・Surselva Line:Reichenau-Tamins - Disentis/Mustér Route
 レーティッシュ鉄道(スイス) ズルゼルヴァ線(オーバーランド線):Reichenau-Tamins(ライヒェナウ-タミンス)~Disentis/Mustér(ディゼンティス/ミュンスター)

ライン川の渓谷を行く列車

・収録車両
 コンテナ貨車や無蓋貨車など

・購入済みアドオン車両
 RhB Enhancement Pack 02(セット販売)
 RhB Enhancement Pack 04

・経由地(旅客扱い駅のみ記載)
・Reichenau-Tamins(ライヒェナウ-タミンス)~Trin(トリン)~Versam-Safien(フェアサム-サフィン)~Valendas-Sagogn(ヴァレンダス-サゴクン)~Castrisch(カシュトリッシュ)~Ilanz(イーランツ)~Rueun(ルオイ)~Waltensburg/Vuorz(ヴァルテュブルグ-フォル)~Tavanasa-Breil/Brigels(ダヴァナサ-ブライル/ブリゲルス)~Trun(トゥルン)~Rabius-Surrein(ラビウス-シュライン)~Sumvitg-Cumpadials(スムヴィッツ-クンパディアルス)~Disentis/Mustér(ディゼンティス/ミュンスター)




 ヨーロッパの内陸部、アルプス山脈に抱かれたスイスには数多くの山岳鉄道がある。その中でもスイス東部に長大な路線網を持つレーティッシュ鉄道は日本でも有名で、本シミュレータゲームでも数々の路線や車両が再現されてきた。

 そしてこのたび、「Train Simulator」のアドオンとして新たに加わったレーティッシュ鉄道の路線は、本サイトでも取り上げているアローザ線の起点である都市クールから西へ向かう路線だ。クールから西へ約8キロほど行ったライヒェナウ-タミンス駅でトゥージスへ向かって南下するアルブラ線と分岐してから、フォルダー・ライン川の渓谷をさかのぼって渓谷に沿った大小の町を抜けて、峠の入り口であるライヒェナウ-タミンス駅までの約50キロの区間だ。

 この路線はスイスの東西を結ぶ主要ルートの一つで、ライヒェナウ-タミンス駅から先はオーバーアルプ峠を越えてスイスの名峰マッターホルンのあるツェルマットや、レマン湖を望むモントルーを結んでいる。今回再現されたライヒェナウ-タミンス~ディゼンティス/ミュンスター間は、このルートの中でレーティッシュ鉄道の運営による区間だ。レーティッシュ鉄道の路線網の中で最も西に位置し、「氷河急行」の運行ルートにもなっている。

 本マップ起点のライヒェナウ-タミンス駅は、前述したとおりアルブラ線との分岐点だ。ただし本ゲームのアルブラ線は、ここから南へ12キロほど先のトゥージス駅から先なのでこの駅は初登場だ。
 ライヒェナウ-タミンス駅を出たところで、分岐したアルブラ線と並んで橋梁を渡る。ここで遙かオランダのロッテルダムから続くライン川が二手に分かれるが、ここで渡るのはアルブラ線に沿うヒンターライン川で、構造が違う二つの橋梁が並ぶ特徴的な橋梁だ。本路線はここで分岐したフォルダーライン川の谷間へと入ってゆく、そしてフォルダーライン川の流れは列車の車窓に美しい渓谷美を織りなすようになる。やはり山岳路線には渓谷風景、そう思わせてくれる路線マップだ。この渓谷風景はキャプ画でも紹介する。
 やがて谷間が開けると盆地風景となる、ここが本マップ路線の中間駅で最も栄えた街であるイーランツだ。ここを出るとしばらくは貨物用の施設が続き、この区間も往来が激しいことを想像させてくれる。ここからは谷間と言うよりいくらか開けた風景に変わり、線路周辺には畑や牧場も点在するようになる。
 だが穏やかな景色もラストコースではまた一転する。再びフォルダーライン川は深い谷間を刻むようになるが、序盤の渓谷風景とはうって変わって線路はこの谷間を見下ろすようなルートを取り、川面は見えなくなる。やがてこの谷の斜面にへばりつくように広がる街の中に入ってゆくと、ディゼンティス/ミュンスター駅に到着する。線路はまだ続いているが本マップはここまで、実物もこの先はレーティッシュ鉄道ではなくマッターホルン・ゴッタルド鉄道の路線となるためローカル列車の場合は乗り換え、氷河急行は直通するとはいえ機関車交換となる。この先の区間はオーバーアルプ峠を越えるため線路も険しく、ラックレール区間に対応した機関車でないと乗り入れはできないのだ。

 本マップには車両は一部貨車のみの収録で、アローザ線のアドオン車両DLCとして発売されている「RhB Enhancement Pack 02」とセットで販売されている。このアドオンを既に持っている人には本マップのみが単品発売され、持っていない人には自動的にアドオンもインストールされるかたちだ。だからこのアドオンを持っている人とそうでない人では販売価格も違う、これは「Steam」ダウンロード発売だからこそできることだろう。
 だが実物のオーバーランド線の列車の画像を見ている限り、このアドオンに付属している小型の客車は使用されていないようだ。どうも客車は「RhB Enhancement Pack 01」に付属のものを使った方が実際に近いようだ。もちろんアルブラ線のマップに付属の車両を使って「氷河急行」を走らせるのも良いだろう。スイスの名峰であるマッターホルンを目指す列車の気分を、自宅のPCで味わえるなんてすばらしい話ではないか。

 このマップがあると、やはり次はオーバーアルプ峠を越える区間や、マッターホルンの麓のツェルマットを目指す路線とか欲しくなるなー。でもこのゲーム、ラックレール区間って再現できるのかな? 別マップにしても良いから続きが気になる路線ですね。


・世界の車窓から
ライヒェナウ-タミンス駅で発車を待つ列車。今回はオーバーランド線の普通列車でディゼンティス/ミュンスター駅へ向かう。
機関車はGE 4/4 II 形、客車はEW i 形客車の15メートル級の車両だが、実際にはもっと大型の客車が使われているようだ。
こういうホーム目線で見ると、旅情があって良いね。
ライヒェナウ-タミンス駅は、アルブラ線とオーバーランド線の分岐駅で、側線や引き込み線を多く持つ。だが駅周辺はそんなに大きな町ではなく、分岐だけの駅だ。
ライヒェナウ-タミンス駅を出ると、すぐにこのような橋梁を渡る。
これはヒンターライン川を渡る橋梁で、アルブラ線の橋梁とオーバーランド線の橋梁が並んで掛かっている。
こちらはオーバーランド線のもので、デッキトラス形式の鉄橋だ。
こちらは同じ橋梁を反対から見た。アルブラ線はコンクリート橋梁であることがよく分かるだろう。
ヒンターライン川を渡り、アルブラ線と分かれると列車はフォルダーライン川の谷間へと入る。
こちらから行くと、序盤はこのような渓谷風景の中を走るコースになる。
狭い谷間では、線路のスペースを確保するのに苦労する。こんな川を渡らないアーチ橋が、その建設工事の困難さを偲ばせる。
谷間が深いので、日差しの差し込みも少ない。これでもゲーム内時間は秋の正午前後なんですよ。
岩場をトンネルで回避する、こんな渓谷路線の特徴が上手く出ている。
日本でもこういう路線は、JR東海の飯田線を筆頭に沢山ある。
谷間が広がったり狭まったり、川の周囲には人家などは見られない、秘境とも言える渓谷だ。
岩場に支流を渡る橋、川の流れが織りなす鉄道風景は本当に美しい。
ここを船下りしたら楽しいだろうなぁ。
川面から橋梁を渡る列車を見上げる。この路線ではこんな感じで、フォルダーライン川本流を5回渡る。
谷間にある小駅で上下列車のすれ違い。ヴァレンダス-サゴクン駅にて。
カシュトリッシュ駅が近付くと、谷間が開けてきて盆地風景に変わる。中間拠点のイーランツ駅はもうすぐだ。
イーランツ駅に到着。ここはオーバーランド線沿線で最も賑やかな町。貨物用の施設も多く、この路線の中間拠点の役割を持っている。
イーランツ駅を出発し、またフォルダーライン川に沿って走る。
イーランツ駅からしばらくは盆地風景が続く、こんな感じで山羊がメェと鳴く牧場もある。
今回のキャプ画は季節設定を「秋」にしている。するとこのように、畑は秋の実りを感じさせる情景に描かれる。
こういう演出も旅情を感じさせる。
しばらく行くと、沿線に巨大な遊水池がある。欧米でもこのような渓谷では水害に苦しんでいるように、ゲーム上でも治水設備が再現されているのだ。
今年(2019年)は台風19号の大被害もあり、こういう施設を見ると色々と考えさせられることがある。
遊水池の取水施設を見ながら、さらに上流を目指す。
この遊水池の前後ではいちど渓谷風景に戻る。確かに水害が多そうだなと感じる。
そして本マップのラストコースでは、線路は川面から離れて25パーミルを超える急勾配で標高を上げてゆく。
川面からの比高が上がったことで、このように支流を渡る橋梁も巨大な構造物になる。美しい石積みアーチは、地震が少ないヨーロッパ独特のものだ。
前掲の石積みアーチ橋の辺りのフォルダーライン川との比高はこんな感じ。
そして列車は谷間の斜面にへばりつくように広がる町へ入ってゆく。最後まで急勾配は緩まない。
そして終点のディゼンティス/ミュンスター駅に到着、マッターホルン・ゴッタルド鉄道はお乗り換え。「氷河急行」の場合は機関車交換です

ご乗車ありがとうございました。
アドオン車両RhB Enhancement Pack 04

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