・「Euro Truck Simulator 2」で欧州ハイウェイ旅行!

黄昏の高速道路を行く

新着記事(2021年1月31日追加)
冬の「Euro Truck Simulator 2」その2 & オリジナルトレーラー

プレイ動画はこちら

 PCゲームやテレビゲームなどで、一定の需要と人気があるのは自動車運転系のゲームであることは確かだ。だがその多くはレーシングゲームであり、スポーツカーやフォーミュラーカーを運転してレースををするというプレーヤーを非日常に誘うゲームである。もちろんゲームの目的はレースに勝つことであって、そこに交通ルールを守るなどの「制約面」というもうひとつの「自動車運転の醍醐味」が割愛されていたのは確かだ。
 だから私は自動車でレースをするゲームには殆ど興味はなく、自動車運転系のゲームはこれまで持っていなかった…正直、実物(自分の愛車)を運転する方が楽しいと思っていたからだ。

 そんな私が1年ほど前に見つけて、はまり込んだ自動車運転系のゲームが「Euro Truck Simulator 2」である。これまで自動車運転系をほとんどしたことがなかったが故に所有していなかったハンドルコントローラまで購入して楽しむほどの入れ込み様で、これが以前紹介した路線バス運転ゲーム「OMSI 2」購入にも繋がる。

 「Euro Truck Simulator 2」はとにかく単純なゲームだ。ゲーム世界内でセミトレーラーの運転手になって、貨物の運搬を請け負って目的地にこれを運ぶだけである。
 具体的に言うと、ゲーム内世界には一定縮尺でデフォルメされたヨーロッパが再現されていて、この世界内の各都市には貨物の発送を行っている企業が複数ある。そこへ自己所有のトラックで行って貨物運送の仕事を引き受けると、その企業の敷地内に貨物を積んだトレーラーが用意されているので、これに自己所有のトラックを連結すると契約完了だ。
 そして目的地都市へ向けてゲーム世界内の交通法規を守りながらひたすら走り、制限時間内に目的地都市にある配送先企業を探して貨物を届ける。配送先企業に着いたら指定の位置にトレーラを停止させて自己所有のトラックと切り離したら運送完了、その走行内容に応じて採点がされ、それに応じてゲーム世界内でのマネーが貯まるというルールだ。

 このゲームは、ゲーム内世界におけるプレーヤーの「役割」がハッキリしているのが面白い。その役割とは「貨物を運ぶことで物流を担う」というものだ…ゲーム内世界にキチンと「物流」という概念があって、プレーヤーがその一端を担っているという世界観がハッキリしている。どの都市からどの都市へ貨物を運ぶ需要があるのかはゲーム側の都合で決まっていて、自分が行きたい都市への貨物がなくて困るケースも多々発生する。
 つまり、プレーヤーがゲーム内でトラックを運転する理由はあくまでも「この世界の物流を担うための手段」であり、他の乗り物運転シミュレータゲームと違い「運転することそのもの」が目的になっていないのだ。

 そしてレース系ゲームとは違い、自動車を運転する上での「制約」もキチンと設定されている。前述したようにこのゲーム内世界には明確な交通ルールがあり、信号機や制限速度(国ごとの最高速度)をはじめとするルールを守らなければ「反則金」としてマネーが没収される仕組みだ。よってゲーム内ではパトカーや自動取り締まり装置による交通違反の取締りも行われている設定になっていて、基本的にはこれらの前で違反行為をすると「反則金」を取られるシステムになっている(ただし信号無視や後述する事故についてはこの限りではない)。

 もちろん交通ルールとは別に、事故を防止して安全運転に努めることも必要だ。事故を起こせば、このゲーム世界独特の交通違反である「車両損壊違反」に問われて反則金を取られるだけでなく、その事故に応じて車両にダメージが加わるのでその修理をすることでもマネーが奪われる。事故によるダメージが大きすぎたり、横転事故になった場合などはそこで自走不可となり、最寄りの都市にある修理工場までレッカー移動となる。もちろんレッカー移動代金を取られた上に、時間まで無駄にしてしまう。

 そしてトラックは走らせる度に劣化することで、車両にダメージが加わる。これも適度に整備修理しなければ、ダメージが蓄積して走行不可になってしまう。各都市には自動車整備工場があり、ここで修理や整備ができる(前述の事故の場合も、ここで修理する)。

 本ゲームではさらに、自分でトラックを運転して荷物を運んで金を稼ぐだけではなく、従業員を雇って仕事をさせることで金を稼ぐ「運送会社経営シミュレーション」的な機能もある。各都市には従業員を斡旋する「人材派遣会社」があり、ここで人を雇い、同時にその従業員用のトラックも用意して働かせるのだ。これが上手く行けば、自分が貨物を運ばなくても勝手にマネーが増えていくようになる。

 このゲームでは最初は一文無しでもちろんトラックも所有していない状況からスタートだ。最初は「クイックジョブ」というモードで、「他の運送会社に雇われる」という形で借り物のトラックで貨物運送の仕事をこなしてマネーを貯めて行く。この段階がもっとも難しい所で、この段階で違反や事故を繰り返していると全くと言って良いほどマネーが貯まらない。
 そしてマネーが貯まってトラック購入資金の目処がついたところで、各都市にあるカーディーラーへ行ってトラックを購入する。ゲーム世界内には銀行もあるので、トラック購入は「ローンも可」だ。そしてマネーが貯まってローンを返済、さらにマネーが貯まるようならトラックのアップグレードをするもよし、自分用のトラックを2台以上にするのもよし、トラックを沢山買って従業員を雇うのもよしと、遊び方は色々だ。

 こんな「Euro Truck Simulator 2」という面白いゲームを、以下アルバム形式で紹介しよう。

・はいじまによる「Euro Truck Simulator 2」プレイ動画
 その1・ロシア(サンクトペテルブルク)からスウェーデン(ストックホルム)
(約52分)
 その2・オーストリア(グラーツ)からドイツ(ケルン)(約63分)
 その3・モンペリエ(フランス)からシヴォー原子力発電所(フランス)(約40分)
 その4・シュチェチン(ポーランド)からデュッセルドルフ(ドイツ)(約36分)
 その5・ベルゲン(ノルウェー)からオールボー(デンマーク)(約48分)
 その6・トリノ(イタリア)からケルン(ドイツ)(約60分)
 その7・チューリッヒ(スイス)からミラノ(イタリア)(約22分)

・はいじまによる「Euro Truck Simulator 2」+「ProMods」プレイ動画
 その8・アークレイリ(アイスランド)からクラクスヴィーク(デンマーク自治領フェロー諸島)(約44分)
 その9・アシュドット(イスラエル)からルトバー(イラク)(約46分)
 その10・ドボイ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)からパフォス(キプロス)(約61分)
 その11・アイスランドを走る(約55分)
 その13・白夜のノルウェーを走る(約52分)
 その14・極夜のロシアからスヴァールバル諸島へ(約50分)

・はいじまによる「Euro Truck Simulator 2」+「Project Japan」プレイ動画
 その12・徳島市(徳島県)から尼崎市(兵庫県)(約31分)
 その15・岐阜県(高山市)から愛媛県(今治市/松山市)へ往復(約67分)


・トラックの車窓から
 
このゲームのプレイ中にスクリーンショットを取るようになったのは、ゲームがある程度進んで自分でトラックを所有するようになってからだ。

これは私がゲーム内で最初に買ったトラック、自分の車がなかったときに最も使いやすかったボルボ製のトラックを購入してプレイした。
ホイールは3軸でリフトアップはなしにして、直進安定性と重量物運搬時の安定性の双方を狙ったら…なんか中途半端になっちゃった。
私はこのゲームの開始に当たって、左側通行の国で経験を積もうとロンドンを根拠地にしてプレイスタートした。だからこの最初のトラックも右ハンドル仕様だ。
その後、同一車種のもっと性能の良いグレードに乗り換え、このトラックは今は最初に雇った従業員に譲った。
そしてその後乗り換えたのが、同じボルボのトラックでもこのクルマだ。ホイールは4軸で2軸目がリフトアップする。そのためこのように、機関車のような重い物を運ぶことも可能だ。
海上コンテナを連結して、発送元企業で発車を待つ。

ちなみにこのクルマ、右ハンドル車と左ハンドル車を1台ずつ持っている。ホントは右ハンドル車だけあればいいかと思っていたのだけど、行動範囲がグレードブリテン島の外へ広がると、右側通行に右ハンドル車ではやりにくいって話になって、左ハンドル車も購入した。
高速道路を走る我がボルボのトラック。
私はクルマなどは、素の姿が美しいと思っているので余計な装飾は付けていない。
このゲームを楽しむ人は、ど派手な装飾で飾っている人も多いみたいだけど…そこは個人それぞれの楽しみ方があるってもんだ。
4軸ホイールと強馬力を活用して、重量物運搬を愉しんでいる。この時の積み荷はコンクリート梁で、貨物重量50トンとか言ってたぞ…確かに重かった。
北欧へ行くとこのようなダブルトレーラーの仕事もある。でも意外にカーブや交差点での取り回しは難しくなかった。
ダブルトレーラーを牽いてハイウェイを行く。ダブルトレーラーの運転で難しいのは車庫入れだ…バックするともうわけわからん状態で、未だ慣れない。
こういうユニークな積み荷もあったな。前から見ると解りにくいけど…
…後ろから見ると、自分が運転しているのと同車種のトラックだとわかる。色まで一緒だよ…こんな感じの緑色、好きなんです。
プレイ中はもっぱら、このような運転席目線になる。高速道路を走っている緊張感がうまく出ていると思う。
朝はこんな風に美しい朝焼けに彩られる。リアルな高速道路の朝も、こんな感じだよね。
昼下がりの一般道はこんな感じ、雲の様子がとても良い感じなのがこの画像で伝わるか?
そして徐々に夕暮れが近付く、このゲーム世界の黄昏時はとても美しい。
そしていよいよ日没だ。朝日とは違う夕日の情景をうまく再現している。

このように時間経過の違いは再現されていても、このゲームでは季節は再現されていない(日の出や日の入り時刻もいつも同じ)。どんな条件でプレイしてもずっと夏、つまり「「エンドレスサマー」だ。
たまにこんな感じで雨が降る。土砂降りの雨に雷を伴うこともある。

雨が降る率は、ゲーム設定で調整可能だ。
雨が降れば道路に水たまりが出来る。その水たまりに車の姿が映るところまで再現されていて、細かい。
ゲームの流れとしては、都市にある企業で貨物運送の仕事を請け、目的地に貨物を運ぶという繰り返しだ。
これは都市内道路での様子、大型重機を積んで交差点を曲がる。
都市内で交差点や信号機も多く、おまけに交通量も多いのでこのような渋滞に参加させられることもある。

ちなみにこれはロンドン市街の様子、左側通行しているのが解るだろう(イギリスの画像は後ほど)。
高速道路に入ってみよう。
ヨーロッパでは国によって高速道路の運営スキームが違うが、日本のように高速道路が有料の国では、このように料金所も再現されている。
有人ブースに停止して現金払いも良いし、無停車料金システム(日本で言うETC)を使うのもよしだ。
昼下がりの高速道路を爆走する。国にもよるが、高速道路の最高速度は80km/hか90km/hだ。
日が傾くと、アスファルトの反射が実感的だ。このゲームのビジュアルを製作した人に、道路ヲタが混じっているのは間違いないと思う。
黄昏の高速道路、やっぱりこのゲームの夕景は美しい。
一般道も様々な表情を見せる、これはフランスの田舎町を走る光景だが、石積みの家が多いのがヨーロッパらしい。
DLC(追加マップ)となるフランスのマップでは、このようにフランスの田舎町の再現がとても美しい。ゲームしていて異国情緒を感じる。
歴史的な古城の前を行く。この近くには観光客向けらしい駐車場もあるんだぞ。
そして平原部を行けば、何処までも続く平原のなかに突然現れる原子力発電所なんて景色にも出会う。
こんな風に、道路工事のための片側交互通行なんていうのもある。こういう「ドライブあるある」が現れるのも、プレーヤーを盛り上げる要素のひとつだ。
海辺の街道を行く。こういう景色も旅情があって良い。海に船が沢山浮かんでいるのは、少しやり過ぎの感があるけど…。
一般道では踏切があって、たまにこれが鳴動して列車が通過する。踏切脇でその列車を「撮り鉄」してみました。
平原から山へ、少しずつカーブと勾配が増えてゆく情景が良い。
だんだん山深くなって行く。アルプス越えの国道や高速道路もあって、峠越えのドライブも楽しめる。
峠のヘアピンカーブ、一般乗用車とは違って、しっかり速度を落としていかないとあっという間に曲がりきれなくなる…このゲームをするようになって、トラック運転手の気持ちがよく分かるようになった。
コースによってはこんなダートコースもある。まさに「酷道」だ。
この道なんか、対向車が来たら涙目。

こういう道路のヘアピンでは、しっかりとアウト側から入らないと、トレーラーを道の外に落とすことになる。
湖に沿った長い未舗装道路を、ノルウェーで見つけた。以前、精力的にリアルの酷道探検をしていたのを思い出した。
これは酷道を行くダブルトレーラー。後ろに写っている交差点を曲がってきたのだけど…難しかったよ。でもそれが楽しい。
そして、道路が海にぶち当たるとそこにはフェリー埠頭があって、船に乗って対岸に渡ることになる。
フェリーの車両甲板の様子が、海を渡る緊張感を感じてとても良い。
海を渡る手段は船だけではない。本ゲームではドーバー海峡トンネルのカートレインも再現されている。

そして海を渡れば、そこは…

…イギリスに上陸、当然左側通行となる。
日本人がこのゲームをプレイするなら、まずイギリスで慣れることをお勧めしよう。
イギリス南部、サザンプトン近くの海岸線を行く。このゲームのサザンプトンとプリマスを結ぶ街道は、とても景色が美しい。
もちろん、イギリスでは高速道路も左側通行。日本の高速道路と雰囲気が似る。

イギリスの高速道路では最高速度60mph=97km/hだ。だが、トラックそのものが90km/hでリミッターが掛かるので、そこまで速度を出すことはない。
もちろん、イギリスの速度標識の単位は「mph」だ。
トラックも右ハンドル車(UK仕様)は、速度計の単位が「mph」になる。
ヨーロッパ本土と、イギリスをまたぐ配送をプレイすると、ややこしいことになる。

最後は大型特殊貨物の運搬を紹介しよう。
これは別売りDLC「Special Transport」を購入することでプレイ可となる。
「Special Transport」に収録されている特殊貨物は何種類かあるが、ここでは廃サイロ運搬の様子をご覧戴こう。
これはでかい、でも中身が空洞で意外に軽い。
この貨物の運搬は、あまりにもでかいのでマスコミが取材に来ているぞ。
発送元を出発して国道を行く…のはいいが、積み荷が大きくてぶつからないよう気を遣うので必然的に速度が落ちる。すると後ろはこんな感じですぐ大渋滞。
高速道路に入る。「Special Transport」の特大貨物運送は、このように前後を警戒車両にガードされての進行だ。
こういう特大貨物輸送は、日本では夜間に行われることが多い。深夜の国道で警戒車に固められた特大貨物を何度か見た事がある。
だからヨーロッパの実物はどうなのか知らないけど、私がこのゲームで「Special Transport」の配送をプレイするときは、ゲーム中時間が夜の時にプレイするようにしている。
 以上、「Euro Truck Simulator 2」について駆け足で紹介してみた。
 本ゲームには、私はまだ購入していないが「American Truck Simulator」という姉妹ゲームがある。ゲーム内容は舞台がアメリカに移っただけで同じだ。

 本ゲームのコミュニティは日本でも活発で、日本の運送会社のマーキングが入ったトレーラーや、人材派遣会社で雇う従業員が日本のアニメキャラに変わるものなど、様々な日本ならではのMODが開発されて配布されている。最近では日本の道路を再現したMODもリリースされ、最終的には北陸地方を中心とした中部地方を再現する予定だとアナウンスされている。
 だからこのゲームは発売から年月が経っているが、まだ今後も十分に期待できるゲームなので、このサイトを見て新たに興味を持たれた方には是非とも購入をお勧めしたい。

(備考)
本サイトの「Euro Truck Simulator 2」のゲーム画像は、下記DLC導入済みのものです。
 ・「Euro Truck Simulator 2 - Going East!」
 ・「Euro Truck Simulator 2 - Scandinavia」
 ・「Euro Truck Simulator 2 - Vive la France !」
 ・「Euro Truck Simulator 2 - Heavy Cargo Pack」
 ・「Euro Truck Simulator 2 - Italia」
 ・「Euro Truck Simulator 2 - Special Transport」
 ・その他、個人製作のMOD(詳細省略)
次ページ 冬の「Euro Truck Simulator 2」
前のページに戻る