまた好印象。そして爆炎がドクロ形ではなかったが、その戦いの余韻も覚めないうちに「お仕置き三輪車」登場とテンポ良く流れる。ちゃんと「えっほ、えっほ」ってかけ声掛けているしなー。 |
感想 |
なるほど、ヤッターキングダムの首都は稚内市なのか…寒いぞ。
前夜のラストで出てきた少女が何者か、そして一緒にエンディングに出ている少年は何者か、今夜の前半の視聴者の注目点はそこだろう。それはすぐにガリナとアルエットという幼なじみの男女だと解るが…この二人、担当声優がリメイクヤッターマンの1号と2号やん。やっぱり物語が進むと「この二人はヤッターマンの子孫」とかいう設定が登場するのかな? しかし、ヤッターマン2号の人って事は「宇宙戦艦ヤマト2199」のメルダ・ディッツ少尉だよね? おだてブタがドメルの奥さんって…どっちも印象がまるで違うなぁ。ドロシーも同じ人でこれまた印象が違う演技を見せてくれて、ちょっと凄いと思ったりした。
そしてこのエンディングにも出る程のキャラなのだから、ドロンボー達と合流するのは確かだと思って見ていると、今夜のうちに合流してしまうのだから潔い。「山賊の娘ローニャ」のように主展開をもったいぶるようなことはしない清々しさが見られる。その過程で名台詞欄に上げたように、ガリナという少年の気の弱さをうまく利用すると共に、この間で二人の設定だけでなく「ヤッターキングダムの実態」までも上手く描きだしてくる。
その「ヤッターキングダムの実態」であるが、前夜の間にここに住んでいる人たちもレパードらと大して変わらぬ生活をしていたことは判明している。そこにヤッターマンによる圧政や強制労働という側面があることを明確に示して来た。こうなりゃヤッターマンは完全に悪役だ。この悪役に立ち向かうドロンボーの体制もしっかり確立したところで、次夜以降が楽しみだなー。 |