・Bernina Pass: St Moritz–Poschiavo Route
 レーティッシュ鉄道(スイス) ベルニナ線:St. Moritz(サンモリッツ)~Poschiavo(ポスキアーヴォ)

高山を行く「ベルニナ急行」

・収録車両
 ABe 8/12 Electric Multiple Unit(一般型電車「アレグラ」号)
 Bernina Express coach(「ベルニナ急行」用パノラマ客車)
 その他の関連貨車

・購入済みアドオン車両
 RhB Enhancement Pack 03

・経由地(主要駅のみ記載)
・St. Moritz(サンモリッツ)~Pontresina(ポントレジーナ)~Morteratsch(モルテラッチュ)~Bernina Diavolezza(ベルニナ・ディアヴォレッツァ)~Ospizio Bernina(オスピツィオ・ベルニナ)~Alp Grüm(アルプ・グリュム)~Poschiavo(ポスキアーヴォ)
・Samedan(サメダン)~Pontresina(ポントレジーナ)




 ヨーロッパの内陸部、アルプス山脈に抱かれたスイスには数多くの山岳鉄道がある。その中でもスイス東部に長大な路線網を持つレーティッシュ鉄道は日本でも有名で、本シミュレータゲームでも数々の路線や車両が再現されてきた。

 そしてこのたび、「Train Simulator」のアドオンとして新たに加わったレーティッシュ鉄道の路線は、サンモリッツから国境を越えてイタリアのティラノを結ぶ「ベルニナ線」の一部、ベルニナ峠区間を含むサンモリッツからポスキアーヴォまで約50キロの区間だ。
 この「ベルニナ線」は世界的にも有名な山岳路線で、70パーミルの急勾配で標高2253メートルのヨーロッパ鉄道最高所である「ベルニナ峠」を目指す。標高4000メートルを超える山の頂に囲まれ、森林限界を超えた風景、氷河や山上湖などの絶景が広がる絶景路線として知られ、世界中から観光客が押し寄せる鉄道路線でもある。このベルニナ線はアルブラ線とともに2008年にユネスコの世界遺産に登録された。

 サンモリッツを出発した列車はアルブラ線と谷を挟んで併走する形で谷間を下り、すぐにポントレジーナ駅に到着する。ここではサメダンを経由してアルブラ線へ短絡する支線が分岐しているが、この支線は本ゲームでも再現されている。
 ポントレジーナからはベルニナ川が作る谷間を遡るが、この駅を出ると早速70パーミルの急勾配が始まる。モルテラッチュ駅を過ぎるとこの路線のハイライトシーン、森林限界を超えて車窓には木々のない高山独特の景色が広がる。そして、線路が横切る川の上流に目をやれば…そこには真っ白な氷河が広がる風景は、他の路線では味わうことができない。
 森林限界を超えた風景の中を急勾配と急カーブを繰り返して登ってゆくと、やがて左車窓に鏡のように風景を映す湖が広がる。この湖は分水嶺に存在し、湖の畔にあるオスピツィオ・ベルニナ駅が標高2253メートルのサミットで、これまで登る一方だった線路はここで始めて下りに転じる。
 やがて湖の風景が途切れると猛烈な急勾配が始まる。70パーミルの急勾配といくつものヘアピンカーブで「下界」を目指して下ってゆくのだ。その下りの途中にあるのがアルプ・グリュム駅で、この駅はヘアピンカーブに掛かっていて、急曲線上の駅構内で発車を待つ列車シーンはこの区間を象徴するシーンのひとつであろう。
 アルプ・グリュム駅を過ぎるとさらに地形は急峻になる。10箇所ものヘアピンカーブで山腹につづら折りを描いて、直線距離でたった6キロの区間で1000メートルも下るのだ。いい加減下るのに飽きてきた頃に、これまで山腹風景が谷間の風景に変わり、そして町が現れると本ゲーム上の終着駅となるポスキアーヴォ駅に到着する。本マップではここが終着駅だが、路線はさらにポスキアーヴォ川に沿ってイタリアのティラノを目指す。この先にはポスキアーヴォ湖の畔を行く美しい区間や、オープンループで有名な「ブルージオ橋」などの名所があり、これらは別マップでの再現となっている。

 本マップに備わっている車両は、まずはアローザ線のマップに付属していたのと同じABe8/12 3501-3515形電車。だが電化方式が交流電化のアローザ線やアルブラ線と違って直流電化されているベルニナ線用として、一部仕様が異なっている。最も目立つ点は、初期状態では交流区間用の中間車のパンタグラフではなく、直流区間用の先頭車のパンタグラフが上がるようになったことだ(もちろんこれはゲーム上での話であり、実物のABe8/12 3501-3515形電車はアローザ線でもアルブラ線でもベルニナ線でも同じ車両が使われている)。
 そしてこの電車が牽引する客車として、待望の「ベルニナ急行」用の赤いパノラマ客車が登場した。「氷河急行」のパノラマ客車とは色が違うだけでなく、車両サイズ等も違う。設備の違う4形式(一等車と二等車が2形式ずつ)が用意され、実物と同じく9両編成(電車3両+客車6両)を組んで「ベルニナ急行」を再現できる。
 もちろん、レーティシュ鉄道の貨車も用意され、ミキストトレインも再現できる。

 この路線も景色がきれいで、本ゲームを楽しんでいる人にはお勧めの路線だ。ただし急勾配と急カーブが続くため速度制限も多く、殆どの区間で制限速度が40km/h以下となっているので距離の割に時間が掛かる(サンモリッツ駅からポスキアーヴォ駅までプレイすると、50キロ足らずの区間に90分も掛かる)。特にオスピツィオ・ベルニナ駅からポスキアーヴォ駅までの区間の殆どが30km/h制限で、正直言ってプレイしていて退屈な区間でもあるのは確かだ。
 だけど景色が良いので面白い。こうなったら今度はベルニナ線の旧式の電車が欲しくなるなぁ。

 では、以下に本マップのスクショをアルバム形式でごらん戴こう。



・世界の車窓から

まずは車両の紹介から
赤い電車が牽いているのは、赤に白い帯を締めたハイデッカー客車だ。
ベルニナ線のマップに付属の列車は、もう言うまでもなく「ベルニナ急行」だ。
ヨーロッパの鉄道では最も標高が高いところを走る、世界的にも有名な観光列車だ。

牽引するABe8/12 3501-3515形電車は、今回のものは初期状態では直流区間走行状態となっていて、以前リリースのもの(アローザ線)とはパンタグラフ上昇位置等が違う。

「前パン」萌え~。
客車を形式写真風に見てみよう。白い帯を締めた赤い車体に、「Bernina Express」の文字が印象的。ドア部分の塗装が逆転しているのがさらなるポイント。

こちらはごく普通の二等車、車端部にお手洗いが設置されている。
こちらは二等車でも車端に日本風に言うと「車販準備室」があって、お手洗いの設備はない。編成に1両だけ連結されている。
こちらは一等車。一等車も二種類あって、この画像のは基本的な一等車。
上画像の車両の左隣に連結されているのは、簡単なバーカウンターが併設されている一等車だ。
二等車の車内、ごく普通のボックスシートだが、窓の大きさが印象的だ…というのは「氷河急行」客車を紹介した時と全く同じコメントだ。

「氷河急行」との構造上の違いは、窓ガラスが大きな曲面ガラスになったこと。
こちらは一等車、座席の横幅が広くなって2-1配置となっている。
「ベルニナ急行」では、客車のインテリアは落ち着いた色調でまとめられている。
では、サンモリッツ駅から「ベルニナ急行」に乗ってみよう。
サンモリッツ駅を出発した「ベルニナ急行」。
駅を出るとすぐに右にカーブしてアルブラ線と分かれる。
サンモリッツからしばらくは、谷間を挟んでアルブラ線と併走する。谷間が切れると左にカーブして独自のコースを取り始める。
そしてポントレジーナ駅でサメダンからの短絡線と合流。
短絡線は交流電化なので、ポントレジーナ駅は交直切り替えが行われる駅でもあって、その構内線路の使い方は複雑である。
ポントレジーナ駅を出ると、いきなり70パーミルの急勾配区間に突入する。いよいよベルニナ峠に挑む。
70パーミル勾配を上る列車を真横から見てみた。凄い傾き…
急勾配を登り切ると、ベルニナ川に沿った谷間に出る。森林限界が近く、いよいよ木々が少なくなってきた。
穏やかなコースも束の間、また急カーブと急勾配が列車に襲いかかってくる。
完全に森林が途切れ、広々とした高山風景が広がる…この路線のハイライト区間の始まりだ。
標高3000メートルを超える頂のすぐ下を列車は行く。こんな風景を行く鉄道は、日本では考えられない。
そして線路を横切る川の上流方向を見ると、標高4000メートルを超える山々と、氷河が織りなす大パノラマが広がる。
こんな雄大な景色の中を進んでゆくと、やがて勾配が緩やかになると同時に、列車の進行方向に山がない場所があるのが解るようになってくる。
急勾配を登り切ったところで、今度は湖の畔を走るようになる。
このビアンコ湖は氷河湖で、高所にあることを利用して水力発電にも使われている。湖水面の標高は2240メートル、これは高い!
ここがヨーロッパの鉄道の最高標高地点、オスピツィオ・ベルニナ駅だ。
湖の畔にある静かな駅だが、木が1本もないことが標高の高さを物語っている。
オスピツィオ・ベルニナ駅を出ると、勾配は下りに転じる。最初は穏やかな下り勾配だが…
ビアンコ湖が途切れたここがベルニナ峠だ。といっても線路の方はオスピツィオ・ベルニナ駅から少しだけ下った場所になる。
峠を過ぎると、線路はジェットコースターのように急な下り勾配になる。言うまでもなく70パーミルの急勾配だ
電気ブレーキをしっかり掛けて、慎重に下る。
そしてこれまでの広々とした景色とうって変わって、山肌にへばりつくようにして山を下ってゆく。
線路はその山腹につづら折りを描いている。
そのヘアピンカーブを行く列車の様子だ。ただしこれは、サンモリッツ方面へ行く山を登る列車だ。
その下り勾配の途中にある駅のひとつが、アルプ・グリュム駅だ。
この駅はこのように、駅構内が急なヘアピンカーブに差し掛かっている。
ベルニナ線を紹介するサイトなどで、こんな写真を見た人も多いことだろう。ベルニナ線のヘアピンカーブの多さを象徴する駅だ。
さらに下ってゆくと、渡る川のすぐ下流にこれから走る線路が見える場所がある。
前スクショの場所を上空から見てみた。つづら折りを行く列車の様子を、合成写真でご覧戴きましょう。
いつくつものヘアピンカーブを曲がりながら、いつ果てるとも知れない急勾配を下ってゆく。
やがて風景が少しずつ穏やかになってくると、終点までの残り距離数が僅かになる。
列車は本マップの終点であるポスキアーヴォ駅に到着。実物は線路はまだ続いていて、別マップでの再現となっている。

サンモリッツからここまで約90分、50キロ弱しかない路線なのにこんなに時間が掛かるのは、速度制限が多いからだ。

続いて、「ベルニナ急行」編成でアルブラ線を走ってみた。
季節設定は「秋」だ。
「ベルニナ急行」は、アルブラ線からベルニナ線へ直通運転している。そのアルブラ線での走りも再現できるようになった。

ただし、アルブラ線を走らせる場合は、牽引するABe8/12 3501-3515形電車はアローザ線付属のものにしなければならない(ベルニナ線付属のものだと、切り替えをしない限り直流区間走行状態になってしまいます)。
プレダ駅近くのアーチ橋を行く列車。
アローザ線データにABe8/12 3501-3515形電車が収録された時、「ベルニナ急行用客車があれば…」と思っていたのがやっと現実になった。
ムオート信号場を通過する「ベルニナ急行」。山中の信号場の雰囲気があって、アルブラ線でも好きな場所だ。
ベルギューン駅近くのヘアピンカーブを行く。ベルニナ線を走った後にアルブラ線を走ってみると、50km/hそこそこの速度でも速く感じるようになる。
ベーヴァ駅付近の直線区間を行く列車のり後ろ姿を見てみた。
屋根まで伸びる大型曲面ガラスが、観光列車らしい風情を醸し出している。
スラヴァ駅を通過する「ベルニナ急行」。電車が客車を牽いている印象的な光景だ。
アルヴァンオイ駅付近の石積みアーチ橋を行く。こんな風景もアルブラ線ならではのものだ。
ランドヴァッサー橋を行く「ベルニナ急行」。この橋を行く列車はどれも印象的だ。
角度を変えて撮ってみた。やっぱりこの光景が最もアルブラ線らしい。

こうしてまた、本ゲームにおけるレーティッシュ鉄道での遊び方の幅が広がりました。
今回のベルニナ線DLCの発売は、まさに「待望」でしたね。
今回はスクショが間に合っていませんが、EW i 形客車を走らせる遊び方もあるでしょう。
今度はベルニナ線の、他の電車が欲しくなってきたぞ…。

車両アドオン RhB Enhancement Pack 03

路線の続き Bernina Line: Poschiavo to Tirano Route
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