「あにめの記憶」リアルタイム視聴2(再放送)

世界名作劇場愛少女ポリアンナ物語」

・私にとっての「世界名作劇場」の「谷間」的作品
 物心が付いた頃から高校3年生時に放映された「小公子セディ」まで、ほぼ毎週「世界名作劇場」シリーズ作品を見てきた。その中には強烈に自分の記憶に残った作品もあるし、何作かは登場人物の台詞や声をハッキリと覚えていたり、ストーリーもハッキリ覚えているものもあることは「あにめの記憶」内で何度も語ってきたことだ。
 ここでそのように「世界名作劇場」の中で私の記憶や印象に強く残っているものを取り上げてきたが、逆に私の記憶に殆ど残っていない作品を取り上げてもいいんじゃないかと感じていたところだ。2008年12月よりNHK−BS2でちょうどそのような作品が再放送されたので、当サイトで初の「再放送リアルタイム視聴」として取り上げることにしたのがこの「愛少女 ポリアンナ物語」だ。
 このシリーズで私の記憶に一番強く残っているのは1985年放映の「小公女セーラ」で、その翌々年である1987年には主人公が同世代と言うことで印象に残った「愛の若草物語」がある。その間の1986年放送と言うことで自分の中では影が薄くなってしまった作品だ。恐らく1984年の「牧場の少女カトリ」も、やはり私の記憶に強く残っている「アルプス物語 わたしのアンネット」と「小公女セーラ」の間に収まっていることが、私の中で影が薄くなってしまった理由だろう。これは私の年齢やその時の精神状況によるものが大きく、作品の善し悪しとは無関係であることは強く言っておきたい。
 とにかくこれら強印象に挟まれて私的には影が薄くなってしまった「ポリアンナ物語」、物語やシーンは全く記憶にないのにオープニングテーマだけは空で歌える程度に覚えていた「牧場の少女カトリ」とは違い、物語のほんの一部やほんの僅かなシーンを断片的に覚えていただけだった(覚えていたのがどの部分かは本文で語ってゆく)。全体的なストーリーの流れや、登場人物の複雑な相関関係など記憶になく、新たな気持ちで視聴に臨むことが出来た(これが「小公子セディ」になると毎週見ていたという記憶以外何も覚えていないのだからさらに影が薄くなる)。今回の感想では22年ぶりに視聴し直した感想を中心に語ってゆくことになる。

 「愛少女 ポリアンナ物語」の原作はエレナ・ホグマン・ポーターの「少女パレアナ(Pollyanna)」と「パレアナの青春(Pollyanna Grows Up)」である。架空の街「ベルディングスビル」を舞台に、両親を失い叔母に引き取られた少女が持ち前の明るさと「しあわせゲーム」(アニメの「よかった探し」)でもって周囲の人々を変えてゆくと共に、大人達の複雑な人間関係の謎を解いてゆく物語が「少女パレアナ」である。「パレアナの青春」はその続編だが、ボストンで「少女パレアナ」と似たような展開をする前半と、成長したパレアナとジミーの恋愛を通じてジミーの過去が解きあかされてゆく後半とに分かれている。アニメ化において「少女パレアナ」は原作をほぼ完全踏襲するかたちで27話までの「第一部」とされ、「パレアナの青春」は設定を大きく変更して28話以降の「第二部」とした。原作では「少女パレアナ」と「パレアナの青春」は連続していない物語のようだが、アニメでは「第一部」「第二部」と分けたものの連続した物語として編集され、特に「パレアナの青春」後半では数年の時を置いて登場人物達を成長させたが、アニメではそのままポリアンナ達が子供のまま物語を進めてゆく点が原作とアニメの最大の違いであろう(原作内容については複数の紹介サイトを全話視聴終了後に読んだ)。また「世界名作劇場」シリーズで物語を公式に「第一部」「第二部」と分割したのはこの「ポリアンナ物語」だけじゃないかと思われる。
 原作訳本は主人公の名前および物語の名前を「パレアナ」と訳しているが、アニメでは「ポリアンナ」と訳した。私は英語に詳しくないのでどちらの発音が日本語的な発音に訳した場合に正しくなるか判断できないが、「Pollyanna」という綴りを見ている限りは「ポリアンナ」の方が近いように感じるし、「ポリアナ」「ポリアーナ」「ポリャーンナ」とも読めそうな気もする。いずれにしろ日本語にしたときの最初のふた文字は「ポリ」であることは間違いないと感じる。アニメ制作者も同じ感性だったようで、作中の主人公の名前は「ポリアンナ」に統一されている。このアニメが放映された後に再版された「パレアナ」シリーズの訳本では、タイトルが「ポリアンナ」に変更されている物もあるようだ。私の娘が学童保育の図書室で読んだという小学生低学年向けの訳本のタイトルは「しあわせポリアンナ」だったそうだ。

 前述したが、この「愛少女 ポリアンナ物語」の感想および考察はNHK−BS2にて2008年12月より2009年4月にかけて行われた再放送を視聴してのものである。基本的に放映された日の夜に、その日放映分の録画を見て記したものだ(一部例外あり)

・サブタイトルリスト

・第一部 ・第二部
第1話 「教会の小さな娘」 第28話 「忍びよる影」
第2話 「死なないで父さん」 第29話 「さよなら!ベルディングスビル」
第3話 「丘の上の賛美歌」 第30話 「大都会ボストンの生活」
第4話 「見知らぬ町へ」 第31話 「チップマックがいない!」
第5話 「ナンシーの約束」 第32話 「迷子のポリアンナ」
第6話 「新しい服騒動」 第33話 「チップマックはどこ?」
第7話 「うれしいおしおき」 第34話 「カリウ夫人の悲しい秘密」
第8話 「不思議な紳士」 第35話 「若君ジェームス」
第9話 「放っておけないわ」 第36話 「路地裏の天使」
第10話 「何とかしなくちゃ!」 第37話 「本当のジェミーが欲しい!!」
第11話 「ペンデルトンの森で」 第38話 「どうして幸福になれないの?」
第12話 「スノー夫人の驚き」 第39話 「さよならパーティ事件」
第13話 「おば様はお気の毒」 第40話 「たのしいボストン見物」
第14話 「手鏡の思い出」 第41話 「嵐のはじまり」
第15話 「不思議な特効薬?」 第42話 「失われた帰り道」
第16話 「怒らないで!おば様」 第43話 「死なないでチルトン先生!」
第17話 「チルトン先生大好き!」 第44話 「悲しみをのりこえて」
第18話 「ペンデルトンの謎」 第45話 「荒れた花園」
第19話 「驚くべき秘密」 第46話 「ジェミー・ケントの謎」
第20話 「危ない!ポリアンナ」 第47話 「危険な遊び」
第21話 「恐ろしい宣告」 第48話 「助けて!ジェミー」
第22話 「足が動かない!!」 第49話 「解きあかされた過去」
第23話 「よかったが探せない!」 第50話 「ボクがジェミーだ!」
第24話 「もう一度歩きたい!」 第51話 「幸福はすぐそばに」
第25話 「危険な手術」  
第26話 「死なないでポリアンナ」  
第27話 「第一部完 愛になりたい」  


・「ポリアンナ物語」主要登場人物

ポリアンナの家族・親類・ハリントン邸の人々
ポリアンナ・フィティア 物語の主人公、様々な困難を持ち前の明るさと「よかった探し」で乗り越える。
 …「よかった探し」の教祖、その布教によって人々を元気にするのが現実的なのかという問題は置いておこう。
ジョン・フィティア ポリアンナの父で「よかった探し」の考案者、「よかった探し」を続けるよう娘に言い残して他界。
 …回想シーンでの登場が異様に多かった印象が残る父、2話で死んじゃしょうがないか。
ジェニー・フィティア ポリアンナの母で故人、ポリアンナの性格はこの母から受け継いだらしい。
 …回想シーンでの登場年齢が変わるたびに、別人のように変化した不思議な人。
パレー・ハリントン ジェニーの妹で両親を失ったポリアンナを引き取る。最初は冷酷な女性として登場したが…。
 …声が星野鉄郎とは思わなかった、この人の変化がこの物語の根幹を成している。
トーマス・チルトン 町の開業医で、パレーのかつての恋人。後にパレーと結ばれるが…。
 …優しくて実直な人間を絵に描いたような人、声優さんがジョンと同じという事は気にしてはいけない。
ナンシー・ハートレー ハリントン邸のメイド、ポリアンナの助けの岩になると宣言し、それを実行する健気な少女。
 …アンネットの声のベッキー(笑)という笑えるキャラでもある。最初は面白い人だったけどな〜。
トム・ベイソン ハリントン邸の使用人の一人、とても信心深く暴走するナンシーを止める役割を持つ。
 …パレーに一番信頼されているのはこの人、いや〜、いいオッサンだわ。
ダルギン・ベイソン トムの妻、ハリントン邸で食事などを作っているようだ。
 …劇中でもっとも「よかった探し」を勘違いしていたのがこの人。
ティモシー・ベイソン トムの息子、トムが悲しみで動けなくなったときは物語を牽引する。
 …基本的にネタキャラ、ナンシーとはいいコンピだと思う。
チップマック ポリアンナが飼っているシマリスで、いつもポリアンナと一緒だ。
 …ポリアンナの心の友、このシマリスが物語に上手く絡んだのは前作「小公女セーラ」の反省からか?
西部の町の人々
ホワイト ポリアンナが生まれた町の優しいおじさん。ジョンが娘を託した男でもある。
 …ポリアンナに対して優しく、アイスクリームまでくれた甘い人。
ホワイト夫人 ジョンの死後、パレーに引き取られるまでポリアンナの母親代わりとなったおばさん。
 …夫とはポリアンナへの接し方が対照的で、ポリアンナが大事だからこそ厳しく接した。
カレン ポリアンナの友人で、一緒に「よかった探し」をしている少女。
 …この人、主題歌だけじゃなかったのね。
ベルディングスビルの人々
ジミー・ビーン
(ジミー・ペンデルトン)
ポリアンナのベルディングスビルでの一番の友人で、ポリアンナが大好きな少年。
 …劇中で名前が3つも出てきたのは凄い。どうでもいいが声優だけでなくキャラ的にもルシエンとかぶり過ぎ。
ジョン・ペンデルトン ベルディングスビルでも有名な気難しいおじ様だったが、ポリアンナによって人格が変わって幸せになる。
 …第二部ではネタキャラになってしまっていたが、それが最終回で凄いオチをつけてくれた。
スノー夫人 身体が弱く寝たきりだったが、ポリアンナに「よかった探し」を布教されて前向きに生きることを覚え、回復する。
 …素直に生きていけたらとても楽で前向きに慣れるという教訓を我々にくれたおば様。
ミリー スノー夫人の娘、心の底から母の体調を心配している。
 …母親があんなになってしまったもずっと支え続けたのだから、ある意味尊敬できる女性だ。
ボストンの人々
ルース・カリウ 甥が行方不明になってから悲しみの中で生きてきたが、ポリアンナによって本当の甥の幸せを教わり強くなる。
 …メーテルっ!
デラ・ウェザビー カリウの妹、看護婦という仕事をしているせいか、姉と違い前向きに生きることを知っている。
 …姉を変えるためにポリアンナをカリウ邸に送り込むが、結果オーライってところだな。
ジェミー ボストンの下町に住む足が不自由な少年、甥と名前が同じと言うことでカリウに引き取られるが…。
 …「ポリアンナ物語」が格闘技モノだったら、主人公が使う奥義と同じパワーの技を持っていたこいつが主人公のライバルだっただろう。
サディ・ディーン カリウ邸の隣の屋敷に住む少女、冷めた性格かと思ったら簡単にジェミーに心奪われちゃうし。
 …「愛の若草物語」のエイミーが少し大きくなったら、あんな性格になるんだろうな。
ミッキー ジェミーを引き取った家庭の息子、新聞配達で家計を助ける。
 …初登場があんなに格好良かったのに、思ったより登場回数が少なかったなぁ。
メアリ カリウ邸のポリアンナ担当メイド、ナンシーとは違い何処か都会的な雰囲気のある女性だ。
 …何故ポリアンナはデラを呼び捨てにするのに、自分専属のメイドを「メアリさん」と呼ぶのだろう?
パーキンス カリウ邸のお抱え運転士、運転士だけでなくポリアンナやチップマックを捜したりとなんでもやる。
 …私が「ポリアンナ物語」の世界に入って好きな役をやっていいと言われたら、絶対にこの人にする。
エドワード・ケント ジミーの父で故人、息子を金持ちにおんぶに抱っこの生活をさせるのでなく、人として正しい道を歩ませるためにカリウから逃げる。
 …この父がやったことは間違ってない。間違ってないけど…。
エームス博士 チルトンの先輩医師、ポリアンナとジェミーの足を治療する。
 …デラが相談に行くと必ず「力になろう」とかっこつけて言うが、こいつが力になったのを見たことがなかった。
その他
ナレーター 物語の要所で的確な解説を入れてくれる。登場人物の心境説明もバッチリ。
 …どう聞いてもミンチン先生ですね、目立たなかった割には強印象のナレーション多し。


・「ポリアンナ物語」第一部オープニング
「し・あ・わ・せカーニバル」
 作詞・岩里祐穂 作曲・芹澤廣明 編曲・和泉一弥 歌・工藤夕貴
 「愛少女 ポリアンナ物語」関連の楽曲の中で、今回の再視聴において「ああ、あったあった」と思い出した唯一の曲。明るく派手な伴奏にこれまた明るい歌詞、前作「小公女セーラ」とは対照的なオープニングで慣れるのに時間がかかったのも思い出した。
 特に歌詞の内容が主人公ポリアンナの天真爛漫な性格を良く出していると思う。通常の精神状態なら聴くだけで元気になれる曲だと私は思う。「踊れば君もひとりぼっちじゃない」って、阿波踊りじゃないんだから…。
 背景映像は見た瞬間に思い出した。パレーが汽車で何処かへ行ってしまったのを、ジミーが運転するオープンカーで追いかけるという凄い展開だ。パレーが汽車で行ってしまうのはベルディングスビル駅、追いつくのはボストン駅と見て良いだろう。オープニングであれだけ派手に鉄道が出てきたのもこれくらいじゃないかなと思う。
 そして「ポリアンナ物語」から始まるアイドルとのタイアップ…まだこの曲の辺りは許せたなぁ。


第一部エンディングと第二部オープニングについては第27話考察の続きに、第二部エンディングについては第51話考察の続きに入っています。
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